テクノロジー

Pixel4aはなぜ消費者の心を動かしたのか

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  • うた
  • 2020/08/27 12:20
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Pixelシリーズ最新機種であるPixel4a。Pixel4がローンチされた直後からずっと噂されていましたが、(おそらくコロナの影響で)かなり遅れて登場しました。

正直、個人的には「Pixel3とPixel3aの関係」程度のもので、「ハイエンド⇔ミッドレンジ」の対比でしかないのかなと思っていたのですが(記事を書く気は無かった)、どうもPixel3⇔Pixel3a以上に高評価を獲得している様子です。ちょっと気になったので、理由を追いかけてみようと思います。

 

・とにかく安い

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Pixel4aは、GoogleStoreにて42900円で販売しています。ところがPixel3aは49500円。新機種のほうが安いというおかしな状況になっています。

単に型が新しいほうが安いというだけで意味不明ですが、どこをどう比較してもおかしい。以下を見ていきましょう。

-ディスプレイサイズ

Pixel3a:5.6インチ

Pixel4a:5.8インチ

-メモリサイズ

Pixel3a:4GB

Pixel4a:6GB

-ストレージサイズ

Pixel3a:64GBのみ

Pixel4a:128GBのみ

(※プロセッサについては型上げということで省略。なお、本体サイズはPixel4aのほうが小さい)

 

如何でしょうか?

いわゆるスマートフォンの世代交代で大抵は新しくなるもの、CPUやカメラレンズ等は刷新されても驚きませんが、それに加えて上記のような明らかに効果的な改善ポイントを備えて、約6600円も安くなっている。これは購買意欲を煽られます。

また、簡単には比較できませんが、話題の最新iPhoneSEは49800円(128GB)です。ハードウェアとOSをワンストップで提供されることを念頭に置いて比較すると、Pixel4aの安さはちょっと常軌を逸しているといえます。

(※iPhoneSEのプロセッサはレベルが桁違いですが、一方で画面がかなり小さかったり、メモリが半分しかなかったりといった部分は少々気になります(いくらiOSがメモリ消費の少ない優れたOSだからといっても、です)。私はスペック厨ではないので、ゲーマー以外には何の影響も無いだろと思ってしまうタイプです。とはいえゲーマーの皆さんもメモリ3GBはさすがに気になるんじゃないでしょうか…)

 

 

・痒い所に手が届く

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Pixelシリーズは、ハイエンドと廉価版で技術仕様を統一しない(=ある意味ターゲットを変えている)という特徴があります。今回もPixel3⇔Pixel3aのときと同じように構成し、結果的にかなり痒い所に手が届く絶妙な仕上がりになっています。

-イヤホンジャック搭載

もはや完全ワイヤレスイヤホンの存在はいちアクセサリに留まりませんし、二年前は「イヤホンジャック無くすなんて早いのでは?」といった騒ぎも下火です。そんな中でのイヤホンジャック搭載。まあこれってあっても困らないですし(防水性能に不安が残りますが)、同じPixelでもつけたりつけなかったりというのは面白いですよね。

加えてGoogleが上手だなと思うのは、ハイエンドには付けずにミッドレンジに付けるというところです。「完全ワイヤレスなんて使わないよ…有線イヤホン現役だし…」な、新技術に飛びつかない人こそイヤホンジャックが欲しいんですよね。そしてそういう人はハイエンド機はあまり目に入りません。

どうですか?かなり上手いマーケティングだと思いませんか?

よくPixelは「なんでハイエンドにイヤホンジャックを搭載しないんだ」とTwitterあたりで騒がれています。イヤホンジャック搭載を「機能」として捉えている人にはそう見えるのでしょうが、私は無駄なものを搭載して故障点を増やすよりも、リスクヘッジで一枚岩なスマートフォンのほうが高価であることに納得感があります。

 

-パンチホール型インカメラで本気のベゼルレス

もはやベゼルレスは可能な限り満たすべき最低条件みたいな雰囲気です。Pixel4aは(パンチホールに好みこそあれ)しっかり手堅く満たしてきた形。Pixel4当時から実現できたはずでしたが、Soliレーダーを搭載するためにPixel4のヘッド側ベゼルはやや太い。

これもイヤホンジャックと同じ話ですが、ハイエンドであるPixel4よりもミドルレンジなPixel4aのほうがベゼルレスという逆転現象が発生している状況で、ん?と思われる方もいるかもしれません。

