今回も5月に米国特許庁(USPTO)で公開されたAppleの特許公報から興味深いものを紹介したいと思います。
今回のは、個人的に本気で商品化してほしいやつ!
発明の名称は、ウェアラブル・インタラクティブ・ユーザー・インターフェースってことで、どうやら身につけるコントローラですね。
特許番号:US10642356B1
公開日:2020年5月5日
出願日:2017年6月21日
既に審査が完了し、米国特許として成立しているものです。
つまり、米国特許庁お墨付き(わかっててこういう表現をしていますw)。
請求項数は全部で30もありますが(つまり、30個の発明が記載されているってこと)、トップクレームである請求項1をみてみましょう。
1. A user input device, comprising:
a flexible fabric configured to attach to a user and comprising:
a first portion;
a primary sensing region forming part of the first portion;
a second portion moveable in relation to the first portion; and
a secondary sensing region forming part of the second portion, wherein the primary sensing region spans a larger area on the flexible fabric than the secondary sensing region and wherein the primary and secondary sensing regions comprise at least one of an accelerometer, a gyrometer, and a capacitive array;
a controller configured to identify an input configuration based on a position of the first portion relative to a position of the second portion within a three-dimensional space; and
a haptic feedback structure disposed adjacent the flexible fabric and configured to provide haptic feedback based on the input configuration, wherein the haptic feedback comprises first haptic feedback at the primary sensing region and second haptic feedback at the secondary sensing region and wherein the first haptic feedback is different from the second haptic feedback.
意訳していきますと、まず、これは「入力デバイス」です、と。
そして、「柔軟なファブリックを有して、ユーザーに接続するように構成される」とあります。
そして、一次検知領域と、その一次検知領域に対して移動可能な二次検知領域があること、一次検知領域は、二次検知領域よりも柔軟なファブリック上のより広い領域にあり、両方の検知領域は、加速度計、ジャイロメーター等を含むとあります。それにより、3次元空間内の二次検知領域の位置に対する一次検知領域の位置に基づいて、入力構成を識別するように構成されたコントローラを含むとあります。
さらに、触覚フィードバックを有するとあります。
まあ、なに言ってるかわかんないですかね。
絵を見てもらうのが手っ取り早いです。むしろ図面を見たら「あれだね」とピンときます。
まずは図面1。手のひらと指先になにやらパッドのようなものがついていて、それぞれ配線がつながっていますね。センサーを内蔵した手袋のようです。
では、図面を抜粋して羅列してきますので、勝手に想像していただければ幸いです。おおよそ、その想像どおりの発明となっています。
そう、トム・クルーズ主演の「マイノリティー・リポート」で端末を操作するときに装着していたグローブを思い出しますね。あれは親指・人差し指、中指の三本指で操作するものでしたが。
マイノリティー・リポートの映画公開は2002年です。もちろん、映画中でのガジェットは架空のものですから、現実の製品に対する特許審査において、映画を引用例にして新規性や進歩性の審査は行いません。
ただ、この映画をきっかけにして、同様のモーションセンサーを作ってみたという人は結構いるんですよね。
これらの技術は、アップルの特許出願前に公知になっているので、特許査定をしている米国特許庁の審査官は、日本のギークたちを知らなかったのでしょうか(笑)。まあ、このblogを書くにあたって、審査過程まではチェックしていないので、どのような経緯で特許権が付与されたのかまでは調査できていないのですが。
ただ、Appleがこういったウェアラブルのモーションデバイスを出してきたら、私は買っちゃいますね。町中や電車車内で、おかしな身振りをする人が増えるんだろうなあ(笑)。
製品化されるかはわかりませんが、特許権にもなったことだし、楽しみですね。
では、今日はこのへんで。