初めまして、個人事業主でSEOコンサルをしている都丸です。@shoheitomaru
突然ですが『破局噴火ってご存知ですか?』
今この記事を読み始めた人の中には火山に興味を持たない人が大半かと思います。
そんな方も「新しい豆知識を身に付ける感覚」で読んでいただければ嬉しいです。
そして今回は、
破局噴火ってなに?
私たちが生きているうちに日本で破局噴火は起こるの?
次の破局噴火は日本のどこで起きるの?
上記の悩みを解決できる記事となっています。
読み終わる頃には火山学のステータが1ランク上がっていますよ。
※3分で読めます。
破局噴火を簡単に言うと地球の気候を大きく変えてしまうほどの力がある超巨大噴火(カルデラ噴火)です。
破局噴火によって成層圏にまで達した大量の火山灰は世界中に拡散され日光を遮断し、地球規模で平均気温を下げてしまいます。
気温が下がると作物が育たなくなり飢餓時代に突入します。
実際に1815年に起きたタンボラ山の破局噴火は過去1600年の中で最大規模の噴火でした。
タンボラ山の影響でよ翌年の北半球は冷夏に見舞われ『夏のない年』と呼ばれたそうです。
引用:Wikipedia
また一説として、恐竜の絶滅の原因が破局噴火だったとも言われています。
噴火の規模を定量的に示す指標として火山爆発指数があります。
火山爆発指数は火山噴出物(火山灰など)の量によって9段階に決められ、破局噴火はVEI7以上を示します。
先述した1815年タンボラ山の噴火はVEL7に相当。1000年に1度規模の噴火がたった200年前に起こったことになります。
以下の動画は、過去に起こった世界の巨大噴火を分かりやすく比較した動画です。
日本で最後の破局噴火は約7300年前、九州の鹿児島県の沖合で起きた鬼界カルデラの噴火です。
当時は縄文時代中期にあたり、九州には縄文文化が栄えていました。
ですが、鬼界カルデラの破局噴火による火砕流と空高く巻き上げられた火山灰が降り積もったことにより九州と四国の縄文文化は絶滅したそうです。
その後、九州は1000年間無人の地でした。
日本で今後100年以内に破局噴火が発生する確率は1%と言われています。
日本では破局噴火(VEI6.5以上)が6700年に1度のペースで発生しているのですが、最後の破局噴火からすでに7300年が経過しています。
つまり、明日破局噴火が起こってもおかしくないのです。
1%を分かりやすく例えると「阪神淡路大震災が起こる以前の発生確率」と同じ数字。
1年間で交通事故を起こす確率も約1%も言われているので、自然災害発生確率の中では高い数字だと私は思ってます。
では、鬼界カルデラのような縄文文化を壊滅に追いやった破局噴火が今の日本で起きたらどうなってしまうのでしょうか。
結論から言うと最大1億人が被災します。
8万7千年前に阿蘇で起こた破局噴火(日本では過去100万年で最大)レベルの噴火が今起こると数時間で1100万人が死亡。
さらに日照不足や気温低下によって大飢饉が起これば、被災者数が1億人にも及んでしまうのです。
九州で破局噴火が起これば北海道にも火山灰が降り積もります。火山灰は農作物に大打撃を与えてしまうので、日本は不毛の地となってしまうでしょう。
噴火による影響は世界にもおよび、1年かけて北半球の上空を火山灰が多い、日光を遮断して気温を下げてしまいます。
結果、夏のない年が再来し世界経済が破綻してしまう恐れもあるのです。
次に破局噴火が起こる確率が高いのは九州です。
なぜなら九州が一番破局噴火の発生リスクが高いからです。
以下の表をご覧ください。
過去12万年間に日本では13回の破局噴火がありましたが、そのうち九州が6回、北海道が5回と、九州がもっとも多く次に北海道が占めています。
ただ、「九州の発生確率がもっとも高いから次の破局噴火も九州で起こる」とは限りません。
東京大学地震研究所の前野深助教(火山地質学)によると、噴火リスクのあるカルデラ火山は全国に6つあります。
※カルデラとは、大きな火山活動の後にできる窪地地形のことを言います。
1.阿蘇カルデラ(阿蘇山)/熊本県
日本でもっとも活発な活火山。過去には3回の破局噴火を起こしており、8万7000年前の破局噴火は日本で起きた噴火の中では過去100万年で最大のものです。
現在もカルデラの中心部にある阿蘇山は活発に活動を続けており、2019年10月現在も噴火をしています。
この阿蘇山、実は『世界で最も危険な火山10』の3位に認定されており、いつ破局噴火を起こしてもおかしくありません。
引用:VOLCANO CAFÉ
阿蘇カルデラが破局噴火を起こせば九州と中国地方の一部が不毛の大地になってしまうでしょう。
また、玄海原発と川内原発を破壊させてしまう恐れもあり、史上最悪の原子力災害を招く恐れもあります。
2.姶良カルデラ(桜島)/鹿児島県
姶良カルデラは鹿児島県の鹿児島湾北部(錦江湾)に位置します。
