自宅からチャリで利賀村の瞑想の郷へ行ってきた。30年以上前に作られたものだが、特に関心も向かず訪れるのは今回初めて。
しかし、また来たいと思わせる素晴らしい展示物だった。
利賀村がネパールのツクチェ村と姉妹都市となった際、交流事業の一環として、チベットの画僧を招き曼荼羅を書かせて展示した。
当時はサイババなどのスピリチュアルブームで、来館者も多数あったらしいが、私が訪れた土曜11時は車が2台のみで、貸し切りで見学できた。
受付で600円払うとまずはビデオを見てくれという。
瞑想の郷に展示されている曼荼羅を書き上げたチベットの画僧が出てきた。
サシ・ドージ・トラチャンという。
寅ちゃんなんて親しみを覚える名前である。
なんでも利賀を2度、2年間ずつ滞在し最初の2年で4枚の曼荼羅、後の2年で2枚の曼荼羅を書き残したという。
ビデオが終わると施設の案内をしてくれた。最初に中央の瞑想の館、次に右の瞑想美の館へと順に案内された。
瞑想の館では、曼荼羅制作に使用した美術具のほかヒンズー教の木造など、多数の彫刻絵画を展示、ある厚志家の寄贈品だとか。それだけでもすごく見応えがあった。
展示品のいくつかの解説を聞きながら、いよいよ2階奥の曼荼羅の部屋へと入室する。
四方の壁、やや高い位置に天に昇る感じで4枚の巨大な絵画が展示されている。
お〜、すごい。初めて見たら必ずため息が出るはず。
残念ながらカメラNG。ホームページもあまりに情報が少ない。
ちょっとしょぼいけど、パンフレットを切り取っておこう。
寂静忿怒百尊曼荼羅は、チベット仏教ニンマ派の埋蔵経典「チベット死者の書」を基に描かれている。人間が死んでから生まれ変わるまでの49日間にこれら寂静忿怒百尊が亡者の心の中に出現し、極楽浄土に導くとされる。
また、曼荼羅は経典を元に、絵師が解釈した仏の世界を絵で表現したもので、絵で見るお経と言える。
極楽浄土図は、チベット仏教カルマ派の「極楽浄土願文」に基づいて描かれている。中央には、阿弥陀三尊が描かれ、背景には日本風にアレンジされた建物が描かれている。阿弥陀如来と観音菩薩の手のひらから「光明」が出、衆生を極楽へと導く。
十一面千手観音は、一千の手と目をもち、密教独特の表現と言える。千手観音の向かって左に文殊菩薩、右に金剛手菩薩が描かれている。観音は仏の慈悲、文殊は仏の知恵、そして金剛手は仏の力を象徴する菩薩で、チベットではこれら三尊を三部の主尊と呼んで崇拝している。
ということです。
その後、2度目に来て描いたという瞑想美の館の「金剛界曼荼羅」と「胎蔵界曼荼羅」を見学する。こちらは瞑想の館のものよりさらに大きなものだった。
とにかく、まぁ、すごいのひと言です。圧倒された。
一辺3mもあろうかという大きなカンバスに緻密かつ精密な極彩絵の具を、2名の助手とともに筆で書き上げるのだからすごいものである。
いずれ重文になるんじゃないか?
一見の価値ありです。
ここで解説が終わって後はご自由にどうぞとひとり部屋に残された。1時間近くも説明していただいた。
輪島塗のタイル状にデザインされた床の上で、両側に巨大な曼荼羅に挟まれ、ここだけ時が止まったような静寂な空間となる。
それでまぁ、瞑想でもしようかと隅に置いてあった座禅用の座布団で中央に座ってみる。
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腹減ったな
この後、どうしようかな
隣をもう一回見てこようか
ハッ、瞑想しなければ
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しかしすごい絵だな
輪島塗の床もつるつるじゃん
今度か〜ちゃん連れてこよっかな〜
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全然、瞑想できない!
もう帰るか。
外に出て裏口の池を見るとサンショウウオがいっぱいいた。
こちらに気づかずゆらゆらのんきに泳いでいるサンショウウオをぼんやり眺めていると、ほっと心が落ち着き雑念が取り払われた。
冬の間は雪のため冬季閉鎖される。