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キングコング西野氏が「レターポット」に仮想通貨を採用しなかった理由

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  • とけい
  • 2018/05/28 12:38

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レターポットの仕組み



レターポットは、キングコングの西野亮廣さんが考案した文字を購入して、手紙を送るサービスです。手紙の文字は、1文字5円の価値を持っています。

そのもらった文字は他の誰かに送ることができるというサービスです。



限られた文字を使うこと



1文字5円の制約は、言葉に重みをもたらします。

今まで、自由に好き勝手話していた状況とは違い、言葉を選びながら手紙にする。

便利になって、文字を発信し放題な今、時代と逆行しているこのシステムは面白いと感じました。

便利すぎる今の時代だからこそ、人間味溢れる手紙をもらえることは非常に嬉しい経験になると思います。

また、現代のLINEのような既読機能も無い。返事の義務もない。

従来の手紙の良さを存分に出したシステムだなと思いました。



その上で、このシステムには換金装置がついていません。

最初は全くしっくりきませんでした。

仮想通貨を勉強していたこともあって、仮想通貨=レターポットの図式が頭の中に出来上がっていたせいでもあります。

文字を軸とした仮想通貨。

発想も面白いため、なぜ換金装置をつけないのか不思議で仕方ありませんでした。



レターポットと仮想通貨



レターポットと仮想通貨の違いは、換金システムの有無です。

この一点につきます。

もう少しここで、深く考えてみることにしましょう。

「そもそもレターポットは何を目的としているのか?」

レターポットは、「ありがとう」などの感謝の気持ちを文字にして、手紙を使って伝えること。

それだけです。

この考えは、西野さんのとある対談記事のコメントから強く感じとれました。
「でも、これが換金できるとなると、生徒が公務員の先生に千円を振り込んでいる状態になっちゃうので、学校はまず認めないだろうと。それと給料を管理されているタレントさんはレターはすぐ換金できるとなると、投げ銭になってしまって、それやったら事務所いらないじゃん、という話になってくるので、事務所は使うなと言うだろうなと。だから、換金のほうが意外とブレーキがかかるなと思いました。」

なるほどと。

換金システムのデメリットを誰もあまり考えていません。

お金をただもらえるだけでも、レターポットの本質から逸れていきます。

それに加えて、「お金」に変えた瞬間にさまざまなファクターが、厄介ごとを引き起こす可能性を深く考えていませんでした。


換金システムの具体的なデメリット



・チップ扱いになる

とある仮想通貨取引所では、取引所内のチャットで自由に仮想通貨をチップとして送ったり、受け取ったりすることが出来ます。

このシステム自体は非常に画期的だと思います。

問題はこのチップを日本円として換金した時です。

仮にレターポットが仮想通貨であるとした場合、このケースを考えてみます。

まず、レターポットを仮想通貨にした時点で、レターポットには価格が発生します。

いわゆる「チップ」により仮想通貨を取得した場合、その所得は、事業所得又は雑所得の対象となります。

  

チップにより取得した仮想通貨を売却又は使用した場合の所得計算における取得価額は、仮想通貨をチップにより取得した時点での時価となります。

少し例を挙げて、考えてみましょう。
取得金額は、チップにより取得した「レターポットの取得時点での時価」ですから、仮に貰ったチップが時価50円だった場合、それを0円にしてしまう事は、「取得分の50円の収入を適正に計算していない」ことになります。
 ①「いつ」に「何円のレターポットをもらったのか」
 ②「もらったレターポット」を「いつ日本円にするために売ったのか」
 という事を把握しておく必要があります。

 

要するに、「お金」にすることで、後に非常に面倒くさいことを考える必要があります。


・マネーゲームに巻き込まれる

レターポットに換金システムを付ける場合、仮想通貨にするのが一番自然な方法だと思います。

レターポットが仮想通貨になった時点で、値段がつく事は先ほどもお話しました。

この値段は価値の指標として見るには良いかもしれません。

将来性や評価の高い仮想通貨には、高い値段がつくことも事実です。

しかし、この価格は自然とビットコインの値動きと少なからず連動していきます。

そこに、レターポット自体が良いか悪いかは一切関係ありません。

レターポットが「仮想通貨」になった以上、仮想通貨の悪材料に連動して価格が落ちていく事は防ぎようがありません。

また、仮想通貨は投機的(ギャンブル)に売買を行っている投資家がほとんどです。

そこにレターポットの本来の機能である「文字の感謝」のカタチはどこにもありません。

儲けられそうなら買って、利益を確定するためにレターポットを売る。

そのようなマネーゲームに、換金システムをつけると自ずと巻き込まれてしまいます。



そこにレターポットが当初目指していた答えはありません。

そこまで見越してレターポットの設計をしていることが凄いと思いました。

今の資本主義的な暮らしのど真ん中を生きている私たちは、「相手にお金を受け取ってもらえないと感謝のゴールではない」と、すぐにすり替えるクセが出来ているのかも知れません。

ただ、レターポットに換金システムをつけることで、以上のような「面倒くさい」障害がたくさん増えることになり、本来の目的から大きく遠ざかることになります。

換金システムが無いことで深まる文字の重みを知りました。

また、そのことのメリットを考察した上での、「換金システムをつけない」決断だったという事がようやく分かり、レターポットの今のシステムに合点がいきました。


西野さんが漫才師だからこそ出来たと思ったレターポット

ずっとお笑いが大好きで、特にM-1グランプリが大好きです。

たった4分間であそこまでの爆笑を生み出せることは、本当にすごいと思います。

とあるラジオで、ノンスタイルの石田さんが

「M-1の漫才は、ぜい肉を全てそぎ落したムキムキの漫才」

と表現していました。

限りある時間で笑いを生み出すために言葉を削る必要があるとの意味で発言されたこのコメントと、

西野さんの

「レターポットでアンチ的な発言を受け取ったことが無い」

というコメントが繋がりました。

漫才もこのレターポットも文字を限りなく大切にしています。

漫才を長年やってきた西野さんだからこそ思いついたサービスなんだなと確信しました。

もの凄く切り口が斬新で、興味深いサービスであるので、今回記事にさせていただきました。



この記事は「とけいの仮想通貨で賢く生きたい」にて、書かせていただいた記事です、こちらもぜひご覧ください。

次回からは小説「仮想通貨な世界」をお送りします。

お楽しみに!


公開日:2018/05/28
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  • とけい
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映画好きな、酒飲み

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