皆さんは経済学という言葉を聞くとどのようなイメージを抱きますか?
「どうせ数学しか使わないのでしょう?」「現実の世界をあんなグラフで表すことなんてできるわけがない」「なんだか、都合がいいように騙されている気がする」「現実を理解する役には立たない」
どの意見も経済学を完全には捉えきれていないと自分は感じます。
なので、最初に経済学というものを捉えるために経済学についての重要なポイントをこの記事では皆さんに伝えていきたいです。
経済学という学問は、2つの側面を持つ学問であると言えます。
1つ目の側面は、
歴史を鑑みてどのような経緯をたどり現状のシステムが構築されていったのか・現状のシステムはどのような要因が大きな影響を与えているのかなどを学ぶ歴史的社会科学の側面です。
2つ目の側面は、
数学的な能力を用いて経済活動に対してそれらを包括するモデルを構築するという理系的な学問の側面です。皆さんが経済学と聞くとこちらの側面を思い浮かべるかもしれません。
経済学は2つの要素を内包している学問であり、そのどちらか一側面だけでは経済学とはいえません。
もちろん、経済史や経済学史を専門として研究をしている優秀な経済学者の方はたくさんいらっしゃいますし、逆に数学的なモデルの方を専門に素晴らしい成果をあげている経済学者の方もたくさんいらっしゃいます。それは経済学という学問をより深く考えていくための分業だと考えてください。
経済学について建設的な議論を行うためには2つの側面のどちらも理解できていなければいけないと考えます。
経済学は人の営みのすべてを対象とする学問です。人の営みが多様なものであることと同様に、絶対的な真理のある自然科学の学問と異なり、
経済学は本質的に多様な学問です。
MMT(Modern Monetary Theor)【現代貨幣理論】がとてもいい具体例だと思います。賛成・反対の様々な反応や意見が経済学者の間にあります。
そのような意見の相違・多様性の要因となっているのが、
何を自分たちの経済学の考えの基礎としてもつのか、経済活動を捉えるにあたり何を重要視しているのか
というところになります。この部分についてはまた別の記事で詳しく紹介をしたいと思います。
これらの事項を踏まえた上で経済学を学ぶ際に自分が大事にしているポイントを皆さんにお伝えしたいと思います。
経済学部の学生でもない限り、経済学についてじっくりと腰を据えて学ぶ機会はあまりないと思います。ですが、経済学に関連するテーマの本を読んだりすることで経済学に関わる機会は日常の中にも多くあると思います。
日常で経済学に関わる際、特に経済学に関する本を読む際に皆さんに重要視していただきたいのが、
①発言者(筆者)はどんな事象を対象にして議論をしているのか
②発言者(筆者)の経済学における立場(どんな考えの基礎を持つのか、何を重要視しているか)は何であるか
③発言者(筆者)の結論は何であるのか(ある事象に対して賛成であるのか、それとも反対であるのか、その根拠は何なのか)
という3つのポイントです。
経済学に関する意見・発言をみたときにそれをそのまま鵜呑みにしたり、頭ごなしに否定する前に、発言者の素性を調べるということは、より深い理解につながります。
経済学の概要を理解した上で、この3つのポイントを意識することで、経済学について考える際に感情だけにとらわれない客観的な意見を持つことができるようになると思います。
とある経済学者の
「経済学を学ぶのは、経済学者に騙されないためだ」という言葉があります。これがまさしく、経済学のための教養の必要性を自分が感じる大きな理由です。
経済学のための教養は、全ての経済学に対する意見を客観的に考えるために必要なものです。
具体的にいうと、経済学という学問全体への理解や経済学において大きく分けてどんな立場(学派)が存在しているのかなどの事項です。
経済学は現実の政策や経済活動の根拠とされる学問であるため、悪用しようと思えばいくらでも悪用できてしまいます。
なので、多くの人が、「正しそう」という感覚的なものだけではなく、「正しい」ときちんと根拠を持って判断できるようにならなければ、国家の運営や市場の在り方について大きなミスを犯すことになりかねません。
経済学のための教養を国民の多くがもつようになってはじめて、増税や社会保障の拡充、年金問題などの経済学が現実に関わる領域である様々な現実の問題とその最善の解決策について、建設的な議論が行えるようになるのではないかと考えています。
ここまで偉そうなことを書いてきましたが、自分がそれらのことを完璧に実現できているかといえばそうではありません。モデルなどの複雑な数式を見ていると「難しすぎやろ!」という気持ちになってしまいます。
ですが、僕は経済学を学んでいてとても楽しいです(笑)
そして、大学生になって本格的に経済学を学ぶようになって感じたのは、学べば学ぶだけよいもので、そして、学び始めるのに遅いということは確実にないということです。
皆さんもぜひ経済学について一緒に学んでいきませんか?