出版を元気にする勉強会プロジェクト:「AI導入は出版業界を救うか?」 ~第28回 本とITを研究する会~に参加しました。7月3日(水)に東京都千代田区神田神保町1-32 日本出版クラブで開催されました。
参加してきたので報告記を書きます。(あくまで私が覚えている範囲での記録です。)
会の最初では、出版業界が右肩下がりだという話がありました。ピークは1995~1996年ごろで、そこから下がり続けているそうです。電子書籍は伸びていますが、紙の減少は止まりません。
当然ですが本を読む人もいれば、読まない人もいます。
(1)読んでいる人にもっと読んでもらう
(2)読まない人に読んでもらう
会では、(1)読んでいる人にもっと読んでもらうの方向で、AIを使ってリコメンドするという話が多かったです。単純化すると、
自分が読んだ本の一覧と、他の人が読んだ本の一覧をデータとして用意する→自分と共通の本が多い人を抽出する→共通の本が多い人の読んだ本をリコメンドする
みたいな感じです。
AIを使う場合、たいていはデータが必要になります。(もしかしたらデータ無しでもAI活用できるのかもしれませんが、会の話ではデータを入手して活用する、みたいな感じでした。)
この場合に問題となるのが、データを共有できるのか?です。
もちろん、技術的には、各社が協力してフォーマットの共通化・同期などを工夫すれば良いのでしょうけど、個人情報データを提供することへの抵抗感、という問題があります。
実際、会において「AIのリコメンド性能が素晴らしければ、個人情報を全部提供して良いと思う人は手をあげてください?」という問いかけがあったのですが、手をあげたのは1~2割ぐらいだったと思います。私は手をあげたのですが、かなり少数派だったようです。
AIが出版業界に役立つ、という観点だけでなく、出版業界がAIに役立つ、という観点も少しありました。具体的には、翻訳書籍をAIに活用できるのでは、という話です。翻訳書の文章を、AI翻訳の教師に使えそうだ、という内容でした。私が学生の頃すでに自然言語処理のデータに毎日新聞の記事が使われていましたから、こちらは既に実現しているかもしれません。
速読を広める→本をたくさん読むようになる、という話もありました。AIとは関係無さそうですが、面白いアイデアだと思いました。
会の最後にじゃんけんで勝ったので、ベルさんのサインを貰いました。
大きなトピック、パネラーが四人、フロアからの質問を受け付ける、という形式で2時間は短すぎた気がします。リコメンドの話だけでも2時間では足りないかな、という印象です。
私の近くのテーブルでは、実際の書店ではアナログなPOPで販促している話とか、技術書の校正にAI使えると良いね、といった話が出ました。
弊社はウェブ制作会社なので、ホームページ等ではYahoo APIを使った簡易校正支援ツールを作っているのですが、これの強化バージョンがあると書籍執筆は楽になりそうです。
AIを活用する企画も面白そうですが、読書好きな人として、すぐにできそうなこととしては、ブログやSNSなどで発信・交流するなのかな、と思います。
ツイッターなら、#のベルズタグで検索すると読書好きな人が交流できるようになっています。
今は読んだ人が読んだ本をつぶやくことが多いですが、「こんな感じの本が読みたい」といったツイートも出てきたらもっと活発になりそうです。