イナベより愛をこめて(8)
自分をさらけ出すのが健康の秘訣
日本には「本音と建て前」という言葉がある。言っていることと思っていることが異なることだ。この日本の伝統を英語で語るときに困った。たとえば、車のように日本とアメリカの両方にあるものは「車=car」と翻訳ができる。しかし、日本にしかないもの、たとえば柔道や空手は外来語として Judo Karate とするしかない。
そこで、日本語がペラペラのアメリカ人に「本音と建て前」を英語にするとどうなるのか尋ねたことがある。すると、彼女は
「それは簡単。Truth and a lie 」
と、ニコニコしながら言いました。少し納得がいかないので、最新の機械翻訳を使ってAIに尋ねたら「one's real intentions and one's hidden agenda」(本当の意図と、隠された考え)と出てきました。
この日本的な習慣は、英語圏では「ウソ」や「隠し事」にしか過ぎないわけです。そういえば、私はアメリカに住んでいた時にとても楽だったんです。なぜなら、アメリカ人と話をするときは腹の探り合いをする必要がないのです。思ったことを全て口にするので安心があります。透明性が担保されているのです。
それは、何故か。キリスト教の影響としか思えません。聖書の「箴言」の中だけでも、たくさんウソについて書かれています。小さい頃から「ウソは悪」との教えが徹底されています。
箴言
「正しい者のくちびるは喜ばるべきことをわきまえ、悪しき者の口は偽りを語る。」(箴言10:32)
「真実を語る人は正しい証言をなし、偽りの証人は偽りを言う。」(箴言12:17)
「悪を行う者は偽りのくちびるに聞き、偽りをいう者は悪しき舌に耳を傾ける。」(箴言17:4)
「偽りの証人は罰を免れない、偽りをいう者は滅びる。」(箴言19:9)