学校に見捨てられた“落ちこぼれ”と、学校の授業が役立たないと知った“浮きこぼれ”の方はどうすべきか?
=平成29年度、いなべ、桑名中学校ランキング =
○合格者数○ 四日市高校 桑名高校 生徒数 合格率
1位, 陵成中学校 19 50 210 33%
2位, 光陵中学校 12 34 180 26%
3位,員弁中学校 5 11 90 18%
4位,東員第二中学校 2 17 110 17%
5位,北勢中学校 5 14 120 16%
6位,藤原中学校 2 7 60 15%
7位,東員第一中学校 4 11 110 14%
8位大安中学校 5 12 150 11%
※桑高はデータの発表が遅いので昨年のものを使いました。
最近の結果は、上記のようでした。ここ数年、大きな変化は見られない。
「陵成中学校の生徒は、3人に1人が四高か桑高に合格できる」
「大安中学校の生徒は、10人に1人が四高か桑高に合格できる」
1クラス30人のクラスを想像してほしい。陵成中学校で教えることになったら、各クラスに10人は四高、桑高に合格できる生徒がいる。しかし、大安中学校で教えることになったら、各クラスに3人しかいない。
これでは、板書して説明する問題のレベルも、授業進度もまるで変わってしまう。変えないと、生徒たちから苦情が来てしまう。陵成中学校で余りに授業進度が遅いと保護者からも苦情が来そうだ。
選抜試験を行わない公立中学校どうしなのに、どうしてこんなに大きな合格率の差がつくのだろう。
陵成中学校と光陵中学校は「桑名市」にあり、3位以下の中学校は「いなべ」にあることが関係しているとしか思えない。都市部は人も多く、競争が激しい。だから、生徒も保護者も、大学入試や社会の厳しさも身に染みて知っている。
しかし、指導していれば分かるのだが田舎の子たちは
「なんとかなるさぁ」
とか
「クラスの団結が一番!」
などと言う子が多い。本当は勉強をすることから逃げているだけなのだが、周囲の雰囲気がそれを許してしまう。そして、いざ就職という時になって現実の厳しさに直面する。手遅れ。
だから、私のいる受験産業でも田舎は無視される。都市部で難関合格者の数をかせがないと死活問題なのだ。田舎の怠けた生徒を相手にしていたら、経営効率が悪すぎる。
何も受験産業だけではなくて、田舎には良い医師、良い弁護士などが少ない。都市部の方が需要が多いからだ。田舎では儲からない。
旧帝合格者数(四日市高校、定員360名)
H29 H28 H27
1、北海道大学 3 4 5
2、東北大学 1 3 0
3、東京大学 6 4 9
4、名古屋大学 23 17 37
5、大阪大学 9 11 8
6、京都大学 7 3 12
7、九州大学 3 2 3
合計 52 44 74
合格率 14% 12% 21%
旧帝合格者数(桑名高校、定員360名)
H29 H28 H27
1、北海道大学 0 2 1
2、東北大学 0 0 0
3、東京大学 0 0 0
4、名古屋大学 14 12 11
5、大阪大学 0 2 2
6、京都大学 1 1 1
7、九州大学 0 0 0
合計 15 17 15
合格率 5% 5% 5%
「四日市高校の生徒なら、上位50番くらいまで旧帝に合格できる」
「桑名高校の生徒なら、上位15番くらいまで旧帝に合格できる」
四日市高校や桑名高校に合格しても、旧帝レベルに合格できるのは上位の1割程度だ。旧帝レベルに合格できても、大企業や官僚になれるのはさらに少ない。別に大企業に入るのが人生の目標ではないが、だからといって一生アルバイトも困るだろう。
学歴で生きるばかりが人生ではないが、音楽なら各種コンクール、運動なら甲子園やオリンピック。作家なら直木賞や芥川賞。歌手なら紅白歌合戦やらレコード大賞。町の定食屋さんでも、同じ町内の定食屋さんと競争することになる。
「なんとかなるさぁ」
では、生きていけない。助け合いや絆などの入る余地もない。生きるか死ぬかの問題なのだ。まともに生きていけない場合、身体を売ったり、犯罪に手を染めたり、ホームレスになったりするしかなくなる。
勉強だけではなくて、音楽でも、運動でも、作家でも、歌手でも、定食屋さんでも、共通しているのは「猛練習をしないと成功できない」こと。規則正しい生活をして、毎日コツコツと努力を重ねること。
怠けている子たちとは距離を置き、近づかないこと。頑張る子たちと競争して、切磋琢磨できる環境に身を置くこと。ダメな子ほど
「だれとも差別なく付き合うべきだ!」
と叫ぶ。だったら、ヤクザや暴力団と一生つきあっていけばいいのだ。私は関係がない。難関大に合格したかったら、たとえば英単語6000語は必要になる。数学も2000題は解かないと身につかない。つまり、毎日単語は7語以上暗記。数学は大問2題はノルマだろう。他にも、理科や社会があるのだから、カラオケやデートなどしているヒマがあるはずがない。
親も、生命保険を解約したり田んぼを切り売りしたりして学費を用立てている人を実際に知っている。その期待に応えようと必死な生徒も知っている。「なんとかなるさぁ」タイプの子は、そんな何もかも勉強に賭けている子に勝てるわけがない。
それが、私が毎日見ている現実だ。
◆THEアジア大学ランキング2016
トップ50にランクインした国内大学(☆は旧七帝)
7位 東京大学 ☆
11位 京都大学 ☆
23位 東北大学 ☆
24位 東京工業大学
30位 大阪大学 ☆
34位 名古屋大学 ☆
