「なぜ人を殺してはいけないの」
対話と論考で火花を散らすスリリングな一冊。
永井均[ナガイヒトシ]
1951年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。同大学院文学研究科博士課程単位取得。現在、日本大学文理学部哲学科教授
小泉義之[コイズミヨシユキ]
1954年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程哲学専攻退学。現在、立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。
日本には神様がいないので、こんな人が出版されるのだろう。東大卒と慶応卒の大学教授が議論しなければならないなんて、日本は面白すぎる。幼稚園のこどもだって、人を殺してはいけないことくらい知っている。1+1=2 と同じくらい簡単な話。
第二次世界大戦で勝利したアメリカ軍は、進駐軍として日本にやってきた。たぶん、過去の歴史をいろいろ調べたはずだ。イギリス軍は10億からの人口を誇るインドをどうやって植民地支配したのかとかね。だって、日本人がガンディーの主張したように“非暴力・不服従”作戦で迫ってきたら、いくらマッカーサーだって真っ青だもんね。
そこで、日本文化を徹底的に調査した。ルースベネディクトという女性の学者が「菊と刀」という優れた書物を書いている。彼女によると、アメリカや西欧諸国は「罪」だけど日本人は「恥」が行動の基準にあるとのこと。つまり、クリスチャンは「神様が人を殺してはいけない」と言われたから命令に背くのは罪だと考える。一方、日本人は「人を殺したら周囲から後ろ指を指されるから恥」だと考える。
似ているようだけど、全然ちがう。神様はどこにでもみえるので、クリスチャンは常に自制が効く。しかし、日本人は他人に知られなければ恥ではないので何でも出来る。イジメが起きた時、教師や教育委員会は常に隠ぺいに走るのを見ればルースベネディクトの分析が正しいと言わざるをえない。
「バレなきゃ、何をしてもいい」。これは、日本人の行動原理のひとつと言える。よく耳にするもんね。ちなみに、これを機械翻訳にかけると、You can do anything you want as long as you don't get caught.(キミは捕まらないかぎり、やりたいことができるよ)となる。コレって、怖いよね。誰も見ていないなら、人を殺しても構わない感じがする。
西洋の人たちが、中国や北朝鮮の独裁国家を見る目を日本人はあまり分かっていない。私はアメリカの中学校で教師をしている時に痛感した。共産主義は神を否定する。だから、人を殺すことに抵抗がない。ヤツラはそう考える。だから、日本を含めたアジア人は信用できない。文明化してあげないとなぁ。それが、クリスチャンの伝道の根本にあるように感じた。
世界史上、虐殺数のトップ3は誰だかご存じですか?
1,毛沢東 6000万人
2,スターリン 2000万人
3,ヒトラー 1100万人
4,ポル・ポト 300万人
共産主義者が3人ランクイン。
現在、アメリカのバイデン大統領は中国の習近平と対決姿勢を鮮明にしています。それは、日本人が考えるよりずっと深刻なんですよ。民主主義と独裁主義。資本主義と共産主義は絶対に両立しないし、妥協もあり得ないんです。
西洋諸国やイスラム圏は一神教。日本は多神教。中国は宗教否定なんですね。一神教の立場からすると、日本のような多神教の国は無知。中国は人殺しも平気な犯罪者に見えるはずなんです。
ですから、バイデン大統領は中国の習近平に妥協はできないので行くところまで行く覚悟なんでしょうね。日本人には神様が居ないので理解不能のまま日米安全保障条約にしたがってアメリカについていくはずです。軍事同盟ですから。
「なぜ人を殺したらいけないの?」
こんな質問にも様々な考え方があるなんて、子供の頃は想像もできなかった。