Lisk:完成までの紆余曲折

uzamaru
2020/09/09 10:35

数年前のLiskは業界のスターでした。しかし現在は、かつて有名だったブロックチェーン企業の話を聞きくことはほとんどありません。コミュニティは創業者やその壮大な計画に不信感を抱いていました。現在、プラットフォームは自分自身を再発見しています。BTC-ECHOはベルリンのLiskオフィスを訪問しました。

本レポートは、Kryptokompass7月号に掲載されたものです。ドイツと国際的なBlokchainエコシステムの詳細については、こちらをクリックしてください。

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ポツダム広場にあるLiskのオープンプランのオフィスは静かになりました。閑散としたオフィス、机は一掃されています。そこに一人の男性が靴を脱いで座っています。「コロナは、日常の仕事をひっくり返してくれました。」とWeWorkの敷地内を見学中のLisk創業者Max Kordek氏は言いました。彼は従業員を自宅に移しリモートワークに切り替えました。「開発者たちは本当に不安になっていました。」オフィスよりもリモートワークの方が仕事量が減るという彼の懸念は、推測に反し間違いであることが証明されました。「彼らは良い仕事をしています。」とKordek氏は言います。

しかし、彼らはまだ多くのことをしなければなりません。今後数ヶ月間、いくつかのソフトウェアの開発が予定されています。今年の目標は「限界に挑戦すること」と、28歳の創業者はジョークを交え答えました。

Liskは2016年のドイツのクリプト業界で最も輝かしいイニシャルコインオファリング(ICO)の一つでした。Kordek氏は当時24歳の若さです。

Max Kordek氏とOliver Beddows氏によって設立されたLiskは、2016年にドイツのクリプト業界で最も輝かしいイニシャルコインオファリング(ICO)の一つとなりました。Kordek氏は当時24歳でした。彼は6学期で電気工学の勉強を中退し、スタートアップのCryptiでの仕事を辞め、Liskで一夜にしてドイツのクリプトシーンのスターになりました。

「人々のため」のアプリ

10億ドルの評価額を持つそのオープンソース・プラットフォームは「Lisk is for the people!(人々のためのLisk!)」とKordek氏は祝いました。多くの投資家はアクティブなコミュニティを形成し、JavaScriptやサイドチェーンを使って、できるだけ多くの開発者をブロックチェーン技術に引き込むという彼の計画が市場を変えるだろうと予測していました。

「彼らは皆、数百万の暗号通貨を持っていた。みんな大富豪だった。誰もがお金を持っていた」

続いて、高揚感のあるイベント、眩いばかりのパフォーマンス、賞品、センセーショナルな報道、インタビュー、広告、取引所の上場などが行われました。「彼らは皆、数百万の暗号通貨を持っていた。」、「みんな大富豪だったし、みんなお金を持っていた」とKordek氏は振り返ります。「全くの無茶苦茶だった」 2017年1月、Kordek氏とBeddows氏は最初の従業員を雇用し、チームを60人までスケールアップさせました。しかし、有望な結果は得られなかった。Liskの険しいサクセスストーリーに亀裂が入り始めました。

すべての始まり

全てが順調でした。RWTHアーヘン大学で電気工学を専攻していたKordek氏は、すでにビットコインと暗号通貨に関する多くの仕事をしており、最終的にはブロックチェーンの世界への道を切り開きました。「私はいつも電気工学やコンピュータサイエンス、投資の分野で何かをしたいと思っていました。」と彼は言います。ブロックチェーン技術は、この3つの領域が重なっています。
しばらくして、彼はCryptiというプロジェクトを意識するようになりました。「dAppsがサイドチェーン上で稼働するブロックチェーンエコシステムを設計するというのがコアアイデアでした。」と同氏は言います。サイドチェーンエコシステムでは、各dAppは独自のチェーンを取得します。そして、サイドチェーンはメインチェーンとブロックチェーン間通信を介して互いに接続されています。「私はそれが素晴らしいアイデアだと思いました。しかし残念ながらICOはこの素晴らしいビジョンを達成するのに十分な資金をもたらしませんでした。」と彼は説明しました。そのため、プロジェクトは2年後に開発中止となりました。しかし同時に、Liskの基礎が築かれました。

