23/06/2015
間も無く、6月も終わり渡英まで残り1ヶ月。
執筆の具合はといいますと…前回のアップデートまでずっと胸に引っかかっていた骨が先日やっと取れました。
と、言われても何のことだかわかりにくいと思うのですが、いつも物語を書いていると常に胸の中に何かが引っかかっている状態があります。
それが何なのか?と言われても正直自分でもよくわからないので説明がしにくいのですが、大まかな構成が出来ていたとしても常に胃の中に靄がかかっている感じなんです。
ずっと便秘の状態のような。
しかし、これがある時突然スッと楽になる瞬間があるんです。
それは唐突にやってきます。
ですが、何もしていないとそれがやってこないことも知っています。
常に24時間、ずっと、ひたすら作品と向き合うんです。
この物語は面白いのか、登場人物はどんなキャラクターなのか、彼はどんな人生を歩んできて何を考えているのか、そして自分はそこの作品で何がしたいのか、曲はあっているのか、タイトルは適切か、そもそも演劇ってなんだ?
何故、自分は演劇をしているのか…。
その問いに答えはないのですが、あらゆる角度から作品を見直し、自分自身に問い続けるのです。
とにかくこれがシンドイ。
毎回のことなんですが、何でこんなに苦しいことをやっているんだろうと思います。
でも、これがスッと晴れる瞬間があるんです。
かなり早いタイミングで晴れることもあります。
しかし、本番直前までかかることもあります。
そんな時は本当に苦しみます。
不安で不安で寝れずに吐き続けます。
…で、今回の場合は先日晴れたんです。
こっからは加速するだけです。
もちろん全ての苦しみが取れたわけではありません。
物語を書き上げ、翻訳し、セリフを覚え、演出し、全てのステージを終えるまで走り続けなければいけません。
ですが、このタイミングでこの謎の靄が晴れたということはこれまでの経験上確実に上手くいきます。
自信を持って本番をむかえられる予兆なんです。
さらに、前回書いたように作品づくりをしていく中で非常に重要なのが曲です。
今回劇中で使う曲は一曲のみ。
誰もが知っているクラシック曲ですが、それとは別にもう一曲、今回の「complex」にぴったりの曲を見つけました。
Tom Waitsの「San Diego Serenade」という曲。
Tom Waitsはとても好きなアーティストでこれまでに日本で上演してきた作品でも様々なインスピレーションをもらったり、実際に客入れ曲に使用しました。
Never saw the mornig till I stayed up all night
Never saw the sunshine till I turned out the light
Never saw my hometown till I stayed away too long
And never heard the melody till I needed a song
Never saw the white line till I was leavin’ you behind
Never knew I needed you till I was caught up in bind
And never spoke I love you till I cursed you in vain
Never felt my heart strings till I nearly went insane
この曲をどのように使うかはこれからゆっくり考えます。
(劇中では使わず、イメージだけを借りることも含めて)お時間ある時に是非、聴いてみてください。
Tom Waitsの味のある歌声とはみ出し者たちへの愛のある視点がきっと胸を打つと思います。
話は変わりまして、事務的なお話。
前回初めて参加した時とはうって変わり、今回は事前に劇場とのやりとりやプロモーションなども入念に行っています。
それはやはりthe SPACE UKという力のある劇場でやるという要因が強く、実際イギリスの新聞やWEBメディアなどでcomplexの作品情報が取り上げられています。
そんな中、取材を受けることも。
もちろん現地で直接受けるわけにはいかないので、メールで質問が送られてくるのですが、イギリス人のジャーナリストから質問を受けるといったことは初めてです。
これまで日本では色んなメディアの取材を受けてきましたが、それとはやはり違ったものがあります。
少なくとも、日本人がつくる物語に興味を示してくれたことに感謝すると同時に、彼らの期待をいい意味で裏切るようなそんな作品にしなければ…と。
さぁ、全てが回り始めました。
残り1ヶ月、変わらず丁寧に丁寧に。