自分のことを話すときに何者かを問われるので、
その時はいつも「絵描き」、と言っていた。
でも違和感あったんだよね、いつも。
絵描きってなあ、なんか違うなあ、って。絵描きて、
絵を描いてるから絵描きだけどさ、そのまんまじゃん。
わざわざ口に出して言わんでも明白やん。
役職や立場を伝えたいわけじゃないんだよな、自己紹介のときって。
でもいつのまにか、【みんながそうしてるから】
そうゆうやり方で自己紹介してた。
「ぼくは○○です。○○してます」って。
なんかあれ、違和感あるんだなあ。
たぶん俺は絵描きだけど、絵描きと言いたいわけじゃないなあ。
俺は【俺】です。と、言うことにした。
絵描きと言えば、話は楽だ。ああこの人は絵を描く人なんだと。
でも絵を描く人なんだなあで腑に落ちてしまったらそこから先に、その人の中の俺が進まない気がする。
だから俺は俺のことを【俺】です。と言うことにした。
とても簡潔な自己紹介ではある。抽象的なようで実は明快な答えだ。
これから見せていく自分のすべてが自己紹介と同じなんだから。
絵描きと言うと、絵のことばかりにフォーカスが当たる。あえてポイントをしぼりたくない心になる。絵が好きです。でもあれもこれもそれもどれも、好きです。
いろんな好きを語りたい。まあでも説明としてはとても役に立つ。
絵描きです。そしたらもう絵を描く人なんだってはっきりわかるもんね。
人は何かポイントをしぼってそこから肉付けするように相手のキャラクターをつかんでいく。
でもそこまで考えるようなものでもない気がする。
最初に、【この人はこうゆう人】と固めたら、楽しみ方が減る。
常に移り変わってゆくのが人なのだから、傾向やタイプを決めなくていい。
相手をしっかり見つめて、心でその都度受け止めて、心から言葉を出せば、
分かり合うものがあるだろう。そこで分かっていくことがその人だし、
俺なんだ。
自分が何者であるかなんて不確かでもいいと思う。
なんにでもなれて、どこにでも行ける。
ただまあいざ自己紹介となれば、今日のところは絵描きやってます。
って言うくらいはしてみる。