ソーシャルメディアで勝利の行進へ

「サイドチェーン上で分散型アプリケーションを実行するというアイデアは、私の頭から離れませんでした」とKordek氏は説明します。2016年に学業を休んで、Liskの共同創業者であるOliver Beddows氏と共にCryptiのコードをフォークしLiskを作りました。この時点でKordek氏とBeddows氏は知り合い程度の関係でした。一人はアーヘン、もう一人はイギリスのバーミンガムに住んでいました。

Cryptiのコードを修正してアップデートして、新しいデザインにしました。彼らは恐らくプロとしての佇まいと、プロジェクトを後押ししたビジョンを持っていたのでしょう。あらゆるチャネルでの巧みなマーケティングと相まって、これがLiskの凱旋行進の始まりとなりました。

LiskはICOで14,000BTCを集めました

Cryptiの再開発は完全に成功しました。Kordek氏とBeddows氏は、当時の価値で約500万ユーロに相当する14,000BTCを受け取りました。2018年、Liskは2億ユーロ以上の資産を持っていました。当時、LSKトークンの時価総額は10億ドルを超えていました。

Kordek氏とBeddows氏は、当時の価値で約500万ユーロに相当する14,000BTCを受け取りました。

しかし、サイドチェーン上で分散型アプリが稼働するブロックチェーンプラットフォームを構築するという大きな目標は、長い間、完成が待たれていました。コミュニティがサイドチェーンを期待している間に、誇大広告期間は徐々に沈静化していきました。そしてコミュニティの初期プロジェクトに関する話をあまり聞かなくなりました。多くのプロジェクトに関する広告を見かけなくなったと思われるかもしれません。

Liskは人生の教訓を学ぶ

一方でアーヘン出身の28歳は振り返って、もっと違ったことができたのではないかと考えている。「あの頃は誇大広告にハマっていたあれは本当にクレイジーだった」とKordek氏は説明します。しかし、波が収まった後、彼は誇大広告の背後にはほとんど本物がないことに気付きました。新たな意欲と経験を得て、ブロックチェーン・プラットフォームの構築を目指すチームは、本当の使命に集中することを決意しました。「ノーマライゼーションとプロフェッショナル化を目指しています。」と創業者は説明します。「より多くを届け、より少なく話す」がチームの新しいモットーです。

「ノーマライゼーションとプロフェッショナル化を目指しています。」と創業者は説明します。「より多くを届け、より少なく話す」がチームの新しいモットーです。

このような発見があったのは2年前のことです。それ以来、開発者、プログラマー、デザイナー、マーケティングの専門家で構成されるチームは、ソフトウェアや様々な製品に取り組んできました。2019年12月、Liskは従業員を60名から30名にレイオフしました。「Tight Knit (緊密な)」とはKordek氏による内部編成用語です。それは、より効率的な計画とコミュニケーションを可能にするために必要なものでした。それ以来、チームはお互いの立場に立って、より良い連携がとれるようになり、「ブロックチェーンをメインストリームのために簡素化する」というビジョンをより迅速に実行できるようになりました。

最終的な解決策としてのソフトウェアソリューション？

Kordek氏によると、ビジネス開発者のJan Breker氏とイベントプランナーのMonica Tartau氏はソフトウェア開発キット(SDK)が最終的なソフトウェアソリューションだといいます。このSDKは、異なるブロックチェーンコンポーネントのツールボックスの略です。これらには、Lisk CommanderやLisk Elementsなどのツールが含まれます。これらは現在、すべてキットの一部となっており、将来的には開発者が独自のブロックチェーンを開発するために使用できるようになっています。Lisk SDKは2019年に実装され、Kordek氏によれば、Liskにとって重要なマイルストーンだったといいます。

