(いかにもアフィリエイトくさい記事ですが、単に書影が欲しくてアマゾン貼ってるだけなんで、一切アフィは貼ってません。じゃんじゃか踏んでやってください。)
せっかくだから、なんか変わった切り口でおすすめ記事が書きたいなあ、ということで。
これまで、メディアミックスということで数多くのライトノベル作品が漫画化されてきました。けれども、これはなかなかに難しいジャンルでして、「漫画家ガチャ」なる言葉が存在するように、当たり外れがほんとうに激しいと言われるジャンルのうちの一つ。
ぶっちゃけ同人作家の青田買い、駆け出し作家使い捨てのジャンルじゃねえの、ってな印象を持っている漫画読者も多いかも。
けれども、中には「これは!」と唸らざるをえないようなマリアージュを果たした作品も数々存在します。思わず編集者に「よくぞ組み合わせてくれた!」と喝采を送りたくなるような、今回はそんな傑作漫画、おすすめ三選。
シュガーダーク 原作/新井円侍 漫画/大岩ケンジ
無実の罪で共同墓地に送り込まれた少年兵ムオルが出会ったのは、墓守を名乗る少女メリア。不死の怪物が眠る地で繰り広げられる、衝撃のグレイブ・ファンタジー。
原作はかの大ヒット作『涼宮ハルヒの憂鬱』以来、受賞空白が続いていたスニーカー大賞を見事6年ぶりに射止めたという出色の傑作なんですが、漫画は大岩ケンジさん。
大岩ケンジ(ケンヂ/賢次)さんといえば漫画版『NHKにようこそ!』。岬ちゃん、マぁジ可愛いですよね。いつかオレの汚部屋にもあの娘が扉を開いてやってくる、と全国の廃オタどもに幻想を抱かせた大天使ですけれど、この作品のヒロイン、メリアも負けず劣らずマジ可憐です。
闇夜に沈む墓地に囚われている孤独な少女メリア。この娘にだったら人生賭けたっていい、全身全霊を捧げてやるぜ、さあ彼女と墓地から決死の脱出を、 と物語は展開していくんですが、文字通り全身捧げて凄惨グロあり、肉は弾け手足飛ぶ、これはほんと筋金入りのダークファンタジー。
大岩さんの流麗な筆致がもうほんと物語にぴったりで、いじらしいボーイミーツガールと禍々しい夜の世界、そして激越なスプラッターが絶妙なブレンド具合で混ぜあわされています。この系統好きにはきっとたまらないおすすめ作品。
大岩さんによる小説の漫画化は『GOTH』(原作/乙一)もおすすめ。こちらもダークサスペンスの傑作です。
砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない 原作/桜庭一樹 漫画/杉基イクラ
少女は世界と戦うために、甘い弾丸を撃ち続ける——。現実主義の女子中学生・なぎさと、自分を人魚だと言い張る不思議な転校生・藻屑。2人の少女の出会いが、甘く切ない思春期の痛みを呼び寄せる。桜庭一樹の原点といえる小説を気鋭・杉基イクラが鮮烈に漫画化。
正直、ライトノベルという範疇で紹介すべきかどうか迷うところですが、原作は現在、文芸作家として活躍している桜庭一樹さん。原作からして頭抜けて評価の高い作品ですが、漫画は『ナナマル サンバツ』の杉基イクラさんが描かれています。
「2人の少女の出会いが、甘く切ない思春期の痛みを呼び寄せる」と紹介文にありますが、切ないどころの話じゃねえ!美少女たちがゆるゆりで、なんて甘っちょろいもんじゃねえですよ。DV(家庭内暴力)をテーマとした重く「現実的な」物語。心がほんとうに痛くなります。
原作が名作過ぎるというのもありますが、やや荒れた描線で杉基さんが描かれる漫画世界が作品にあまりにはまっていて、そして切々と痛々しい。杉基さんをあてた編集者の慧眼は見事だなと思うばかりですが、この漫画が評判を呼び杉基さんのメジャー漫画家への道が始まりました。
未読の人は是非。これを読み逃しているのはほんとうにもったいない、そんな漫画化作品です。
月見月理解の探偵殺人 原作/明月千里 漫画/白梅ナズナ
「どうしてここに?」「君を殺すためだよ、れーくん」車椅子に乗り、僕の唇を奪った少女の名は月見月理解。聞けば、僕を殺すためにやってきたという――。理解が主人公に持ちかけたのは、この学校にいるという殺人犯の調査協力と、無視できない一つの勝負!交錯する嘘と真実、人と人との感情。そして、その奥に隠された真実とは!?
原作は明月千里さん。アニメ化もした『最弱無敗の神装機竜《バハムート》』の作者さんですが、バトル&ハーレムなバハムートとは全く毛色の違う日常ハードサスペンス。作者のデビュー作です。現在シリウスで『クロハと虹介』(原作/成田良悟)連載中の白梅ナズナさんが漫画化。
犯人には死を、また犯人探しに失敗しても殺されるー。探偵版「人狼」とでもいうべき、命を賭けた心の闇の暴きあい。出てくる人間、善人の皮を被った外道しかいないんじゃ?な展開がたまりません。
そのうち最も鬼畜でドSで、ド外道なのが本作のヒロイン月見月理解なんですが、よくまあ漫画化できたなと思える凶悪と可憐の絶妙な混淆具合。白梅さん以外にはなしえない奇跡の描画です。これも編集者の慧眼に拍手を送るしかありません。
ニコニコ静画で連載中から評判高く、二転三転する物語の展開に最後まで高評価が続いた作品でした。原作のうち1巻ぶんしか漫画化されていないので、引き続き原作続刊で理解たちの行方を追いかけるのもおすすめ(完結済み)です。
ちなみに、先に紹介した『シュガーダーク』ともども、原作のイラストはmebaeさん。大岩さん白梅さんともにmebaeさんのキャラ画の魅力を引き継ぎつつ、自分のキャラとして存分に魅力を引き出していて、比べてみるのも面白いところです。漫画家ってすごいなあ。
ややハード寄りの作品ばかりになりましたが、いかがでしょうか。ライトノベルを原作とした漫画、おすすめ三選でした。