ホームページをチェックし、前日の夕食はうどんだけの軽い食事で、朝は何も食べずに出かけた。8時に着くともう開いていて、早くも診察が始まっていた。
ここは、予約なしで検査が受けられる「来るもの拒まず」の医院である。また、ここの職員はひとりもマスクをしていない。院長の方針だろう、マスクは表情が見えないので、患者に安心感を与えられないと思う。サービス業である当社も学ぶべきことだ。
じきに名前を呼ばれて診察室に入ると、院長に「今日は大腸カメラですね、じゃ2階で待っていてくださいね。」と笑顔で言われる。
この院長は年間に8000件の内視鏡をこなす、国内でも凄腕の医師である。
休憩室に入るとすぐに看護師がやって来て、下剤の水溶液の飲み方などを説明してくれた。看護師は時折顔を見せ、声をかけてくれるので安心だ。
1時間かけて下剤と水を交互に1リットルずつ飲む。下剤はジュース味で飲みやすい。ソファーでくつろいでごくごく飲む。そのうちに便意をもよおし、何回もトイレに行って、透明になって看護師にOKをもらうと検査となる。
検査室でズボンとパンツを脱ぎ、お尻に切れ目が入った紙のパンツにはきかえる。私が今日の検査一番目で、職員2名が慌ただしくカメラの準備をしていた。
プップップッと機械音が響き、いやが上にも緊張する。見ると、内視鏡カメラの保管ケースがあって、30本以上かけてあった。さすが専門医だ。常に最新式のカメラを導入しているとのことである。
診察台に横向きになってしばらく待つと、看護師長が採血と腸の運動を止める注射をしにくる。緊張をほぐすようにいろいろ話しかけてくれた。そこへ院長が登場。
「初めてですね、大丈夫ですか。」と言って、いきなり挿入!
「もう入ったんですか?」
「はい、入りましたよ。」
多少圧迫感はあるが痛みはなく、院長と一緒にモニターを見る。腸の中には少し下剤が残っていて、きらきらとした波しぶきの中を突き進んでいく。
「さ、最終地点に着きました。ここからしっかり見ていきます。」
カメラは少しずつ後戻りして、「カシャッ、ピー」と撮影をする。これを何度も繰り返しているうちにもう終点である。
「はい、特に異常ありませんでした。肛門が少し赤いので、これが血液反応したのでしょう。ほら、ここ。」
なるほど、確かに赤くなっていた。毎日使う肛門も、いたわってあげないといけない。10分ほどで検査終了、午前中で終わった。
痛いとかひどいとか言われる大腸カメラだが、まったくなんともなかった。ただ、終了後しばらくすると、注射の影響で時々お腹が痛くなる。おならが出れば楽になるが、おならと一緒に下剤が出てくるのでやばい、注意が必要である。