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乙武洋匡さんと吉藤オリィさんの対談で考えたこと

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  • masayuki502
  • 2019/03/17 16:09

 少し前に代官山の蔦屋書店で、乙武洋匡さんと吉藤オリィさんの対談イベントをみに行きました。ここの蔦屋書店、久しぶりにきたけどやっぱり素敵な本屋さんだなぁと思いました。会社帰りでちょっとぐったりしていたのですが、コーヒー飲んで少し元気になりました。

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乙武さんが電動車椅子で颯爽とイベント会場に登場してから、イベントは始まりました。テレビや本ではみたことがあったけど、本当に手足がない!と純粋に思ってしまいました。そしてスーツをビシッと着ていて、めちゃくちゃかっこよかったです。女性にモテるのもなんかわかるなぁ、と思いました。吉藤オリィさんは、本当にあの黒い白衣を着ていて、とても早口なイケメンでした。

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 最初、吉藤オリィさんが今やってるOriHime(オリヒメ)ロボットの活動や自己紹介を30分くらいお話してくれて、乙武さんにしゃべらせないつもりなの?って一瞬こちらが焦るほど楽しそうにずっと早口で喋っていて、聞いているほうもあと2時間くらいは聞いていたいくらい楽しいお話でした。その後、乙武さんが不倫ネタで一笑いとってから、今やられている義足プロジェクトのお話をしてくれました。そして、お二人の対話がはじまります。日本の、"人に迷惑をかけてはならない"、ということを過度に求める空気感が今の日本の社会や経済の硬直化や停滞につながっているのでは?という話が最初にでて、それは自分も最近ずっと感じていることでした。苦手なことは得意な人にやってもらって、自分が得意なことは他人にしてあげるような、補完してシェアしあいながらやったほうが良いであろうことまで自分でやろうとするところが良くも悪くもあるよなぁ、と。これから超高齢化社会がもうすぐ到来する日本社会において、この空気を今のうちに少しでも変えていかなければ、とても生きづらい社会になってしまう、人に頼ることでしか基本的な生活を送ること自体が難しい乙武さんのこの言葉には、とても説得力がありました。誰かに頼ることを我慢してみんなで疲弊していくより、みんなで"自分にもできること"をシェアしあいながら、生きがいや、やりがいを持ちやすい社会を形成していくほうがきっと、楽しく生きていける気が僕もします。

 そしてもう一つ大きなテーマとして、テクノロジーの話です。乙武さんは、何かを変革するためには"意識"と、"制度"、を変えることが重要だとずっと思ってきたけれど、最近はこれよりもテクノロジーの重要性をとても強く感じていると言っていました。乙武さんがイギリスに行ったとき、とある福祉のお仕事をやられている政治家の方とお話した際、我が国イギリスで今一番力を入れているのは福祉をテクノロジーでいかに解決するか、です。日本はテクノロジー大国なので、是非参考意見などが欲しいしこれからもそのような意見交換をしたい、と言われた時、顔から火が出るほど乙武さんは恥ずかしかったそうです。日本のバスは未だにほぼすべてのバスが車椅子用のスロープは、人力で運転手さんが気合で設置する現場任せなアナログ方式です。一方イギリスでは、ほぼすべてのバスで運転手さんがボタン一つ押せば自動で車椅子用のスロープが出て、ボタン一つで元に戻る方式になっているそうです。日本は他人に迷惑をかけてはならない空気が強いので、運転手さんが自分のために時間をかけて車椅子用のスロープを設置し更にそれをみている乗客のひとたちの顔をみながら待っていなければならない車椅子の方は、本当に精神的にも辛いだろうし、そのような日本の現状を知っていた乙武さんはその時に何も言えなかったそうです。その話を聞いた吉藤オリィさんが、もう一つ日本の大きな問題点としてあげたのが、テクノロジーを使ったソリューションの話になると日本企業(特に大企業)は用いるテクノロジーが先進的なハイテクノロジーでなければならない、という風潮が強すぎる、というお話をされました。日本のバスの自動スロープ化は、枯れた技術で安価に導入することはいくらでもできるような気がしますが、実際は難しいと思います。でも、世界初の日本ロボティクス技術を使った〇〇!みたいな感じの切り口ならいけそうな雰囲気?はなんとなくあります。この違和感は、IT業界にいる僕はとても共感しました。やたら世界初とか、処理能力が世界一ですとか、先進的な技術です、みたいな解決するべき課題や目的には直接関係ないところばかり気にして、本質的には手段でしかない先進的な技術自体が目的化してしまって、ずーっとProof of Concept(概念実証)ばかりしている印象があります。取り敢えずビジネス化してみて、実際にそれを求めている当事者に使ってもらって、そしてボロクソに言われたりして改善しながら、プロダクトやサービスを当事者やユーザと共に作り上げていくことを嫌がります。でも、本来はそのサービスを本当に求めている人たちに対して、今もう既にある安価で枯れたテクノロジーを用いてスピード感をもって、失敗を繰り返しながら、解決できる課題や可能性を模索するほうがよほど生産的でみんなが幸せになるだろうなぁ、と思いました。
 この他にも、色んなお話はたくさんありましたが対談は楽しく終わりました。本当に参加してよかったなぁと思える、久しぶりのイベントでした。僕は基本的にこのようなイベントにせっかく参加しても、参加されている方としゃべったりするのは苦手なのですが、今回は違いました。期間限定で分身ロボットのオリヒメを介して代官山の蔦屋書店員さんとしてリモートで働いていた、島根だっけ?にいる女性とオリィさんについてのお話とか、ちょっとした雑談が少しだけできました。遠隔で、分身ロボットだからこそできるコミュニケーションもあるのかもなぁ、そう思って僕は会場をあとにしました。

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