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常連扱いのジレンマという話

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  • ton
  • 2018/10/21 09:21
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よく聞く話ではあります。

店で「いつもありがとうございます」と、自分が常連であることを認識されていることが確実になったとたん、その店に足が向かなくなる。

この現象に対する店の行動を、常連扱いのジレンマと名付けてみました。
それっぽくないですか?

意味としては、
顧客が親密性を求めていない場合は常連である事を知っているという情報を発信することが売上の減少につながるというものです。
一方で、親密性を求めている場合もあるわけで、そういう人は「いつもありがとうございます」の言葉が嬉しいわけです。「もっと行こう!」となります。
どこがジレンマかというと、店側としては常連客に感謝の意を伝えたいがそれが合理的な選択ではない点です。

個人の性質の差を接客面でも発揮しなくてはいけない。
多品種少量生産やオーダーメイドの時代にふさわしいものかなぁとか。

この法則の面白いところは、店側の対応はどういうところに落ち着くのか、というところです。
都会など顧客をグループで管理できない場合、個人の性質を個別に知ることが不可能なので、接客がそっけなくなりがちです

なぜ、そっけなくなりがちであるかというと、そちらの方が合理的だからです。
常連扱いが嫌な人は常連扱いで確実に足が遠のきます。
一方で、
常連扱いが嫌でない人は常連扱いをされなくても特に足が遠のくという事はありません。むしろ「常連扱いしてもらうように、通うぞ!」と言う行動さえ期待できます。


常連扱いのジレンマを、個人の性質を見抜くだけのコストメリットがあるか否かという観点から見てみます。

例えば高級店であれば、顧客に合わせた接客を行うことに合理性があります。
きめ細やかなサービスも高級店が高級店とされる要素の一つですし、高級店に行く人にとって、常連客扱いされることは一種のステータスです。顧客の性質を見抜くよりも、論点が「常連客として扱うか否か」という点に移っているように思います。ステータスを与えるのは店側だからです。

一方、高級店でない、むしろ安めのファーストフード店では、店員さんに「いつもありがとうございます」と言われることは客からすると恥ずかしいことかもしれません。
店員さんからすると「なんだよ、お礼の気持ちを込めて、良かれと思ってやったのに迷惑がるなんて失礼だ!好意的な行動は受け入れて好意的な行動で返すべきだ!」と考えるかもしれません。ここまでセルフィッシュな店員は少ないでしょうが、好意をあだで返されると、それが相手にとって迷惑だったのかという自省をしつつもモヤンとするのは人間として普通の感情だと思います。
となると、常連を覚えて個人に応じて常連扱いすることに合理性が無いのです。常連扱いを実際にしてみないと、その人がどういう気持ちになるのか判断できないからです。
そして、実際に結果が分かった時点では、売り上げに影響に及ぼす状態です。
時間は巻き戻りません。

なので、
高級店では常連扱いをして困る人は少ないであろうから、個人の選好を把握するコストを払わなくてよい。常連として店が認める人を常連と呼べばよい
一方で高級店でない店では、個人の選好を把握するコストを払ってまで常連扱いをするリスクを冒すのは合理的ではない

そんな結論に落ち着きそうです。

冒頭で定義を書きました「顧客が親密性を求めていない場合は常連である事を知っているという情報を発信することが売上の減少につながる」
これは顧客個人の選好だけに依るものではなく、顧客とその店との関係性にも依るもののようです。


でも、まぁ、店側からすると「いつもありがとう」位は伝えたいもんだと思いますけどね。


ではでは

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公開日:2018/10/21
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