20歳から水泳コーチとしてのキャリアがスタートし、今年で15年目。地域の総合スポーツクラブにいますが、うちのクラブ普通と変わっている。スイミングスクールではなく、スイミングクラブということ。一緒じゃないのか、と思われるけど、泳げるようにさせる選手育成が目的の全てではないことです。
クラブには「社交」という意味を含みます。たくさんの子どもたちが集まる場所では、学校だけでは出会わない、他地域の友達や、年齢の異なる友達が自然とできます。そういった友達をたくさん作ってもらうためには、クラブ側の環境づくりも大切です。ただ水泳の練習を繰り返しやるだけでスイミングの時間を過ごすなんて勿体。水の中で友達との関わりを持てる活動を用意してあげることが必要です。プールの底に何かの人形が落ちて、興味を持てばそれを工夫して泳いで取りに行くのが子どもの本能です。潜り方や泳ぎ方なんて難しい説明だって必要ありません。そうして取ってきた人形を友達と見せ合って、好きなものと交換をしたりと交流がうまれます。やってるうちに自然と泳げるようになり、友達も増えていきます。
もちろん水泳をする上で、キレイに、速く泳ぐことは、水泳を愉しみ生涯スポーツとして続けていくには欠かせないことです。実際に高齢になった方々が水中運動は膝、腰に負担を掛けずに運動するには良いということで多くの方が利用されています。水の中で歩くといったアクアビクスなど、代表的な4泳法以外にも多くの可能性があるのです。じゃあスイミングでやる4泳法ってなんなの?ズバリ競技水泳のルールに定められた泳ぎ方。決められた形で泳がなければ、失格をとられるのです。タイムを競い合い、水中で最速を目指している競技なので、最新の泳法技術を知ることは水泳をもっと愉しくさせるものだと考えています。しかし、それに興味を持たせることができず、ただ無理矢理に「それではダメ。これが正解。」と禁止をしてこちらの指示通りにやらせようとすることは、上達も見込めないどころか、水泳そのものを嫌いにさせてしまう恐れがあります。
禁止してしまうことのデメリット
・自分を否定され、自信を持てなくなる
・動きが偏ることで、成長の可能性が狭まる
もちろん禁止も安全のためには必要もあります。その場合は理由を明確に伝えてあげることが大切です。こちらが危ないとしている意図と、子どもたちが考える危険への認識とは随分違うものです。例えば、プールサイドから飛び込む遊びをしようとしているので、「友だちにぶつかるからダメ」と今はやってはいけないという禁止をするが、子どもは少し考えたように飛び込んだ。「友だちが少ない隙間を探し」飛び込んだのです。子どもなりに考えた結果です。これも否定をせずに、うまくやれたことを褒めながらも、次やるときは何に気をつけるかをプラスに伝えていって欲しいですね。
幼児期はプレゴールデンエイジ期とも呼ばれ、急な成長を迎えます。様々な動きを経験することで、神経系が発達し身体的基礎を築く時期です。4〜8才くらいまでには、神経系の発達はほぼ80%になるといわれています。この時期に同じ動きだけを反復して行う練習では、それだけで神経系の成長を終えてしまいます。9〜12才までに残りの20%、、、100%を迎えますが、それから新しい挑戦をするには難しくなるのです。
近所で自由に遊べる場所も少なくなってきています。公園に行っても、怪我をする危険な遊具は使用禁止。ボール遊びは禁止。禁止ばかり。くらべて水の中では、浮いたり、回ったり、逆さになったり。プールサイドからおもいっきり飛んだり。安全に配慮することはありますが、外傷による怪我は圧倒的に陸上よりも少なく、動きのバリエーションも増えます。普段できないことをやるにはとっておきの場なのです。
なにより子どもが興味を持って挑む姿に目を向けてあげることが、成長を感じ子育てというコーチングを愉しめることだと考えています。