03/07/2015
いよいよ7月。
エディンバラフェスティバルフリンジ開幕、つまり”complex”初日まであと6週をきりました。
来月の明日には、エディンバラへ出発します。
今回のこのプロジェクトは、MY COMPLEXとして初めて創り上げる物語がベースにあり、私たちにとっても記念すべきものです。
皆さまのご支援のおかげで、物語創りと並行して着々と渡航に向けた準備と現地との上演に向けての細かい打ち合わせがスムーズに進んでいます。
先日、去年のスケジュールをみて大体のタイムラインを見直そうということで、映像記録などを遡ってみたところ、とんでもないことに気付きました。
「無知の強さ」とでも言うのでしょうか、初日が12日遅いとは言え、ありえないスケジュールで決行していました。
今年は、振り返る実績もあり、そこから今のスケジュールを調整することができるので、続けることは本当に大切だと痛感します。
そして、続けることができるのは、やはり皆さまのご支援あってこそです。
さて、前回・前々回と物語創りについてお話しさせていただきましたが、今回は、2次元の物語を3次元にする稽古はどういう流れで進めているかをお伝えしてみたいと思います。
上の写真は、昨年の「NEWS JUNKIE」の稽古の一コマです(電話のシーンです)。
通常、舞台作品の稽古は、「本読み」「立ち稽古」「小返し」「通し稽古」「ゲネプロ」という流れで進みます。まずは、動きなしで台本を読み(本読み)、動きをつけ(立ち稽古)、場面を繰り返して精度を上げ(小返し)、全体を通し(通し稽古)、本番同様の状態で通して(ゲネプロ)初日を迎えます。
独り芝居であっても、このベースは崩れません。
7月に入り、物語創りが大詰めを迎える中、「本読み」を開始しました。
今まで、脚本家だった状態から俳優にスイッチを切り替えるときです。
やはり声としてセリフを聞くと、一気に今回の主人公コイズミタモツが呼吸し始めます。
とにかく何度も何度も読み続け、英語の発音はもちろん、日本語でいうところの「えっと…」や「いや…」といった何気ない言葉のタイミングを徹底的に入れ込んでいきます。
コイズミタモツがリアルに話す為の作業が始まったという感覚です。
今回は、FaceTimeを使った面接という設定なので、基本大きな「動き」はありません。
だからこそ、「立ち稽古」に入ってから観客にどう見えるか、をとことん突き詰めていきたいと思います。
その中で、またどんどんセリフも変わっていくでしょうし、50分という枠に毎回確実に収まるように調整もしていくでしょうし…。
脚本家・演出家・役者の間を常に行き来するYuuyaに対して、稽古中の私の作業といえば、もちろんセリフを落としていないのかをチェックするというのはもちろんですが、観客の立場になって物語を観るという大切なものが挙げられます。
この作業を専門とする肩書きがあるんです。
海外ではかなり前から一般常識であり、最近では日本でも取り入れられているポジションで、「ドラマトゥルク」という役目です。
このドラマトゥルク、脚本創作段階から上演に至るまで様々な面で物語に寄り添い意見をいう立場です。その上で、様々な戯曲や歴史の知識が必要とされます。
海外の劇評では、「ドラマトゥルクが役目を果たしていない」という辛辣なコメントを見ることがあるくらい、制作には欠かせない存在だと思います。
私は自分自身が翻訳を担当しているので、なかなか完全な第3者の目線を保つのは難しいのですが、特に立ち稽古に入ってからは「観客目線」「劇評家目線」で”complex”と向き合っていこうと思います。
ひとりで何役もこなす必要があるMY COMPLEXですが、何役も経験できるからこそ楽しいんだと、時間に追われながらもいつも感じています。
今回のプロジェクトの特典に、「公開通し稽古へご招待」というものがあります。
予渡航直前になるかと思いますが、通し稽古をご覧いただける機会を作りたいと考えています。
エディンバラでの発表を前に、ご支援くださる方にご覧いただくのは私たちにとっても大きな意味があると思います。
緊張しかしないですが…。
いよいよ稽古に入ったということもありますので、これからはいろんな形でアップデートをしていきたいと思います。
ご期待ください。
そして、おかげさまでこのプロジェクトの目標まであと少しというところまで、皆さまにご支援いただきました。
残り1ヶ月弱、何とか目標達成したいと願っております。
是非、私たちの活動にご興味をもってくださる方がいらっしゃれば、お声がけいただければ幸いです。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
最後に、エディンバラフェスティバルフリンジの公式Twitterから。
今年は、このプロモーション画像だけでなく、全体的に犬が大活躍しています。