今回は、仮想通貨(暗号資産)のBEAM(ビーム)を取り上げたいと思います。
BEAMの暗号化技術についての記事はすでにたくさんあるかと思いますので今回はなるべく技術にわからない人でも理解できる範囲で、概要を解説できればと考えています。
目次
★概要
◎文字での簡単なまとめ
◎通貨情報
★プロダクト、ソリューション
◎Q&Aによる解説
★値動き
★主要開発者、投資家
★まとめ
★各種リンク
ミンブルウィンブル(Mimblewimble)プロトコル上に構築された匿名の仮想通貨。
プライバシー(匿名性)とスケーラビリティ―の両立をするためミンブルウィンブルを世界で初めて実装。すべての取引がデフォルトで匿名な一方監査可能性も選択可。アドレスを用いない、ブロックサイズを小さくしてスケーラビリティを達成、オンライン・オフライン取引やアトミックスワップ、ウォレット統合可能性などの特徴。ICO、プレマインなし。2019年1月にメインネットローンチ済み。
通貨名:Beam(ビーム)
ティッカー:BEAM
最大供給可能量:262,800,000 Beams(※)
循環供給量:2,746,640 Beams(2019/1/27現在)
プラットフォーム:Beamメインネット
マイニング:PoW(Equihash)。プレマインなし
ICO価格:ICOなし
取引所:Hotbit、Bisq
公式ウェブサイト:https://www.beam.mw/
公式ツイッター:https://twitter.com/beamprivacy
ミンブルウィンブルペーパー:https://docs.beam.mw/Mimblewimble.pdf
※BEAMでは、BEAMの最小単位であるGrothを使い、1 BEAM=1億 Grothと考えるので、26,279,999,976,873,600 Grothが最大で供給されるという視点もある。
通貨供給スケジュールについては公式の記事「Beam Emission Schedule」が参考になります。
以上の概要から、スケーラブルで匿名性(プライバシー)の高い暗号通貨なのかなーというざっくりした内容がわかっていただければと思います。
次に、Q&A方式によって実際どのようなコインなのかという理解を深めたいと思います(`・ω・´)ゞ
ミンブルウィンブル(MimbleWimble)とは?
「ミンブルウィンブル(MW)プロトコル」は、元はビットコインに対する改良案であり、機密性とFungibility(代替可能性)を向上させる一方で、拡張性を高める実装です。このコンセプトは、2016年7月発行のホワイトペーパーで紹介されました。
Beamはミンブルウィンブルを実装する最初のプロジェクトになる予定です。
(中略)
Beamはこの機密性を提供しつつ、さらに、ビジネスユーザーが必要に応じて金融取引を税務当局または監査人に報告できる可監査性(Auditability)を備えています。ユーザーは、可監査性のレベルと開示性を選択できます(Opt-in Auditability)。
参照:CoinTokyo「Mimblewimble実装の匿名通貨「Beam(ビーム)」が1月3日にローンチ!ライトニング統合とイーサリアムステーブルコイン計画を公表」
また、米国適格投資家のRyu(@Ryugunsun)さんによると、
MWプロトコルが提唱された時からずっと期待され、イノベーションと言われ続ける理由は
①プライバシー
②スケーラビリティ&ブロックチェーンサイズ縮小
の2つに大別されます。
つまり、プライバシーを確保しながらも、既存の匿名通貨(Moneroなど)では達することができないレベルのスケーラビリティを獲得した通貨が満を持して世に登場するということです。
(中略)
MWプロトコルでは「ウォレットアドレス」が不要なので存在しません(すごい所①)。また、送る通貨量の情報もノードに送られません(すごい所②)。
また、リング署名やゼロ知識証明(zk-snark)のような通常のトランザクションを暗号化・隠蔽する技術ではなく、トランザクション自体が元からプライバシーで、アドレスや取引量の情報をそもそも含んでいないことが重要なポイントです。
更に面白いところは、AからBに、そしてBからCに送金した場合、残るのはAからCに送った状態だけで、Bを介していますがそのデータはブロックチェーンに残りません(すごい所③)。カットスルー(Cut-through)と呼ばれる技術です。必然的に保存するデータ量がかなり減るのでブロックチェーンサイズは縮小します(すごい所④)。
参照:【有望プロジェクト紹介】③ MimbleWimble Protocol (Beam/Grin)
としてミンブルウィンブル(MW)プロトコルへの期待感を語っています。
さらにRyuさんは匿名化技術の比較記事も書いていてかなり参考になるので良ければご参照ください。
価値の蓄積とは?
ビームは毎秒17トランザクションをサポートします。この数字はBitcoinや既存のプライバシーコインよりも高いですが、日常の交換手段としてBeamを使用するには十分に高くないことを強調することが重要です。将来的には、Lightning、Thunderellaなどの第2層のチェーン外ソリューションを使用することでトランザクションのスループットを向上させることが可能になるでしょう。それまでは、Beamの主なユースケースは、日々の支払いではなく価値の蓄積になります。
マイナー報酬は?
初年度は1ブロックあたり80コインがマイナーにより採掘されます。2年目から5年目は1ブロックあたり40コイン、6年目には25コインになり、それ以降は129年目まで4年ごとに半減期が発生する仕組みとなっています。
プレマインなし、ICOでどうやって運営するの?
マイナー報酬のうち一定割合(45%)がチームやアドバイザーへの報酬となります。
ブロック時間とサイズは?