46位 筑波大学
48位 九州大学 ☆
49位 北海道大学 ☆
私のかつての上司が、ある時
「カスの生徒には、カスの先生をあてがえばいいんだよ!」
と言った。ヒドイですか?では、あなたならどうする?10人の先生を率いる塾長だと考えて下さい。高校生を指導できるような有能なベテランは2人しかいない。そして、上記のようなデータがある。
「いなべ」にある6教室にベテランを配属しますか?「桑名」には人数にして4倍くらいの四日市高校や桑名高校に合格できる生徒がいる。先生たちの家族を守る必要がある。新人の先生は、高学力の生徒を指導できる自信がないと言う。
結局、
「ダメ生徒には、ダメ先生を配置する」
という結論になるのではないだろうか。それが、経営者として“正しい”判断だろう。これは、推測ではない。私は名古屋の7つの大規模予備校、塾、専門学校で14年間非常勤講師として勤務してきた。経験から分かったことなのだ。
ウソと思うのなら、近くにあるチェーン塾の支教室の看板を見てほしい。たぶん、「小学部・中学部」となっていませんか?「高校部」を持つのは、都会の本部だけなのが普通だから。
旧帝だって、世界中の大学と競争しているのだから、怠けた学生の相手をしている余裕などない。
では、学校に見捨てられた“落ちこぼれ”と、学校の授業が役立たないと知った“浮きこぼれ”の方はどうすべきか?落ちこぼれた生徒を指導する塾は、実は田舎にもある。問題は、浮きこぼれ。やはり、予備校、塾、通信添削などを利用するしかない。ところが、上記のように田舎には高校生を指導できる塾がほとんどない。
すると、通信添削や模試を利用するしかなくなる。そこで、私は40代、50代の頃にZ会を8年間やり、河合や駿台の模試を高校生に交じって10回受けた。研究のためだ。
センター試験は10年連続。京大の二次試験も7回受けた。
田舎には高校生を指導できる塾や予備校がないことを狙って、東進衛星予備校が一気に全国に広まった。ビデオ授業なら、都会の授業を田舎でも受けられる。ところが、ネットが急速に広がり東進ハイスクール程度の授業なら、Youtube で無料で見れる時代だ。
そして、世間の人も
「なんだ、都会の講師の授業も学校とちっとも変わらない・・・・」
通信添削のZ会も、自分でやって分かったけれど使えない。なぜかというと、添削されても返却までの時間がかかりすぎ。今はネットで翌日返却にでもなっているのだろうか。それに、誰が添削しているのか公開されていない。というか、公開できないのだろうと思う。
通信教育の添削者も、教師、塾講師と同じで、旧帝レベルを受験する子を指導できる人なんて、ほとんどいない。
50代の時に、高校生と一緒に「京都大学」を7回受けてみた結果。
平成18年、20年(文学部) 正解率の平均 66%(受験英語)
平成21年、22年(教育学部) 正解率の平均 76%(資格英語)
平成24年、25年(総合人間) 正解率の平均 79% (ネイティブ英語)
5年ほど前から、密かに Youtube ブログ Facebook などで、京大受験生の通信添削を始めた。すると、Youtube は50万回再生、アメブロ「受験生」ランキング1位になり、北海道から九州まで添削依頼があり、9年連続で京大合格者がでた。
私のような存在は、他にもみえるはず。ただ、ネット社会が普及する10年前なら誰にも知られなかった。グルメブームになり、以前なら北海道の北の果てにしか売っていなかった美味しいパンも、ネットでお取り寄せができるようになった。
あなたの食卓は、イオンで埋まっていますか?私は、普段はそうです。でも、彼女にプレゼントしたり、食事に連れていくような重大事のときは違います。受験も同じようなもので、学校や河合、駿台、トライの家庭教師しか頭にないなら、それでもいいと思います。
でも、世の中には北は北海道から、南は九州・沖縄まで美味しいものを求める人たちもみえます。受験でも、
「どこかに良い講師はいないものか」
と、探してみえる方も多いのです。そうでなければ、ネットに公開しただけで、三重県の無名の小さな塾など探し当てることができません。
私は、生涯この三重県の片田舎にいるかもしれません。でも、今はそれでいいし、ネットで北海道から九州まで通信生の方にいてもらえるので、十分です。
どうして、地方のグルメ店は大規模化しないのか。それは、明らかではないのでしょうか。良い原料、良いシェフの数は限られているから。大規模店のように、工場で仕上げたレトルト品を店のバイトがチンするだけでは、美味しいものが提供できないから。
塾だって、同じなんです。都市部で撮影した動画授業を見せるだけなんて、もう無理。だからといって、本気で受験を考えている高校生を指導できる人材なんて、ほんの一握り。
思い出してほしい。同級生でトップクラスの学力があった方は、今どうされていますか?医者、弁護士、研究者、官僚・・・。つまり、教師や塾講師になっていないはずなんです。
なのに、どんな小さな町にも塾がある。おかしいでしょう。たとえ、京都大学を卒業した珍しい講師だとしても、医学部以外はボーダーが65%だから、京大の過去問を7割も解けたらいい方というのが実態です。
才能のある子たちが猛練習して競争するのが、難関校の受験です。一歩前に出るには、情報を集めることも大切なこと。日々状況は変化していく。「こうしたら合格できる」というような、固定した方法などあるはずがない。