先日このブログを書いている時、知り合いの開発会社の人から
こう話をされました。
「メーカーさんも頑張っているんだからさ~」
自分は思います。
「そういった事なかれ主義が、結果として業界全体の衰退につながっている」
「頑張っている、という言葉は、遊んでくれるユーザーにとっては何ら関係ない」
さてここからが本題です。
遊技機業界の衰退の原因は様々あります。
それを段階に分けて、一つ一つ自分なりの見解でお話します。
まず今回のタイトル通り…
です。
その背景を語るには、メーカーの採用する人材の歴史を語る必要があります。
2000年代初頭から、各メーカーが少しずつ版権(IP)の機種開発に
移行し始めます。
当初はオリジナル:版権の割合は9:1程でしたが
2003年以降では5:5になります。
またここ10年の販売機種のオリジナルと版権の割合を見てみますと…
※図4:パチンコの年間機種種類販売数。
となります。
ただし純粋なオリジナルはもっと少なく、オリジナルといっても
メーカーの過去からの有名機種の焼き増しや、大当りラウンドで有名楽曲等を使って
いるなど、純粋な完全オリジナル機種は多分5%程になります。
さてこのように版権ものが増えましたが、2000年代初頭のメーカーの人達は
純粋に遊技機に対して、真摯に向き合う方々が多かったです。
しかしこの辺りで以下の事が発生します。
1・版権が増えた➡メーカーの人はオタクではなく、パチンコ職人。
2・CGを使ったムービー映像が増えた➡メーカーの人はCGに詳しくなかった。
そこで、メーカーの人達は、ある業界志望の人達を新入社員で入れ始めます。
それはゲーム、アニメ会社志望の専門学校生や大学生でした。
2000年初頭辺りで、日本のコンシューマーゲーム業界は衰退します。
ゲーム会社の売り上げが落ち、当時のゲーム会社は率先して
新入社員を採りませんでした。
そこで、遊技機メーカーはゲーム会社に入社できなかった
人達を率先して採用します。
また同時に、ゲーム会社、アニメ会社にいた人たちを引き抜き始めます。
実はここで問題と分岐が起きました。
まずゲーム会社志望の新入社員のかなりの割合で…
そもそも遊技機(パチンコ)が好きではない人が多かったのです。
ではなぜ遊技機業界(メーカー)に入ったのか?
それは…
というのが大きいです。
実際幾つかのメーカーでそういう人にたくさん会いました。
そして、そういった人達は自分の好きなアニメや版権を優先させ
その時のモチベーションは高い方でした。
ただし、あくまでも関わるという意味であった事と
先に書いたように、自分よがりの「版権好き」な機種開発に傾倒し
ユーザーがどう感じてくれるのか?
というイメージがほとんど出来ていませんでした。
ここで笑い話にならないお話を…
あるオリジナル版権の機種開発をしていた時、
メーカー担当者(大卒から生粋)が、その版権の声優を勝手に決めてきました。
※一言で言って「ワ〇〇ース」の声優さん中心。
で、収録も担当者が立ち会うと。
「いや、自分たちがセリフのチェックをしないといけないのですが…」
と説明しても、
自分達の立ち合いはさせられない。
私(メーカー担当者)がチェックします。
仕方ないので、収録台本をお渡しして、収録チェックをお願いしました。
そころが上がってきたデータを見たら…
全部、最終チェック前の台本内容だったのです!
そのメーカー担当者は、台本データを間違えて古いデータを収録スタジオに
持ち込んでいました。
そして収録から1か月もしないうちに、その担当者はプロジェクトの途中で
退社(転職)してしまいます。
理由は…
「好きな声優さんとお仕事が出来たから♪」
ガチで殺意の波動が出ましたねw
※ちなみにその担当さんは、別のメーカーにいまだにいますよ。
そしてもう一つメーカーのミスですが、
1機種辺りにかける社内の社員を多く割り振り過ぎてしまい
社員が辞めると、機種開発が回らない為、簡単に社員を切る事ができなかった。
何故1機種辺りにかける社員を多くしたのか?は次回お話しますが
人が欠けると年間の予定開発機種が作れません(維持できない)。
なので、人が抜けられると死活問題だったのです。
ただそれでも年間の売り上げが落ちてきている中で
リストラではなく、依願退職者を募るメーカーも沢山いました。
その時、真っ先に辞めたのは、中途採用で元々スキルを持ってメーカーに入った
本当は引き留めなければならない「デキる」人達だったのです。
彼らは元々情報源を外にたくさん持っています。
それこそ開発会社に前職の元同僚等もいます。
そういう人から話を聞いて、遊技機業界に早々に見切りをつけて
本来いなくてなならない人が出てしまい、スキルに自信のない生粋の
社員が多く残りました。
もちろん、スキルがあり、遊技機業界に愛着が出てきて
「自分がなんとかしないといけない!」
と必死に残っている素晴らしい方もいらっしゃいますが、
そういう人は社内で不遇な環境にいるパターンが多いです。
次回は、メーカーの人達のスキルについて、お話します。
(※次回【遊技機衰退の原因(その2:メーカー開発社員の開発スキルの低さ)】に続く…)