今回は仮想通貨の理論値は、出すのが難しいという話です。
私自身、記事を書いています。
こちらはフィッシャーの交換方程式です。
・変数全体に説得力がない
・右辺は金額の単位が仮想通貨の単位である
なので「大体の目安には使えるかも」という結論です。
こちらはアリがちな話で、「配当を出してくれたら理論値算定は簡単だ」という主張に対する批判です。
私の結論は「逆に難しくなる、なぜなら、各期の配当を、理論値として出したい単位に直さなければならないから」というものです。
コンソル債の場合、理論価値=配当額/割引率 というとても簡単な式に収まります。だからそれを表面的に理解する人は「こんな簡単な理屈、分かればすぐに算定できるじゃないか」と思うらしいです。
いやいや、と。
出したい理論価値の単位は何でしょう?円とかですよね?配当は何で行われますか?円で行われますか?FIATで行われますか?まさか。
仮想通貨で行われたり、取引所の独自トークンではBTCなどの仮想通貨だったりします。
円を求めるのに仮想通貨の単位で良いわけがないですよね?
右辺と左辺の単位が違って良いわけありませんよね?
こちらをご覧ください。
具体例を出します。
配当は毎年1仮想通貨です。今年も来年もそれが続くという仮定を置きます。
こういう仮定を置くのは仕方のないことで、配当が増減すればそれに伴って理論価値が上下し、結果、市場が動くことになります。
(興味がある方はゴーイングコンサーンとか、トレンドは継続するとかその辺りを調べてみてください)
仮定を置く事は問題ではありません。
今年の配当を「単位:円」に直しましょう。
これは今そこに数字が出ているのでCEXの値を参考にすればいい。
じゃぁ、来年は?再来年は?どうやって円に直しますか?という話なのです。
「理論価値=配当額/割引率」と一気に簡便化なんてできません。
簡便化できるのは
理論価値=配当額+配当額/(1+割引率)+配当額/(1+割引率)^2+配当額/(1+割引率)^3・・・
という式が成り立つことが前提だからです。
実際は
理論価値=配当額
+配当額/(1+割引率)に「仮想通貨のこの時期の価格」をかける
+配当額/(1+割引率)^2に「仮想通貨のこの時期の価格」をかける
+配当額/(1+割引率)^3に「仮想通貨のこの時期の価格」をかける・・・
となるはずなのです。だから、コンソル債の公式は使えないのでは?という事になります。
未来の価格なんてわかりませんよ。
一年で70%下落するような市場ですよ?
「将来の配当を今後も同じ値が続くと仮定してよいのであれば、配当額の価格も今後も同じ値が続くと仮定してよいのでは?」
なるほど、おっしゃる事自体は分かります。
ですが、おっしゃる事の意味は自覚してますか?
今後も同じ状態が続くという強力な仮定が成立したとして、理論値と現在値の乖離があった場合その差は何でしょうか?
理論値は絶対ですか?理論と現実は包含関係はどうなっていますか?
現実をある観点からその一部を切り取ったのが理論なのでは?
その考えが正しいのであれば、強力な仮定の下で出てくる理論値の方が間違っているのでは?
あるいは市場が、相当に、無茶苦茶に、未熟なのかもしれません。
(私は、自分の知らない事情が価格に反映されているのかな?と思う派です)
以上のように
とてもとても簡単だと思われるコンソル債の話でも扱いには注意が必要です。
上記は単位の問題が一番大きかったのですが、実際は割引率が適正か?という点も非常に大きい。
今後も「仮想通貨の理論値を出すのは簡単だ」という方はいると思います。
利用する場合は、ただ頷いて相手の主張を理解するだけでなくその理屈の前提を見た方がいいように思います。
ではでは
----------------------------------------------------------
・かんがえる、かがんでいる人
・Steemit
・Twitter
----------------------------------------------------------