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Lisk 解説レポート① 〜開発体制〜

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  • kplusq
  • 2020/01/21 14:03

Liskは非常にユニークなプロジェクトです。(僕の知る限りでは…)

アルトプロジェクトの多くは、ビットコイン(もしくはイーサリアム)の影響を大きく受けていると思われますが、 Liskについては、父親「ビットコイン」、母親「ウェブシステム」、育ての親「分散システム(ステートマシン)」という感じです。

ですので、ビットコイン、特にPoWの文脈でLiskを見てしまうと、その価値を見誤ってしまう可能性があると思います。

ビットコインは、プロトコルが全てです。第三者的存在を排除したいわけですから、ある意味当然ですね。もちろん、Liskにとってもプロトコルは重要です。ただし、現状のLiskプロトコルを評価するだけでは、その真価は見えてきません。

肝心なのは「アーキテクチャ」です。なぜなら、Liskはプラットホームだからです。
といっても?な感じになると思いますので、Liskの何がいいのか、僕なりの解説をしていきたいと思います。

第一回目は、「開発体制」について、取り上げます。

 

Lisk「開発体制」の特徴

1.ベルリン拠点 

理念ベースでは「ビットコイン」由来の非中央集権を掲げていますが、開発については、Lightcurveという私企業(以下、HQ)が先導する形をとっています。
これは、開発におけるコミュニケーションを重視しているためで、直接顔を合わせた議論の方がその質が高まるという方針です。

もちろん、オープンソースですので、誰でも開発に意見したり、ソースコードの改善提案をすることができます。
また、バグバウンティといったインセンティブ制度も用意されています。

 

2.アジャイル開発

Liskは開発が遅いとか遅延イメージが未だに払拭できていませんが、その裏側にある柔軟性が見落とされています。

ブロックチェーンはまだまだ未知の領域です。
技術進歩や規制などの外部環境も刻々と変化していますし、明確なゴール地点など設定しようがありません。
そうなると、固定化したロードマップは、すぐに陳腐化してしまいます

日々顧客の要望が変化するプロジェクトを考えてみてください。その要求が止むことはありませんし、仕様が固まることもありません。(開発者ならこの辛さが分かるはず…)

しかも、Liskが開発しているのは、機能特化のブロックチェーンアプリではなく、ブロックチェーンアプリのプラットホームとなるブロックチェーンです。
また、利用にこだわっているので、基盤部分だけでなく、様々なUIも同時開発しています。

さて、どのような開発体制で、どんなアーキテクチャを構築していけばいいのでしょうか。

Liskプロジェクトが始まってから3年以上が経っていますが、常にその体制づくりに向き合い、試行錯誤している姿が見えます。その結果として、確実に組織が成長していますし、変化に強いアーキテクチャを作り上げたといってもいいと思います。

正直なところ、コミュニティとのコミュニケーションはあまり円滑にいっているとは言えませんが、開発については大きな安心感を持っています。

 

3.テスト指向

Liskは開発が遅いというイメージのもう一つの理由が、「石橋をバシバシ叩いてから渡る」という開発姿勢でしょう。

開発のToDoリストが無くなったと見せかけて、すぐに新しい問題が湧いてくるのは、リスカーにはお馴染みの光景かと思います(笑)
バグ潰しは地道な作業ではありますが、洗い出せるものはとにかく潰しておこうという慎重さが伺えます。
また、大きな変化を伴うアップデートについては、alphanet→betanet→testnet→mainnetという順にテストが行われていきます。

開発を続けると発生しがちな技術的負債の対応もしっかりとしているので、ソースコードの可読性やメンテナンス性も高いと思います。

 

4.開発資金

いくらいいモノであっても、資金が枯渇すると開発中止に追い込まれる可能性もあります。

2019年末に大きなレイオフが話題になりました。その時点で、2〜3年分の開発資金は確保されていると言われていましたが、このレイオフによって約4割のスタッフがHQを去りました。

これにより、人件費が大きく縮小したので、少なくとも5年程度の開発は継続可能ということです。ちなみに、基盤は既に開発済なので、この縮小によって開発スピードが遅くなるということはありません。(財務状況は定期的に公開されています)

 

5.リサーチチーム

HQには、開発チームとは別にサイエンスチームがあります。
プロトコル改善を数学的に研究するためのチームで、博士号をもつ5人によって構成されています。
他プロジェクトのリサーチも熱心に行っているようだし、Liskにとって大きなマイルストーンであるインターオペラビリティも彼らによって研究されています。

開発チームは、ウェブシステム開発を基盤にした拡張しやすいアーキテクチャを作りあげていますが、そこにこのサイエンスチームの研究したプロトコルが上手く機能していくと、Liskプロジェクトの本領発揮となります!

 

6.コミュニティ

LSKは、ATH(最高値)からの下落率が非常に高いことで有名かもしれません。価格はプロジェクトに対する評価の一つなので、これはある意味不名誉なことです。

期待度の高かったことに加え、実体の伴わない状態でバブルに突入してしまったのが大きな原因でしょう。タイミング的に非常に運が悪かった…

開発遅延やデリゲート戦争などネガティブなニュースが続いたこともありますが、HQの投機家に対する姿勢にも、下落をより誘ってしまった原因があると思います。

HQは、ロードマップに明確な期限を設けず、マーケティングにも非積極的です。
投機の道具にされることを嫌がり、開発が中途半端な状態でのアピール活動を避け、とにかく開発にのみ集中する姿勢を貫いています。
投機家的な意見には一切耳を傾けなかったといっても過言ではありません。

ただし、逆に言うと、そういったHQの姿勢を評価する人たちが現コミュニティを形成しているともいえます。
現時点では、プロトコルによるガバナンスはそれほど強くありませんが、コミュニティのモデレータを中心としたルールづくりが行われているという意味で、Liskファンによる独特の生態系を築いているとも考えられます。

 

以上、Liskとは一体どんなプロジェクトなのか、開発体制という観点から整理してみました。
あくまで、一コミュニティメンバーのポジトークなので、参考程度に留めておいてくださいね。

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