
こんにちは~!!
はじめまして、似栖(にるす)と申します。
突然ですが今回、『さよなら、ハイスクール』という漫画作品をご紹介したいと思います!
さてみなさんは「スクールカースト」という言葉をご存知でしょうか?
「カースト」とはインドの身分階級制度であり、その構造を学校という閉鎖された社会になぞらえたものです。
この階級、ヒエラルキーの上下を決める要素は様々ですが、ご参考までにWikipediaを引用します。
恋愛・性愛経験 - 豊富なほど上位
容姿 - 恵まれているほど上位
ファッションセンス - 優れているほど上位
場の空気 - 読めたり支配できたりするほど上位
趣味・文化圏 - ヤンキー・ギャル系(繁華街で遊び慣れているなど)は上位、オタク系は下位
自己像 - 自分探し系は上位、引きこもり系は下位
https://ja.wikipedia.org/wiki/スクールカースト より
スクールカースト上での位置決定に影響する最大の特性はコミュニケーション能力である(中略)ここでいうコミュニケーション能力とは、具体的には「自己主張力(リーダーシップを得るために必要な能力)」「共感力(人望を得るために必要な能力)」そして「同調力(場の空気に適応するために必要な能力)」の3つを指す。
https://ja.wikipedia.org/wiki/スクールカースト より
より多くの「上位」特性を兼ね備え、コミュニケーション能力の高いものがカースト上位に君臨し、そうでないものが「下位」に追いやられる学校内の身分構造が「スクールカースト」です。
突然ですが、私は学生時代からずっといわゆる陰キャ(陰キャラ)として生きてきました。
休み時間はずっと寝た振りをしてるかトイレに篭っているタイプの人間でした。
昼休みになってお昼を食べる前にトイレに行って手を洗って教室に戻ってきたら自分の机に座られてて私が戻ってきたことに気づいたそいつが「借りてるよぉ」とかなんとか言ってきたのに「あ……ぅん、だ、大丈夫フヒw」って返しちゃうタイプの人間でした。
お昼に食べようと買っておいたパンが机に掛かってるリュックの中に入っていたのですが、大丈夫と言った手前、自分の席に近づくこともできず、仕方がないので少しでもお腹に溜まりそうなビックルかなんかを自動販売機で買って凌いで校舎の中をうろうろして時間を潰していたタイプの人間でした。「ちょっと取らせて」の一言さえどうしても言えなかったタイプの人間でした。
陰キャで根暗でコミュ障なオタクでした。
さて、今回ご紹介するのはそんなスクールカーストにまつわる作品です。
これは、カースト最底辺の少年が、スクールカーストをぶっ壊す革命の物語です。
本作の主人公である朝倉くんは、スクールカースト最底辺の冴えない男子です。
面倒な委員を押し付けられそうになったり、カースト上位の陽キャグループがふざけあった際にぶつかられ、昼食のパンが潰れてしまっても謝罪どころか見向きもされない、そんな存在です(個人的にたいへん親近感を覚えますね)。
朝倉くんは自分を含めたカースト下位の集団をこう表現しています。
下位集団の言動は悪ですらない
俺たちは常に軽視され 時に無視される
目立たず慎み耐えることで 最低限の学生生活を保持しているに過ぎない
しかしそんな、息を潜めてじっと耐えているだけの状態に、朝倉くんはついに我慢ができなくなりました。
彼は決意したのです。
学校という閉鎖された社会の枠組み、スクールカーストに「戦いを挑む」ことを。
俺が伊藤と付き合えばスクールカーストは破壊される!
スクールカーストを破壊するため、彼が考え出した案は突拍子もないものです。
即ち、カースト最上位の美少女・伊藤さんと、最底辺にいる自分が付き合うというもの。これによって、スクールカーストの枠組みそのものを揺らがせ、混乱させ、そして破壊しようというのです。
うん、まあ、着眼点自体は悪くないんじゃないかと思います。目に見えぬ、しかし確固たる身分の最上位と最下位が恋中になる。これは王族と奴隷の恋物語といった枠組みを破壊する手法としてフィクションの世界では古来からあるものですね。
しかしそれができたら苦労しませんよね。それができたらカースト最底辺にいません。そうでしょう?
所詮は机上の空論に思えたこの策……しかし、これが本作の面白いところです。
なんと、当の伊藤さんがこの策に乗ってくるのです!(だってフィクションだからね!)
伊藤さんが乗ってきた理由は「面白そうだから」。この時点で伊藤さんという女子からヤバそうな匂いがプンプンしますが、背に腹を変えられない朝倉くんはサイコパスみに溢れた彼女と協力し、叛逆の狼煙を上げます。
朝倉くんとの協定後、カースト上位を含めた教室中に、伊藤さんは満面の笑みで告げます。
私 朝倉くんと付き合うことになったから
見開きどころか頁の下1/3程度の何気ないコマですが、この場面は非常にアツいですよ。
なぜならこれこそが朝倉くんの、スクールカースト破壊という革命に向けた宣戦布告に等しいのですから。
その効果は絶大でした。
クラス中に動揺が走り、ざわめきが冷めやらぬ中、授業時間となって教室に入ってきた担任までもがポロリとこぼします。
なんか今日、教室の空気おかしくねえか?
朝倉くんの、カースト最底辺男の革命はここから始まります。
さあさあ果たして、カースト最底辺による叛逆は、スクールカーストを破壊するという革命は成し遂げられるのか……!?
それはぜひコミックスを読んで、ご自身で確かめて下さい。
作中で明言しているか否かの差はありますが、スクールカーストが物語の根幹に関わってくる点では伝説のWEB漫画「オナニーマスター黒沢」や、アニメ映画化した「AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~」と近い属性を持った作品です。大人気作品である「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」も似た属性があるかも。
また、冴えないものたちが抱くルサンチマン(弱者が強者に対して抱く負の感情)の発露という意味では、数年前に大ヒットした映画『桐島、部活やめるってよ』とも類似性があるかもしれません。
このように鬱屈した想いを抱え性根が捻じ曲がった主人公が、捻くれ歪んだ形で叛逆をする系の作品が私は大好きです。
本作「さよなら、ハイスクール」においては、爆発というより、策によりジワジワと切り崩していくような流れですがこれはこれで楽しめます。
歪んだ笑みを口元に浮かべながら頁を捲る手が止まらない、そんな作品です。
私のように灰色の学生生活を送ってきた方はもちろん、いわゆる陽キャだった人にもぜひ読んで不快な気持ちになってほしいですね!!!!
電子書籍版も発売中ですのでぜひぜひ読んでみてください!
※画像:https://note.mu/mori_moriko_/n/n0e48ccda456e より引用
※この記事は https://www.gith.xyz/entry/sayonara-highschool をベースにしています。