相互運用性は、次の大きなマイルストーンにしたいと考えています。「すべてをつなぎ、すべてを織り交ぜるプラットフォームを開発したいと考えています。それはつまり、ネットワークのネットワークのようなものが形成され、多くの異なるブロックチェーンアプリケーションを持つブロックチェーンプラットフォームが形成されます」とKordek氏は説明します。

リローンチからリセットまで

今のところ、本プロジェクトの制作可能なアプリや企業との提携はありません。Liskは過去の失敗を繰り返したくない。「今回はすべてがスムーズに進むようにしたい」とKordek氏は断言します。Liskは今、「しっかりとしたものをベースに、非常に精密に設計された製品を生み出しました」と言います。彼は自分が何を言っているのかを理解しています。同社は過去にコミュニティから大きな批判を経験しました。「小さなニュースはこれまで最も大きなもののように発表されました」と言います。

500人が参加した2018年のリローンチイベントは、その後、非常に懐疑的に見られました。「そのようなイベントをすると、人々は大きな発表を期待しました。」しかし、当面の間、期待に沿うようなことは起こりませんでした。その代わりに同社はあまり正確でないロードマップを発表しましたが、これが大きな批判の火種となったといいます。「文字通りコミュニティは私たちから離れていきました。」と彼は説明しています。

この教訓を必然的に社内に浸透させていきました。すべてが透明であることは、Liskにとって特に重要なことです。毎月、進捗や財政に関する最新の報告書を発行しています。Liskの事業開発者であるJan Breker氏によると、同社は毎月、毎週、最新のニュースをコミュニティに発信し続けています。Liskチームは、すでに達成していることと、完成までに必要な時間をコミュニティに示したいと考えています。「私は、多くのブロックチェーン企業が未だに自社の進歩を誇張し、あたかもすでに生産可能なソリューションを開発しているかのように振る舞っているように感じることがよくあります。しかし、その多くはまだ準備が出来ていません。」とBreker氏は説明します。

「私は、多くのブロックチェーン企業が未だに自社の進歩を誇張し、あたかもすでに生産可能なソリューションを開発しているかのように振る舞っているように感じることがよくあります。しかし、その多くはまだ準備が出来ていません。」とBreker氏は説明します。

まとめ

今後数ヶ月間はテスト期間が続き、Liskが近い将来に資本を製品に変えることができるかどうか示してくれるでしょう。「我々は今、アルファフェーズからベータフェーズに移行しています。」とKordek氏は説明しています。また、2020年末までには、Liskはより大きな企業やイノベーションラボとの連携を図りたいと考えています。また、Lisk Centerベルリンの設立も計画されています。つまり、ベルリンで活動しているプログラマーやブロックチェーン愛好家を招いて共同プロジェクトに取り組むコミュニティセンターです。同社はすでにユトレヒトと東京に同様のセンターを持っています。

想定される価格の損失はストレスを生む

資金調達ついて、Kordek氏は、ICOからの資金で現在のところあと4年間は十分開発可能であると確認しています。彼はVC(ベンチャーキャピタル)からの資金調達を望んでおらず、Liskとは独立していたいと考えています。「結局のところ、私たちは自分たちの思い通りに製品を作りたいと思っています。」とKordek氏は言います。ブロックチェーンプラットフォームは投資家に依存しているわけではありませんが、LSKトークンの上場は今でも大きな役割を果たしています。LSKトークンは、最高値を記録した後、大幅な下落に見舞われました。

ブロックチェーンプラットフォームは投資家に依存しているわけではありませんが、LSKトークンの上場は今でも大きな役割を果たしています。

「それは多くのストレスを生み出します」とKordek氏は説明しています。「我々はただクールな製品を作りたいだけで主にCoinmarketcapへの上場を考えていません。」Kordek氏は毎日相場を見ていますが、毎日の値動きにはあまり興味がありません。Liskは構築段階にあり、「プラットフォームを正式に立ち上げれば、価格も上がるだろう」と確信している。結局のところ、LSKは投資対象ではなくユーティリティトークンです。