こんにちは、masatoです!
先日、麻生財務相が参院予算委員会で、仮想通貨の取引で得た利益を「申告分離課税」に変更すべきとの指摘について、「国民の理解を得られるか疑問だ」として慎重な見解を示しました。
どの報道でも、麻生財務相に質問した藤巻議員の内容にはあまり触れられていないようでしたので、ここでは参議院インターネット審議中継サイトより同日の映像を確認し、質問および答弁について改めて振り返ろうと思います。
今心配なのが、ブロックチェーンの技術。ブロックチェーンは、インターネットビジネスの次に来る日本の成長産業のひとつではないかと言われていて、これを日本政府が成長を妨げるということはないと思う。
よく公文書などの決済で、安倍首相は電子決済を導入しようという指示をしていると聞くが、電子決済は改ざん記録なども残せるが、それを消去するプログラムもある。だから完璧なものではない。ブロックチェーンなら改ざんできないため、公文書を改ざんしないという対策に使える優れた技術。
また、行政だけでなく、インターネットビジネスに次ぐ偉大なる技術である可能性が非常に高いので、それを国が守らなければいけない。
問題は、ブロックチェーンと表裏関係にある仮想通貨のこと。
ブロックチェーンは仮想通貨が発展するための技術なので、ブロックチェーンはサポートするが仮想通貨はダメだということになると、当然ながらブロックチェーンが世界に遅れをとることになる。これから期待できる日本のブロックチェーン技術をブロックしてしまうことになる。ということで、やはりブロックチェーンと仮想通貨を一体に発展させなければいけない。
その時に何が仮想通貨で問題になるのかというと、金融庁がやっている消費者保護も重要だが、実は税制である。
今の仮想通貨の儲けは総合所得の中の雑所得になるが、去年、仮想通貨が大きく値上がりしたため非常に多くの税金を払っている人がいる。55%の税金を払っている。しかし、今年は仮想通貨の値段が落ちて大損している人がいるが、なにも補填がない。雑所得だと、他の給料とか不動産収入などと損益通算できないし、翌年に繰り越すこともできない。要するに、儲かればごっそり税金をもらって、損をしたら何もしないというのは、あまりに酷い税制だと思う。
儲けたり大損したりする金融商品で総合課税になっているものはない。要は株とかFXは税率の低い分離課税になっている。
確かに税の論理から言えば納得するところもある。しかし、日本の未来を築くかもしれないブロックチェーンや仮想通貨については、税の論理で語ってはいけないと思う。やっぱり日本の未来の論理、日本がどうやって食べていくのかという論理でいかなければいけない。ということは、税制で日本の未来を殺してはいけない。
そういう意味でいうと、やはり今の税制は日本の未来を殺しているのではないかと思うので、仮想通貨については税の論理ではなくて首相がリーダーシップをとって、きちんと改正をしていくことが重要だと思うが、いかがでしょう?
このブロックチェーン・仮想通貨について、今は国際金融の世界では「仮想通貨」という言葉はほとんど使わない。基本的には「暗号資産」「クリプトアセット」という言葉が「バーチャルカレンシー」に代わって使われている。
日本は法改正もそこまでしていないので、世の中では「よくわからないもののひとつ」だと思っている。少なくとも、このブロックチェーン・仮想通貨については、中国では禁止、韓国でも禁止されているのはご存じのとおり。これを使った利用者の方々が、詐欺に遭ったり損をしたりすることで、利用者の利益を引き続ききちんと見守っていかなければいけないというのが我々金融庁としての立場。
その上で、議員は仮想通貨の取引を20%の分離課税にせよと、おっしゃっていると思うが、同じ1億円を稼いだという話だとして、事業などをやって稼いだ人は、だいたい最大55%くらいの税率がかかる。かたわら仮想通貨、いわゆる暗号資産を利用した人は20%でという話は世間では通用しますかね? 私はそういったところで国民の理解が得られるのかと、まずそう思う。
次に、株と同じように、いわゆる現金を証券や債券に換えて資産運用していこうと我々は言っているが、その中のひとつに仮想通貨を推奨して税金をどうするとかしたとして、このクリプトアセットは信用が国際社会で得られているであろうか。おそらくそういう国はないと思うので、その点に関しては疑問。
3つ目は、仮想通貨をやるにあたってブロックチェーンというコンピューターを使った技術は間違いなく必要。これをやるにあたって、ブロックチェーンは仮想通貨以外にも使えるので、そういった意味でブロックチェーン技術をより育成していくために仮想通貨を購入・利用するのを後押しする必要があるのかどうか。その点について、さまざまな問題がある。
この件に関しては、日本は遅れている話だと言われているが、たぶんこれは私は日本が一番進んでいると思っている。いろんな意味で私どもとしては、慎重に対応しながら育成していく方向で考えている。
以上が、藤巻健史議員の質問に対する麻生財務相の答弁です。
仮想通貨に関しては、日本が率先して何かをやっていくというより世界の動きを見ながら慎重に対応していく姿勢が見えますね。
なお、本予算委員会の審議映像については誰でも視聴できますので、気になった方はチェックしてみてください。
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