何事もまずは先人から学ぶべしということで、クリプトマーケティングを設計していくにあたり、ALISさんのマーケティングを調べてみることにした。
派生して、分散型アプリケーションと共創マーケティングについても述べてみた。まだまだ知識も浅いので、議論させて頂けると嬉しい。
ALISで文章を書きながらここから入るのは恐縮だが、ALISのトップページ以外からの流入も考慮して、一応書いておくことにする。
ALISのトップページから引用をすると、ALISとは
信頼性の高い情報・人に素早く出会えるソーシャルメディアプラットフォーム
とのこと。
目指す世界観は以下のよう感じ。
信頼できる記事を書いた人、それをいち早く見つけた人が報酬を獲得することで信頼できる情報を蓄積するプラットフォーム
目的、ミッション的なことでいうと下記のとおり。
従来のメディアにありがちな広告のためのコンテンツ、ステルスマーケティング、信頼性の低い情報にうんざりしている人々を解放すること
海外サービスでいうと、steemit が類似サービスとして挙げられる。What is steemit? から引用すると、steemit は次のようなサービス。
Steemit has redefined social media by building a living, breathing, and growing social economy - a community where users are rewarded for sharing their voice. It's a new kind of attention economy.
ALIS も steemit も良質なコンテンツを見つけるためのプラットフォームということができるだろう。コンテンツ生成者のみならず、そのようなコンテンツを初期に発見した人に対してもトークンリワードが付与されるというインセンティブ設計により、プラットフォーム単体で機能するようになっている。
なお、ALIS は steemit の違いとして、自らをただのソーシャルネットワークではなく「信頼ネットワークのプラットフォーム」として定義しており、将来的な方向性として、食べログのような口コミサイトをもディスラプトしていく未来を描いている。(Part2. ALISとSTEEMの違いと、長期的発展のシナリオについて)
CMOの水澤さん曰く、ALISのマーケティングは「コミュニティの重要人物を特定し、承認行動からのバイラルを狙うのが基本戦術」だという。
その根底にあるのは「ToT(Transfer of Trust)マーケティング」の考え方。プッシュ型で売るのではなく、顧客コミュニティを創り、コミュニティと共に創っていく共創マーケティングとも呼ばれる手法だ。
具体的な施策レベルでは、Trelloによるプロジェクト進捗の共有、ALIS Ambassador Program、Discordによるコミュニケーション、ALISクローズドβ版公開記念イベントの実施等が挙げられる。
さらに、CEOの安さんは、そのような共創マーケティングの背景にある大きな変化の潮流を次のスライドで表現している。
既存の株式会社という枠組みでは、投資家、従業員、ユーザーのゴールがバラバラで共創していくことが構造的に難しかった。しかし、トークンエコノミーの世界では、投資家、従業員、ユーザーのゴールが「コミュニティの価値向上」で一致する。同じゴールを目指すことで共創がしやすくなるというのは容易に想像できるだろう。
この変化は個人的にも大きいと思っている。今までのサービスあるいは企業では、収益化を求めるあまり倫理的あるいは法的にアウトな施策を実行してしまったり、ユーザーの反対を押し切ってでも株主の利益を優先しないといけないといったことも往々にしてあった。
これは、構造として、各ステークホルダーの利益が相反する関係にあったから生まれたものといえる。これを変えていく潜在性を持っているのが、「共創マーケティング」だ。
「共創マーケティング」という言葉自体は、トライバルメディアハウスの池田紀行さんが著書「次世代共創マーケティング」を2014年に出版されているように、ここ数年で広まっているように思う。
ALISが示すように、トークンエコノミーの登場によって、その「共創」はさらに深まる可能性がある。言い換えれば、「最終的なゴールを共有した状態で共に創る」ことによって、共創は進化を遂げていくかもしれない。
なぜなら、シンプルに、各ステークホルダーが別々のゴールを持っている場合に「共に創る」ことは難しい(共通の中間ゴールを創ることが現実的)が、各ステークホルダーが同じゴールを目指すのであれば「共に創る」ことが自然な流れといえるからだ。
本記事では、ALISのマーケティング戦略についてまとめるつもりだったが、そこから派生してトークンエコノミーによって進化する共創マーケティングについて触れてみた。
「共創の進化系」については、全てがうまくいくわけではないかもしれないが、構造的な変化を伴うすごく夢のある話で、大きなチャレンジであるように思う。
そして、「共創」は分散型アプリケーション(Dapps)のマーケティングとしては主流になっていく考え方かもしれない。文字通り、相性が良いからだ。自分としてもどのようなアプローチがあるか考えていきたい。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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