プランナーはプレイヤーの夢を見るか？（28）【バブルの亡霊】

【バブルの亡霊】

先日、少し年上の人と話をしていた時の事。

「何故、今の日本の企業は、こんなに保守的になったのか？」

その言葉はとても実感としてあります。

現在、日本の社会の問題として「賃金が上がらない」という事が

上げられると思います。

それなのに大手企業の内部留保はとても多い。

以前いた会社も、内部留保は多いのに、社員に給与や福利厚生で

還元しない。

今の安倍政権は経団連に賃金を上げるように交渉していますが

経団連側は、それを良しとしていません。

また大手企業はかつては「世界の〇〇」と言われるように

電子部品や家電等も、世界に誇れるものを作っていました。

しかし今はメーカーという所から、中国や外資系企業の言うなれば

「下請け会社」となってしまっています。

別のブログを書かれた方がおっしゃっていましたが、

・チャレンジ精神がない

・投資をしない

・賃金を上げない

こんな事では、日本の企業は衰退の一途です。

そして良き人材が育たない。

何故、こんな事になったのでしょうか？

自分は少し前から

「バブルの亡霊がいまだに生きているから」

と言っています。

「バブルの亡霊」とは何でしょうか。

結論から言いますと…

バブル初期（1987年）からバブル崩壊（1993年）までに

社会人になった世代が、現在の経営者層になっており、

その世代層が「バブルの亡霊」だと思っています。

団塊の世代（高度経済成長）を支えた社会人、経営者がほぼ引退し

バブルの時に「学歴」と「楽な就職」をした世代が今の主流の経営者層です。

下の表を見てください。

1987年（正確には1986年12月あたり）からバブル景気が始まりました。

1987年から社会人になった人（当時23歳）は、その後バブルが崩壊する1993年まで

の間に、バブルを謳歌します。

人手も足りない、お金はある。

当時の会社は、学歴さえあれば能力はそこまで問わず、

ガンガン社員を採用しました。

仕事よりも接待や遊ぶ事に人生の重心を置き、

それこそ遊びに情熱を燃やしていました。

国内の企業は自分の業務以外のジャンルのものにちゃんと下調べもせず

ガンガン投資し、海外の企業を次々買収。

また絵画や不動産等も適正価格以上の価格で買い占めました。

しかし1991年ごろから雲行きが怪しくなります。

そして1993年に完全にバブルが崩壊します。

この時社会人になっていた人、バブルの恩恵を少し味わった社会人

（当時25～6歳以上としています）は、この時仕事の能力も磨かなかった状態で

バブル崩壊を迎えてしまいました。

※表のA～B（バブル恩恵世代、バブル少し恩恵世代）がそこに入ります。

それ以降の世代、表のC：バブル崩壊（氷河期）世代は学生時代に

バブルで遊ぶ社会人を見ていたものの、恩恵そのものは受ける事ができず

むしろ就職難を味わいます。

そしてその後、バブル崩壊から15年後に、今度はリーマンショックが訪れます。

この時、A及びBの世代はちょうど中間管理世代。

またバブルの時の能力から、経験値を持って少しは上がったとはいえ

「またバブル崩壊の再来か！？」

と焦りました。

そしてリーマンショックから11年後の現在（2019年）。

表のA及びBの世代は、今まさに上級管理職や経営者になっています。

Cの世代は、バブルを夢見つつ、その煽りを食らった世代です。

Cの世代は比較的精神的にも強く、またチャレンジ精神に溢れています。

しかしA及びBの世代に提案しても、そもそも責任や能力はCの世代よりも

決して高くなく、むしろ

「変な事をして、また会社が傾いたら…」

「自分が社長やっている間には会社を潰したくない」

そんなビビりが働いているように感じます。

そしてそんな思いが、会社の内部留保を増大させ、同時に

社員に還元しない。

（何かあったらこのお金を使えばいい…という完全ビビった経営）

実際に50代、特に55歳以上61歳くらいまでの経営者の方とお話すると

上記のような意見を良く聞きます。

日本の企業が復活するには、あと10年は待たないといけないのではないでしょうか。

なので今のままでは、給与が上がる、新しい事業にチャレンジする等は

A及びBの経営者や上級管理職がいる会社の社内では厳しいと思います。

（C、Dの世代の経営者がいる会社は期待できますが）

もしそうなら海外の会社か、独立する事をお勧めします。

ちなみに独立して、投資をお願いする場合も

CやDの世代の経営者の企業が良いと思います。

若い人たちは「バブルの亡霊」に負けないでください。

（※続く…）