赤い身体に黄色い髪の毛。角が生えていて鋭い牙がある生き物な~んだ。
そう、鬼である。
私は今鬼と戦っている。
現在2月3日30時24分
そう、私が鬼を倒さない限り、世界に2月4日が訪れることはないのである。
私の職業は鬼退治屋。節分の度に現れる鬼を退治し世界に2月4日を届けることを生業にしている。見たことはないが世界にはサンタクロース退治屋やハロウィーン退治屋なんてのもいるらしい。
「ぶるあああああああああ!!」
地の底から鳴り響くような唸り声が鳴り響く
「あぁやばい、早く倒さないと…」
実は鬼を1人で退治するのは初めてだ。去年までは伝説の退治屋と呼ばれる父が主に戦ってくれていたのだが、仮想通貨の暴落とやらに巻き込まれてあっさり死んでしまった。
とまぁそんなことを言っても私がやらなければ2月4日は二度と訪れることはない。私はどでかいバックを肩から下ろし、中から武器を取り出す。
「ちゃららちゃっちゃちゃ~恵方巻ダイナマイト~」
説明しよう!!恵方巻ダイナマイトは毛根鬼退治屋に代々伝わる最強の武器である!!このダイナマイトの爆発に巻き込まれた鬼は死ぬ!!!
私はダイナマイトに火をつけ寸分の狂いもなく鬼へめがけ投げた
「__________!!!」
爆発音と共に大量の米が飛び散る
「やったか!?」
言ってはいけないセリフを発してしまった。やったか!?というセリフが出るときは大抵やってない。なんなら100%やってないと言っても過言ではない。
案の定、鬼は顔についた米を舐めとりながら現れた。もちろん無傷である。
「な、なんで…」
鬼が私に近づいてくる。見上げるほどの巨体を持った鬼、私は身動き一つ取れなかった。
目の前まできた鬼はゆっくりと口を開いた
「その恵方巻ダイナマイト、賞味期限切れてますよ」
……!!確かにその通りである。時刻はすでに2月3日30時。半額ですら売れない。賞味期限は切れ廃棄処分する以外に手はない代物であった。通りで鬼は無傷なわけだ。
鬼は「そろそろ自分も攻撃いいっすか?」と言いながら拳を振り上げたので、私は「ちょっとまって、あと5分待って」と攻撃を止めさせた。
鬼は「しょうがないですね。あと5分だけですよ」と律儀に私のお願いを許可してくれた。
私はバックから新たな武器を取り出した。
「ちゃららちゃっちゃちゃー豆サブマシンガン~」
説明しよう!!豆サブマシンガンとは豆を乱射する為に開発されたサブマシンガンである!!これに打たれた鬼は死ぬ!!
「あと3分ですよ~」と呑気に時間を数えている鬼に私は躊躇なくマシンガンを放つ
ドパパパパパパパパパ
豆が飛び散る、鬼の肉片も飛び散る。
「ぐあぁぁぁぁぁぁああ!!!」
鬼の叫び声が聞こえる。
父さん、見てるかい。私も立派に鬼と戦えてるよ…
マシンガンの玉が切れる頃には鬼はボロ雑巾のようになっていた。
私は鬼を見下ろしながら言う
「何か言い残すことはないか?」
よくは分からないが毎回父がやっていたので真似してみる。
「娘に…合うことがあったら伝えてくれ…強くなったな…と…」
鬼は血にまみれた顔でにこりと笑い絶命した。
その笑顔が父に似ていたことは何かの勘違い…なのだろう。
そして時計は2月4日を刻み始めた。
完