先述した理由に近いですが、Soliレーダーを搭載する上で、Pixel4はベゼルレスを追求できなかった。あちらはハイエンドならではの機能を搭載したが故のベゼル。こちらは低機能が故の無駄を削ぎ落とした結果のベゼルレスですね。

 

~余談~

比べてみると面白いんですが、Appleの考え方は真逆です。iPhoneSEは外側をiPhone8という以前の端末のものを流用しつつチップは最新のものを搭載する。Pixelは直前のハイエンド端末以上の外観を目指しつつ(最新ですが)ミッドレンジ向けのチップを搭載する。

細かい話をすればiPhoneSEはメモリをかなり少なく抑えていたり、Pixel4aは背面がガラスじゃないなどの差はありますが、Appleは外観の開発コストを抑え、Googleはスペックを必要十分に正規化している感じです。どちらのアプローチも面白いですが、消費者側がどちらを選ぶのかはかなり悩ましいですね。

iPhoneがAndroid端末と異なる売り方をするのは、旧iPhoneがミッドレンジ的な扱いで買われていることを知っているからなんだと思っています。iPhone11proやiPhone11はハイエンド、iPhoneXR、iPhoneXSがチップは劣るが外観は最新(X以降のノッチver.)、そこにiPhoneSEというチップは最新だが外観が劣るものを加える。

iPhoneユーザはiPhoneの中からどれを買おうか迷っている可能性が高いですが、PixelユーザはAndroidの中からPixelを選んでいる可能性が高い。Pixelのほうが浮気されやすいし、浮気の結果Pixelに手を出した人が多いんです。そのため、Apple以上に技術仕様や値段帯域の決定には複雑な要因を絡めた作戦が必要です。

 

―素直に顔認証から撤退?指紋認証の復活

Pixel4ユーザとしてはちょっとショックですが、Googleは(コロナ禍のマスク着用に起因するのか、はたまたセキュリティ的懸念が払しょくしきれなかったのか)顔認証から撤退するような空気を出しています。Pixel4aは指紋認証ですし、リークされつつあるPixel5(※ハイエンドでない点については注意)も指紋認証と噂されています。

Pixe4にはSoliレーダチップが搭載されていますが、スマートフォンでの活用は微妙だと判断されたのでしょうか。正式にはPixel5ハイエンドver.かPixel6を待つしかありませんが、私の勝手な想像では、もうGoogleはスマートフォンにSoliレーダチップは搭載しないと思います。そもそもSoliはスマホ用のものではないことは明白ですし、間違いなく近い将来必要になる「画面以外での操作」の実験がしたかったのだと思っています。

(詳しくはそのうち書くかもしれませんが、PixelWatchなのかPixelBuds3なのかPixelGlassなのか、何らかのウェアラブルデバイスの新たな操作方法につなげたい思いだけは間違いないでしょう)

でも便利ですよね指紋認証。セキュリティの懸念は顔認証と比べるとかなり少ないですし、対応しているアプリも多い。マスクが必要な今の時代ではなおさら、顔認証よりも重宝されていることは間違いありません。まさに「痒い所」って感じなので、しっかり時代の流れに合わせてきたなという印象でした。

 

 

 

・総評

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「痒い所に手が届く」スマートフォンが「安い」というのは、それだけでほとんど破壊的イノベーションです。それも、安さが売りの某国メーカー製スマートフォンが安いのとは違う。GoogleがフラッグシップのシリーズとしているPixelシリーズが、AndroidOSが向こう3年間アップデートされ続けることが保証されているPixelシリーズが、という前提が付くことがなによりの価格破壊であるわけです。

ハイエンドとミッドレンジに対する捉え方が「高機能」「低機能」ではなく、「高価格帯のユーザが求めるもの」「低価格帯のユーザが求めるもの」というスタンスは、ほかのメーカーにはない面白い視点だと思います。(ハイエンド機の売り上げはそう芳しくない様子ですが、ミッドレンジの狙い撃ちはかなり上手くいっている様子。Pixel4aは同シリーズ内で最も売れたスマートフォンになる…かもしれません)

 

私は基本的にハイエンド機しか買わないことにしているのですが(そうじゃないとミッドレンジだから…安いし…とか言い訳してすぐ新しいものを買いたくなってしまう)、そうでなければ間違いなく買ってます。欲しいなあ。

Pixel4a。色々と”ジャスト”なスマートフォン。皆さんは買いますか?

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