2018/5/27土
8:15 上高地バスターミナル
9:10 明神
10:10 徳沢
11:30 横尾
14:40 涸沢カール テント泊
上高地はちょうどニリンソウの見頃。小梨平で数十年穂高を描いている絵描きじいさんが、「ニリンソウはもう終わりだよ〜、もう山も見えなくなっちゃって、今年は早すぎるよ〜。」と言っていた。毎年見ているじいさんは、新緑とニリンソウのピークが早すぎると感じているんだろう。
山を見て、ホントに涸沢に行っても雪があるのかなと思った。700mほど登ったところにたくさん雪があると思えない。じいさんは、「あんたら山へ行くんだったら、上に行ってかってきてよ〜。」と何度もかってきてよと言っていた。わかったよ、かってくるよと応じた。stmiちゃんはかってきてってどういう意味? と聞くので、山が見えるように新緑を刈り取って来てと言ってるんだろうと答えた。このじいさんはここでずっと寝泊まりしているんだろうか。
徳沢で早めのランチをとり、横尾まで歩いてようやくここから登山道らしくなる。屏風岩の向こうに北穂が見え出すと、散歩道の上高地と様子が変わって、いよいよ山に登るぞという感じになる。薄曇りだった空も次第に青空が見えてきた。予報を確認すると午後は快晴。期待が高まった。
屏風岩をぐるっと回り込むと、とたんに雪が多くなった。すぐそばで同じ標高、同じ方角で雪がある無しがある。涸沢に雪をどっさり積もらせるのは、屏風岩による地形の影響があるようだ。
涸沢へ到着したと同時に青空が広がり快晴に! テントは30張り程度だろうか無雪期より断然少なくどこでも張れる。早速テントを張って宴会しよう。今回の企画はピークに登らず涸沢で宴会がメイン。
涸沢ヒュッテのデッキが展望も良く気持ちいいので、ここでBBQをしようと食材と道具を持ち込むと火気厳禁の札が。仙人曰く「以前は使えたはずだが、だんだん山小屋は融通きかなくなった。」
仕方ないので生ビールを飲んでテントに戻り、風があって寒いので私のテントに3人寄り添ってBBQを開始。仙人が担いできた厚さ2mmの鉄板で、これまた仙人の担いできた肉と野菜をワイルドに焼く。
stmiちゃんはお腹がふくれて気持ちよくなったのか、少し寝ると言ってテントに入った。仙人と酒を飲みながらとりとめのない話をする。いつのまにか文学の話になって、短編なら鴎外、長編なら漱石という話になった。仙人は鴎外が好きで、50回読むと決めて読んだと言う。阿部一族の一節も披露して、ここが素晴らしいと力説した。
鴎外といえば安寿と厨子王か、どんな話だったか、俺も鴎外読んでみよう。なんて思っているとstmiちゃんが起きてきて、焼きそばを焼きながら明日の予定の話になる。
仙人が北穂にでも登ってくれば、と水を向けるもんだから、stmiちゃんはせっかくだから登りたいと言うじゃないですか。今回の計画は涸沢で宴会して翌日そのまま帰るというお気楽山行だったので、自分はピッケルを持ってきていない。
ダメダメ、ピッケル無いし行かないよ。とはぐらかしていたが、結局、仙人のピッケルを借りて翌日2人で北穂に登る約束をしてしまった。
「明日4時出発ね!」と約束して前夜は早々に就寝。4時はまだ暗かった。もそもそ準備をしてヘッデン使わずに歩けるようになった頃に北穂へ向けて出発。
5/28日
4:15 キャンプ場
6:40 北穂高岳 6:55
7:45 キャンプ場 9:00
11:00 横尾
12:00 徳沢 12:45
13:40 明神池 14:00
15:15 バスターミナル
ルートはあまりよくわかっていないが、踏み跡があるので問題ない。stmiちゃんも別の踏み跡をたどりながらスタスタと登る。自分は高度が上がるとしんどくなるのでゆっくりいく。あちこちにあった踏み跡が一つになって、stmiちゃんが後ろに付いて登る。ぴったり付いてくるのでなんかプレッシャーを感じる。stmiちゃんは小柄で体重も軽いからか足取りも軽い。
だんだんと涸沢カールがオレンジに染まり、明るくなっていく。北穂に登る斜面は横に尾根があってご来光は拝めないが、奥穂に行く人は朝日を浴びながら登ることになる。北穂は僕らと後ろから若者2人だけで、やっぱり奥穂に登る人の方が多いようだった。昨日涸沢に到着したとき、奥穂山頂右の急峻なルンゼから伸びる一本のシュプールを見つけた。エクストリーム滑降。今日も滑る人はいるのかな。
山頂に近づくほど傾斜が急になるが、しっかりしたステップがあって登りやすかった。地図を見ると、小屋のすぐそばが北峰で南峰の方が高い。
「北峰だけで十分だよね。」と言うが、stmiちゃんは
「南峰まで15分ほどですよ。」と登りたそう。
「小屋で待ってようか。」なんて言ったが、そんなことできないし。
しんどいな〜、どしよかな〜と思ってると、下りてきた人が「南峰は雪が着いていて、行けないですよ。」と教えてくれた。
あぁよかった。山ガールよりモチが低いオジサン、う〜ん情けない。
標高差約800mを2時間半かけて登って山頂着。山頂からは槍ヶ岳への険しい稜線と絶壁がドーン!
笠ヶ岳もドーン! stmiちゃんに引っ張られて来たようなもんだが来て良かった。すばらしい絶景であった。
山頂だけ風が強かった。写真を撮ったら小屋を見てこよう。小屋の前のデッキも山頂同様ステキな眺め。小さい小屋だが中もおしゃれで、この時期は空いてそう、ここに泊まってご来光を眺めるのもいいね。
帰りの急斜面はステップがないとかなり怖い。安全地帯まで慎重に下りたらあとは尻セードと靴スキーを駆使して滑り降りた。キャンプ場まで1時間かからなかった。
キャンプ場に戻ったら、昨日の残りの焼きそばを焼き、stmiちゃん持参のギョウザ鍋をいただいてお腹いっぱい。めいめい片付けてテントを畳み、涸沢を後にした。
ハイペースで下山する。屏風岩の向こう側へ行くと残雪の世界から新緑の世界に。昨日に増して美しかった。徳沢で軽くランチを取る。徳沢キャンプ場は陽気でぽかぽかで、お昼寝している人も。ここでソリスを広げてボーッとしてるのもいいね、来年はここにしようかと仙人と話す。
帰りは拝観料300円を払って明神池を見学。自然が作った日本庭園。すばらしい眺めだった。
観光客が散策する梓川の右岸の遊歩道を歩いて、岳沢湿原へ。もう足がくたくた。登山道よりも平らな道を歩く方が足に来るみたい。
河童橋を渡ってゴール! 長かった。振り返ると今日は11時間行動だった。あかんだな駐車場までバスの20分間、3人とも爆睡した。
お気楽山行のつもりが快晴の元、北穂に登って絶景を見て、尻セードを楽しんで、新緑も満喫して明神池も見て、歩きに歩いた盛りだくさんの山行になった。stmiちゃん、仙人takeさん、ありがとうございました。