私は嘘が嫌いだ。私の生きている受験産業は嘘が多い。
「必ず合格させます」
なんて、嘘っぱちだ。そんなこと出来るはずがない。受験以外の世界ならすぐに分かることが。
「必ずオリンピックに出場させます」
なんて言葉は、全国から選抜してきたメンバーを特別なコーチが鍛え上げて世界選手権に何度も優勝した人にしか言えないでしょう?塾のように適当に集まったメンバーに言える言葉ではない。
こういう言葉を吐くと
「お前は差別主義者か!」
みたいなコメントが付いたり、ブラックメールが来ることもある。しかし、そういう人に限って差別主義者が多い。
たとえば、東大や京大は絶対に倒産しないですよね。賢い生徒やトップクラスの研究者の集団ですもんね。でも、Fランクと呼ばれる大学は近いうちに消えてゆく運命です。さて、さきほどの差別主義者と私を非難した人は東大や京大かFランと呼ばれる大学か自分の子供の進学先としてどちらを希望するのでしょう?
他人のことなら
「どの大学の学生も平等に扱うべきだ!」
と叫んでも、自分の身内になると
「東大や京大、あるいは少しでも偏差値の上の大学に行くんだぞ」
と、叱咤激励する。私は、そういう“平等主義者”が嫌いだ。本音と建て前が違いすぎる。
建て前のことは、英語では lie(嘘)と言います。
予備校や塾はもっと深刻です。経営方針を誤ると破産して夜逃げや、へたをするとクビをくくることになる。私が塾を始めた頃に、相手かまわず集客していた塾はすべて消えました。“不良の溜まり場”と呼ばれたら消えるしかありません。だから、生き残りをかけて予備校界の東大や京大になろうと必死になるわけです。生き残れるのはナンバーワンかツーまでです。
オリンピックだって、金・銀・銅まではメダリストですがそれ以外は忘れ去られる。つまり、無視される。食っていけない。
メジャーをめざす大谷くんと、草野球を楽しみたい田中くんが一緒のグラウンドで練習するのは無理です。同じように、京都大学をめざす伊藤くんと地元の四日市大学をめざす近藤くんが同じ授業を受けるのはバカげている。
バカげていると分かっているのに放置しているとどうなるか。学校なら、上位グループの子は内職をするし。予備校や塾なら
「あの子と別クラスにして下さい。そうでないと、塾をやめます」
と、言われてしまうのですよ。
そういう現実を直視せずに机上の空論だけを振り回す学者やコメンテーターの言うことに耳を貸すと倒産の憂き目にあう。