姶良カルデラの南には現在もなお活発に噴火を繰り返している桜島があります。(桜島な火山研究の対象としてデータが豊富にあるので、また別の記事で解説します)
姶良カルデラの噴火は約2万9000年前に起こりました。
この噴火で吹き上げられた噴煙は高度3万メートルを超え、その噴煙中が崩れると800度近い火砕流が時速100kmのスピードで九州南部を埋めつくしました。
火砕流が体積した大地をシラス大地と呼びその高さは100mを超えます。
現在も地下には大量のマグマが蓄積されており、いつ破局噴火を起こしても不思議ではありません。
3.阿多カルデラ/鹿児島県
鹿児島湾の湾口にある阿多カルデラ。姶良カルデラに続いて、またも鹿児島県です。
阿多カルデラ周辺には開聞岳や指宿火山群があり現在も火山活動を続けています。
阿多カルデラは北と南にそれぞれカルデラが存在し、最後の破局噴火は11万年前です。
最近は目立った噴火活動はありませんが、注意深く観測を続ける必要があるカルデラです。
4.支笏カルデラ/北海道
支笏カルデラは北海道の千歳市にある支笏湖です。
支笏湖は環境省が発表する湖沼の水質ランキングで9年連続で日本一を取っている、とても綺麗な湖です。
透明度も高く観光地としても栄えています。
また、支笏湖は不凍湖とされ冬でも凍りません。その理由は地下の熱が湖水を温めているため。
支笏カルデラの最後の破局噴火は約4万年前なので、次の噴火の準備に入っているかもしれません。
また、支笏カルデラの南側にある樽前山も危険な火山です。
17世紀と18世紀にVEI5の大規模噴火を2回しています。
破局噴火ほどではありませんが、千歳空港に1m以上の火山灰が降り積もる規模の噴火になるので、今後の火山活動に注意が必要です。
5.洞爺カルデラ/北海道
北海道の南部、伊達市付近にある洞爺カルデラ。カルデラ内には洞爺湖があります。
洞爺湖の最後の破局噴火は11万年前。噴火の規模はとてつもなく大きく、東北地方にまで噴出物が届きました。
また、洞爺カルデラの南部には約2万年前に誕生した有珠山と呼ばれる北海道でもっとも活発な活火山が活動をしています。
近年の有珠山は20~30年周期で噴火を繰り返しており、最後の噴火は西暦2000年。
カルデラ噴火の可能性は正直分かりませんが、有珠山はそろそろ噴火するかもしれない非常に危険な火山です。
6.屈斜路カルデラ/北海道
北海道東部に位置する屈斜路カルデラは日本最大のカルデラ火山です。
カルデラ内には約3万年前の噴火でできた屈斜路湖があり、こちらも日本最大の"カルデラ湖"です。
屈斜路カルデラは過去に何度が大規模の噴火をしており、約12万年前には破局噴火を起こしています。
日本最大のカルデラを形成した破局噴火は北海道全域を火山灰が覆いました。
約4万年前にも破局噴火が起きており、今後も噴火の危険性がある要注意火山です。
引用:危険すぎるカルデラ6選
破局噴火が起こったら逃げましょう。普通の噴火とは次元が違いすぎるので防災という対策は通用しません。
隕石が迫ってきたらなるべく遠くへ逃げますよね?それと同じです。
ただし逃げるための時間はあります。
なぜなら、破局噴火ほどの大きな噴火は必ず前兆現象があるからです。
2014年御嶽山の噴火や2018年本白根山の噴火は予兆が捉えにくい水蒸気噴火でしたが、マグマが関与する噴火は基本的に前兆現象があります。
先述した6つの火山は観測体制も整っているので破局噴火の前には必ず前兆があるはずです。
破局噴火が起こりそうになったらなるべく遠くへ逃げましょう。
私たちが暮らす日本には111の活火山があります。
噴火より地震の方が多いと感じるかもしれませんが、ここ100年の日本の火山は静かすぎるためあまりニュースにならないのです。
以前の日本は100年に3・4回はVEI4以上の噴火が起きていたのですが、1929年の北海道駒ヶ岳の大噴火を最後にVEI4以上の噴火は発生していません。
そう。。ここ100年日本の火山は静かすぎるのです。
過去に世界で起こったM9以上の超巨大地震の後には、周辺の火山で必ず大規模な噴火が起きています。
ですが日本だけ東日本大震災の後の大規模噴火はなし。
超巨大地震が噴火を引き起こす科学的な根拠はありませんが、関東・東北・北海道の火山はしばらく警戒をした方が良さそうですね。
以上、日本で起こる破局噴火について解説していきました。
最後に内容を振り返りましょう。
破局噴火は今後100年以内に1%の確率で起こる。
破局噴火の可能性がある火山は6つある。
破局噴火の前兆現象を捉えたら逃げろ。
自然災害に私たち人間は叶わないですが、上手に向き合っていくことはできます。
破局噴火の恐ろしさを理解できたら、次に日本の現在の火山活動に注目してみるのも面白いかもしれませんね。全国の火山活動状況
あ、ちなみに日本にはカルデラが100個以上あります。