僕はつい最近まで、旧正月というものをぼんやりとしか知りませんでした。なんとなく中国の人は、正月がちょっとずれてるんやろ?くらいにしか思っていなかったのですが、最近仕事をしていて、グローバル企業のクライアントが日本人じゃなく中国人や韓国人なども増えてきたというのもあり、韓国人も旧正月なの??ということを知りました。ちょっと調べると、台湾も、マレーシアも、というか中国に加えて東南アジアほとんどみんな旧正月だ、という事実を知ったのです。日本も昔は旧正月だったようですが、明治になったタイミングで今の新正月に変わったようです。
そんな感じで最近は、旧正月って各国どんな感じなんだろう。。。という思いがうずまいていたのですが、誠品生活日本橋という最近東京の日本橋にできた世界のオシャレ本屋さんのルーツだといわれている、台湾の誇る誠品書店さん日本第一号店で、台湾の大晦日の雰囲気みんなに体験させちゃる、という台湾旧正月イベントを開催していたのです。旧暦の大晦日となる1月24日の金曜日だけ、23時まで開店していて、店員さんたちも特別対応のようです。
その日は仕事をさくっと片付けて、台湾の旧正月に行こうと思っていたのですが、その日に限って死ぬほど忙しく全然帰れず、疲労困憊してしまいました。今日はもう大人しく家に帰ろう、旧正月は来年もくるでしょ、と思ってしょんぼりしていたら、珍しく彼女も同じくらいの時間にこれから帰るよ、と連絡がきたのです。基本的に彼女のほうが仕事は全然忙しいので、職場めちゃくちゃ近いけど仕事帰りに会うことはまずないのです。3日間くらいは、旧正月の話していたので彼女が今から旧正月に行ってもいいよ、と言ってくれました。疲れてるけど、二人で行ったらきっと楽しい!ということになり、誠品生活日本橋に向かいました。そして、たどり着いたらいきなりお菓子を貰いました。仕事帰りの疲れた大人たちが、こんな遅い時間に、しかも本屋さんでお菓子をもらって、みんな幸せそうに食べてる姿はなかなか不思議な光景でした。
"福を皆と分かち合う"という想いで、新年にこの「福煎餅」をみんなで食べて、素敵な一年になるように祝いましょう、ということだそうです。コンセプトも素敵ですが、味もとても美味しかったです。そして、これは台湾版のおみくじ、のようなものみたいです。
旧正月のおめでたい感じの、グッツもたくさん売ってました。赤い。日本よりもちょっと派手な感じだけれど、同じような感じなんだなぁ、とみていて思いました。
お正月をテーマにした書籍コーナーもありました。
そして誠品書店と併設されている、以前から気になっていた富錦樹台菜香檳(フージンツリー)という台湾料理屋さんでご飯を食べました。
最初はやっぱり、台湾ビールです。なんか仕事で疲れてたのもあって、死ぬほどおいしく感じました。瓶の台湾ビール好き。
一番美味しかったのは、これでした。生姜たっぷりと、柑橘醤油をかけて食べる”茹で鶏のソースがけ”です。本当に美味しかった。
台湾ビーフン 干し海老、豚肉、7種野菜入り。
カキと揚げパンのニンニクソース。
台湾スイーツの豆花(トウファ)。
フージンツリーは本当に台湾旅行しているような気分にもなれるし、とても美味しかったです。食べ終わる頃には流石に人がいなくなり、独特な雰囲気が漂い、今どこにいるんだっけ?という気分になりました。ここが、東京証券取引所なんかのある日本の金融街の日本橋であることがとても不思議で、でもこういう感じ悪くないなぁ、と思いました。
誠品書店では、今こんな特集をしていました。ボーダレスフェア。
国境、人種、ジェンダー、LGBT、経済格差、障害者/健常者という区別を超え、多様性を認め合い連携する世界を考えるきっかけとなるフェアです。
今、世界はテクノロジーで繋がりすぎた結果起きた、過度なグローバル化の反動で、分断がそこらじゅうで起きていているような気がします。本来ならば、ゆっくり時間をかけて、文化や歴史を学んだり、立ち止まって考えたりするべきステップをすっ飛ばして、凄い速さで繋がりすぎたことが原因で、あらゆる場面で機能不全を起こしているのだと思います。でも、それも仕方がないことで、インターネットは、考える間を与えさせないように、アルゴリズムで最適化された広告を見せるためのプラットフォームになってしまっていて、インターネットを介して本当の意味で文化を伝えたり、共有することが、今とても難しくなっていると思います。
そして文化を伝えて、共有していくためには、心の余裕が必要です。でも、現代の人々は仕事で忙しく、自分の生活に精一杯で、心に余裕のない人の割合がどんどん増えてきているように感じます。そんな負の連鎖を断ち切るための一つの答えとして、誠品は、文化、アートの空間をビジネス街の中心地に作り、忙しい都市の人々の心を落ち着かせ、心に余裕を持たせるための文化の共有、発信のプラットフォームを目指しているのだと思います。
この日僕は、台湾のお正月ってこんな雰囲気なんだなぁ、ということをぼんやりと知ることができました。たった、それだけのことなんだけど、台湾だけでなく、同じ旧正月を過ごす中国や韓国や東南アジアの国の人たちに対しても、ほんの少しだけ心の距離が縮まったような気がしました。そして何より、素敵な一日が過ごせてよかったです。