『広島神楽 日本を舞う ―神楽旅―』という本があります。
この本は、世界的な芸術の都として名高いサンクトペテルブルクにおいて、日本文化の代表として公演がおこなわれたこともある、「スーパー神楽」と呼ばれる新しいかたちの広島神楽がうみだされた背景や、広島神楽の歴史、広島神楽の数々の演目のあらすじと解説などなど、広島神楽の約30年間の伝統と進化の歴史がつまった一冊です。
この本の著者である石井誠治さんは、「スーパー神楽」の生みの親でもあり、プロデューサーや、プランナー、プロモーターとして、また、研究者や解説者として、広島神楽の発展に大きく貢献してこられた方です。
また、石井さんは、「鬼シンポジウム in ふくちやま2019」のイベントでの、北広島町の旭神楽団さんによる広島神楽の公演を実現させた、立役者のひとりでもあります。
(「鬼シンポジウム in ふくちやま2019」というのは、2019年11月9日に、大江山鬼伝説の地・京都府福知山市大江町において、世界鬼学会設立25周年記念イベントとして開催された、「鬼」をテーマにしたイベントです。)
そのほかにも、石井さんと、石井さんが経営されている株式会社ゼロワンさんは、日本の鬼の交流博物館にて開催された、「芸北石見神楽の面と衣装展」の展覧会のための資料提供や企画展示にも尽力してくださっています。
(石井誠治さんが代表取締役をされている株式会社ゼロワンさんは、広島県山県郡北広島町において、広告業や町づくりなどをされている会社さんです。)
こうした活動にもあらわれているように、石井さんが、郷土芸能である神楽への情熱と信念と誇りをもって、広島神楽の発展と普及を牽引してこられた道のりは、まさに、この本のタイトルである、「神楽旅」と呼ぶにふさわしいものだとおもいます。
この本を読んでいると、そこかしこから、そうした石井さんの神楽にたいする熱い想いがつたわってきます。
話はすこし変わりますが、毎年、「鬼シンポジウム in ふくちやま」のイベントの終了後には、「鬼交流会」という懇親会が開かれるのが恒例になっています。
この「鬼交流会」という懇親会には、世界鬼学会の会長や副会長の先生方や、「鬼シンポジウム」での講演に登壇してくださった先生方や、世界鬼学会の会員の方々や、「鬼シンポジウム」のイベントの関係者の方々などが参加されます。
そして、2019年の「鬼シンポジウム in ふくちやま2019」の「鬼交流会」には、北広島町の旭神楽団さんによる広島神楽の公演の実現のために尽力してくださった、広島の方々も参加してくださっていました。
その「鬼交流会」の懇親会には、鬼学会の会員のひとりとして、ぼくも参加させていただいていました。そして、その「鬼交流会」の席で、たまたま、石井誠治さんとおなじテーブルになり、石井誠治さんとおなじテーブルになり、石井さんから広島神楽についてのお話を聞かせていただくことができました。そのときに、石井さんご本人から、この『広島神楽 日本を舞う ―神楽旅―』の本をいただきました。
この本には、石井さんとその仲間たちが、「スーパー神楽」と呼ばれるあたらしい神楽をつくりあげていった過程や、広島神楽の歴史、石井さんが広島神楽の演目にゆかりがある日本全国の土地を自分の足でめぐり、自分の目で見て取材された情報などなど、石井さんの神楽にたいする熱い想いがつまっています。
この本は、この下のURLのページから入手することができます。
広島神楽 日本を舞う-神楽旅-石井誠治 著
https://www.npo-kagura.jp/book/20180701-book.html
このURLのページには、この本にたいして寄せられた、寺本泰輔さん(元中国新聞論説委員・比治山大学名誉教授・NPO法人広島神楽芸術研究所副理事長)による序文の文章と、新谷尚紀さん(國學院大学教授・国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)による序文の文章が掲載されています。このお二人の序文の文章を読むだけでも、石井さんがどれだけ熱い想いをもって広島神楽の伝統と進化に尽力されてきたのか、ということが、ひしひしとつたわってきます。
ぼくは、「鬼シンポジウム in ふくちやま2019」のイベントにおいて上演された、北広島町の旭神楽団さんによる広島神楽の公演で、はじめて広島神楽を見ました。そして、その華やかさや、舞の動きのおもしろさ、太鼓囃子の躍動感などなど、その魅力に圧倒されました。
あなたも、もし興味があれば、この本をとおして、広島神楽の魅力にふれてみていただければとおもいます。
(参考)
「鬼シンポジウム in ふくちやま2019」のイベント紹介レポート(世界鬼学会設立25周年記念イベント)