レコメンド機能はシステマチックなだけではいけない、という話をします。
レコメンド機能というのは、Amazonで見かける「この商品を購入したお客様は、こちらの商品も購入しています」というあれです。
この機能は売り手にとって、とても良いものです。買い手の購買意欲を刺激し消費行動を刺激する、要するに売り上げが伸びるからです。
この機能は買い手にとっても良いものです。多くの買い手は「もっと買わせようとしている」という事を理解していながら、尚且つその情報を有用か否かを判断できるからです。実際にその機能で面白い情報に出会うことがありますよね。有用な情報を入手できる可能性があるので良い機能です。
このレコメンド機能ですが、多くはざっくり、このような仕組みになっています。
1)買い手の購買履歴を情報として持つ
2)分析して傾向を調べる
3)買った商品と一緒に買ってくれるか?利益率は?利益額は?等を勘案して、お勧め度合いをスコアに落とし、その順番に表示する(おすすめする)
4)そのお勧めに応じて買ってくれたかどうか、見るだけ見て買わなかった、などの購買履歴にさらに情報を加え、精度を高めると同時に変化予測に再度利用する。
非常に整理された、システマティックな仕組みです。
今だと機械学習なんていうと思いますが、二昔前だとデータマイニングなんて言っていました。
データマイニングは、データという鉱脈から資源を掘り当てる作業で、統計学を用いて関係性を明らかにしマーケティングに生かす手法です。
例えば、なぜだかわからないけれど、発泡酒と紙おむつが同時によく売れている。データマイニングで良く具体例として出される事例です。
これは、その小売店の周辺が若い夫婦が多く。たまに買い物に来る時にかさばる紙おむつと、夫婦が飲むであろう嗜好品それも安いものを選択するという結論がデータの分析からわかったのですね。
その後どうするのかは、企業の工夫によるでしょう。他に若い夫婦に売るのがよさそうなものがあればそちらをお勧めするでしょう。
「ご一緒にポテトはいかがですか?」
で、ですね。ここからが割と大事な話なんですが。
いままでの自分のキャリアや趣味と、まったく一貫していないけれど、今は自分の趣味になっている事ってありませんでしょうか?
例えば、カジュアルなスポーツジムですと、割と体を鍛えてらっしゃる方から、若いOLさんまで、幅広い客層があります。彼ら彼女らは体を鍛えて健康を意識しているという共通点はあれど、その誰も考えつく範疇を超えてのリコメンドはなかなか難しいのですね。顧客層が多種多様だから。
Amazonのレコメンド機能も実は同じような悩みを抱えているんじゃないかと思うのです。上記スポクラの会員の具体例は「客中心」で商品を勧める話でしたが、今度は「商品中心」で、それを購入した人に何を勧めればいいのかという話をしていきます。
Amazonで、ペットフードを買ったとします。それは犬用のものです。
であれば多くの人が買ってあるであろう犬用の消耗品をお勧めしてみる。なぜなら同じペットフードだからと言って金魚のペットフードを買わせようとするのは間抜けだし、犬小屋はすでにあるだろうから。
多分ペットシーツなんかが無難なところなのでしょう。
ここで私が必要だと思うのが、一定の確率で訳の分からない・関連性のうすい商品をお勧めしてみるという事です。それによって購買者の趣味や嗜好が広がるかもしれません。今まで全く興味がなかった分野であっても、そのお勧めによって将来のメインの趣味になるかもしれません。
冒頭で書いたように、レコメンド機能はいろいろなところで使われています。例えばSNSであれば「この人をフォローした人はあの人もフォローしてます」なんて教えてくれます。それは犬を飼っていれば同じような人が表示されるでしょう。うどんが好きな人をフォローすればやはりうどん好きな人が表示されるはずです。
それはブログも同様。
しかしそれは、自分の主義やモノの見方を広げる事には寄与せず似たようなもので固まるだけです。
「色々な世界を知りたい」と願う人には物足りない。
本当に、人に影響を与える何かというのは。訳の分からない、関連性の全くない何かが必要なのではないかと思うのです。
情報は自分から調べに行くものと、他者からもたらされるものがあります。
現実社会では相対的に後者が大きいです。
ネット社会では検索が大きな窓口になっている以上、自分で調べるべき対象を持っておく必要があるので前者が大きいでしょう。
であれば、ネット社会では特に、現実社会で他者がもたらしていたであろう、まったく関係のない何かを目にさせる事に価値があるのではないかと思うのです。
その人を分析し、要点ごとに類似点を推薦する機能は割とできているはずです。そこに「こういうものをありますよ」という関連のない何かを推薦できるのであれば、それは日本そばの七味のように効いてくる可能性があります。
この話の前提には次のような話があります。
「選択と集中」という戦略があれば「分散」という戦略もあり、それは時と場合に応じてどちらが正しいかは変わります。
選択と集中を志向している場合、上記の機能はノイズでしかありませんが、分散を志向し自身に多様性を取り入れようとしている場合、上記の機能が生きてくるように思います。
レコメンド機能に乱数を加えるべきか否かの前に、まずは相手が「選択と集中」を志向しているのか「分散」を志向しているのかを知る必要があります。
ブログサービスである、「ランダムで誰かほかの人の記事にジャンプする」という機能はそれなりに意味があるように思うのです。
ではでは
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