BEAMでは、1分ごとに1ブロックが作成されます。各ブロックには約1000のトランザクションが含まれます。
Beam、ZCash、Moneroの違いは?
公式が公表するこちらの記事にて機密性・監査能力・スケーラビリティ―の比較をしています。各通貨のまとめ部分を抜粋すると▼
Monero(モネロ):まとめ
Moneroは、機密性、スケーラビリティ、および監査性の点で非常に優れています。
Zcash(ジーキャッシュ):まとめ
Zcashは優れたプライバシー機能を持っていますが、それらは計算量が多く、今のところほとんど使用されていません。ZcashのスケーラビリティはMoneroのスケーラビリティより優れていますが、それでもまだ不十分であり、監査能力も劣っています。ただし、Zcashはそれを改善する計画を持っています。
BEAM(ビーム):まとめ
ミンブルウィンブルを実装することで、BEAMは優れた機密性とスケーラビリティを実現し、プロトコルの拡張により優れた監査性も可能になります。私たちは、BEAMには、通貨が広く採用されることを願っているならばどんな通貨でも持つべきであるという特徴を持っていると信じています。
Grinとの違いは?
Beamと同列で語られることが多い、コミュニティ主導によるボランティアの「Grin(グリン)」ですが、テクノロジー、排出量、特徴、ガバナンスの4つの点について以下のような違いがあるようです。
-テクノロジーの違い
・プログラミング言語
Beam:C ++
Grin:Rust
・マイニングアルゴリズム
Beam:Modified Equihash(修正エクイハッシュ)
Grin:Cuckatoo 32+、およびCuckaroo 29
-排出量(コイン流通量)の違い
BEAMは、総コイン約2億6,300万枚の上限排出モデルを使用しています。Grinは、毎秒1 Grin(1分のブロックにつき60 Grin)の排出を無限に行います。
-特徴の違い
どちらのプロジェクトも常に機能を追加していますが、開始予定の既知の機能リストは次のとおりです。
アトミックスワップ
Beam:ビットコイン🔁Beam
Grin:Ethereum 🔁Grin
監査能力
Beam:オプトインで可能
Grin:なし
機密資産
Beam:可能 - BEAMブロックチェーンで追加のトークンを発行する可能性
Grin:まだありません
-ガバナンスの違い
BEAMは典型的ななスタートアップとしてはじまりました。私たちは投資家からお金を集め、給料を払っています。将来的には、BEAMはプロトコルの管理をBeam Foundation(基金)に渡すことを計画しています。
Grinは、コミュニティの熱意と寄付によって支えられ、1人の有料開発者を支援する100%のボランティアプロジェクトです。最初の2年間、Grinはコミュニティからの意見をもとにコア開発チームによってガバナンスされます。
詳細は公式の公表するFAQをご参照ください。
CMCによるチャートを貼っておきます。こちらから確認できます。
なお、CMCの総合サプライについては本文中では最大供給可能量(262,800,000 Beams)と取り扱いしております。
チーム
CEOはAlexander Zaidelson(アレキサンダー・ザイデルソン)氏となっております。
CEOはCIRTechファンドというベンチャーキャピタルファンドのプリンシパルやソフトウェアエンジニアなどの経歴があるようです。
投資家
上記で説明した通り、BEAMは当初投資家からお金を集めて、その後マイニング報酬の一定割合をチームに割り当てる形で運営をしてしていくスタイルを採っています。投資家陣は画像の通りとなっております。NodeCapitalとCeyuan(源って書いてあるの)以外はあまり見ない気がします(知識不足でスイマセン…💦
2019年2月にリクルートおよびリクルートストラテジックパートナーズ(RSP)が出資したとのニュースがありました。
以上、Beamをなるべく簡潔にまとめてみました。
界隈の大物たちや技術が好きな人達がすごいすごいと言っていたのは気づいていたのですが、ミンブルウィンブルという初見のワードへの難しいイメージや、BEAMもGRINも名前からしてギラギラしてる感がはんぱなかったので、わたしなんかが後発で取り上げていいのだろうかとこれまで取り上げてきませんでしたが、実際値動きや海外の盛り上がり具合を見てこれは取り上げなければと思いました。
2019年のロードマップ(参照:2019年のロードマップ)は非技術者がぱっと見で理解できる内容ではなかったので詳細を取り上げませんでしたが、Beam Core(ビームコア)では通貨と支払いネットワークの拡大、Beam Compliance(ビームコンプライアンス)ではコンプライアンス/監査可能性のオプトインにフォーカスしつつもLightningネットワークやPoWアルゴリズムの変更、ウォレット開発など、エコシステムの拡大を見込んでいるとのこと。
全体的な印象としては匿名性が高くてスケーラブルなビットコインを目指すような印象でしょうか。特に元々ビットコイン用に開発されたというMimbleWimbleの利用や、日常利用を想定していない点などからしてビットコイン同様の価値の保存性、価値の蓄積性を感じました。
同列で語られるGrinに関しては一定の勢いでインフレしていく(発行上限がない)通貨なので、値段が下がっていくのではないかという事もあり取り上げるかまだ分かりませんが、今後ともミンブルウィンブルというプロトコルや関連するプロジェクトに興味を持っていければと思います。
最後までご覧いただきありがとうございます。
公式サイト:https://www.beam.mw/
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