このシリーズは2003年の1月以来、何回にもわたって私のホームページとブログの両方に書き散らしてきたものです。今回はこれを(これでもw)短めに編集して ALIS に公開し直すことにしました。
前からずっと思ってるんですが、新幹線の洋式トイレに入ると「腰掛け便器の使い方」というものすごくご丁寧な図解があるでしょう?
私の場合、最近東阪移動は大抵航空機を利用していて長らく新幹線には乗っていないのですが、まだありますよね、あの貼り紙?──人と便器のイラスト2種+「男子小用」&「大便及び女子小用」のキャプション。 あれって、いまだに必要なんですかね?
ポイントは、1)男子のおしっこは立ってするんですよ、2)座るときは和式と反対向きですよ、ということで、とても懇切丁寧な解説なんですが、洋式トイレを使ったことがなくて、新幹線に乗って初体験、なんて人がまだ日本にはいるんでしょうか?
いや、意外に結構おられるのかもしれませんね。
ついつい我々は自分の周りの生活が日本中の常識だと考えがちなんですが、旧い習慣のまま暮らしている日本人がまだいたってちっともおかしくありません。日本の長い歴史の中では洋式便器なんてほんの新参者に過ぎないわけですから。
そう思うとむやみに「こんな貼り紙いらんでしょ、いまさら」なんて乱暴なことは言わないほうが良いのかもしれません。
若い人はきっと驚くでしょうが、私が物心ついたころにはまだ洋式便器はなかったのです。最初は「おしりが便器にくっつくのが気持ち悪い」「病気がうつりそう」なんて言ってた人たくさんいたんですよ。
「しゃがまないと出るもんも出ない」と言って、便座の上に靴のまま乗ってしゃがんでる人までいました。
でも、よくよく聞いてみると、反対向きに、つまり便器の蓋のほうを向いて座っていた人もいて、「そりゃあ窮屈で出るものも出ないだろう」なんてこともありました。
私が一般家庭で初めて洋式トイレを使ったのは、(はっきり憶えています)高2の時、とある同級生の家ででした。私もさすがに洋式便器がどんなものか知識としては知っていたのですが、でも、実際に使うとなると緊張しました。だってクラス1の金満家の、ものすごく綺麗なトイレだったんです。
やたら毛足の長い高そうな絨毯が敷いてあったり、綺麗な毛糸のO型便座カバーが掛かっていたりして、「何があっても汚しちゃいけない」というプレッシャーを感じました(笑)。
あれからまだ半世紀も経っていません。最低でも100年くらいは「使い方」を書いておいてあげるのが親切と言うものかもしれません。
ただ、最近では「男子小用」も座って済ませる派が増えているようです。つまり、あの「貼り紙」における「常識」が崩れてきているんですね。
ならばいつまであの貼り紙は残しておくべきなのでしょうか。トイレで座ってじっくり考えてみようと思います。