10月のバランス調整の話が来ましたね。ZAPです。
前回からかなりの期間が空いてしましましたが、今回は実際のゲームがどういうレベレデザインの方法をとっているのかを書いていきたいと思います。
前回の記事で、
理想のゲームデザイン
・程よい障壁が設定され、クリアするたびに以前の障壁を上回る障壁が発生するようにすること。
・障壁をクリアするたびに何かしらの報酬が設定されていること。
・(対戦ゲーム)各プレイヤーの勝率を50%に近づけること。
・(対戦ゲーム)各プレイヤー力量が上であれば、勝利しやすいようにすること。
と書きましたので、この内容にどれくらい近づけているのかを確認して見るのもいいかも知れません。
・QIXの場合
まずはコンピューター相手の古代ゲームとしてQIXを例に挙げていきます。どうでもいいですけど、QIXって名前かっこいいですよね。製作者の車のナンバーらしいですよ。意味のないネーミングってその意味のないことそのものが価値を持ったりしますよね。
本題に戻ります。QIXはアクションゲームですね。縦横無尽に動き回るクイックスをよけながら自分の陣地を広げていき、一定パーセント(最初は75%)になるとクリアで次の面に進みます。逆にその前に敵に触れてしまうとミスとなり、残機が1減ります。残機0でゲームオーバー。これのレベルデザインは、
・1面の難易度を決める。1面はゲームが上手くない人が何回かやってクリアできるレベルに設定する。(実際にやってみてもらって設定する)
・2面は1面よりちょっと難しくする。
・3面は2面よりちょっと難しくする。
以下略。
簡単ですね。理論上はこれで全てのプレイヤーを満足させることができますし、設定が楽です。これは、どんなに面を進んでもやっていることが同じであるこのゲームではうってつけです。「ちょっと難しくする」の部分も「クイックスの速度を上げる」「雑魚敵の量を増やす」「クイックスの量を増やす」等パラメタ変更ですむ内容がほとんどです。開発費も記憶容量も抑えられて一挙両得ですね。
ではこの方法の良い点と悪い点を。
・良い点
1、設定が楽
2、記憶要領を食わない
3、面を大量に生成できる
・悪い点
1、プレイヤーがゲームに飽きやすい
2、誰でもエンディングが見れるわけではない。
またはエンディングが存在しない。
悪い点は昔のゲームなんで仕方がない。この方法って「最終的にあなたにぴったりの難易度を提供しますよ」というだけで、最終的にその人にとっての限界まで行ってもらうというスタイルですからね。
あとこの方法は、意外にもウィムジカルウォーで取り入れられています。そう、COM戦の~杯がまさにこれです。昔ハードモードってありましたよね?あれ勝てましたか?僕は勝てませんでした。ただキャラクターのレベルが違うだけであんなに別ゲーになるんですね。だから古代の方法だからといって馬鹿に出来ません。
・マジックザギャザリングの場合
マジックザギャザリングの25周年のイベントに行ってきました。大変盛況で、記事にしたいんですがどのジャンルにも属してないので、ALISでは乗せられません。残念です。他のブログサービスに乗せようと思います。
はい、本題です。マジックザギャザリングは1体1の対戦型ターン式のカードゲームです。お互いがカードを選んでデッキを組みそれを持ち寄って対戦します。
これのレベルデザインは、
・各カードに「色」をつけ、「やりやすいこと」「やりにくいこと」を決める。プレイヤーは沢山の「色」を使うと不利になるように出来ている。よって出来ることを絞る必要がある。(カラーパイ)
・デッキの大きさをある程度以上の大きさにさせる、またデッキに入れられるカードの最大枚数を制限し、ランダム性を向上させる。(デッキ制限)
・強すぎると判断されたカードを使用禁止にする(禁止カード)
大体この3本柱です。カラーパイの考え方は要は「強いカード全部乗せ」が出来なくなるということです。次のデッキ制限はいろんなカードを使わせることによってデッキの種類が増えるようになっています。で、これにより
という考え方がうまれるのです。
メタゲームによって、強すぎるデッキは対策され、ユーザーの手によって勝手にバランスが保たれていくのです。なんというすばらしいシステム。そして特定デッキの強さがメタゲームの調整範囲を超えたときに発動するのが禁止カードの設定です。これにより強すぎるデッキを強制的に退場させ、環境を健全に保ちます。
ではこの方法の良い点と悪い点を。
・良い点
1、ある程度の調整はユーザーがやってくれる。
2、ランダム要素があるので、初心者でも勝てる可能性がある。
3、ある程度、いろいろなカードに活動の機会を与えることができる
・悪い点
1、ユーザーの調整(メタゲーム)は最終的に「回答」を導いてしまう
2、禁止カードが発動された場合、ユーザーの反発が半端無い
3、ランダム性によって理不尽に負ける場合がある(いわゆる事故)
悪い点の3はあきらめてもらうしかないです。そして、1と2は連動しています。同じ環境でメタゲームが進んでいく(Aというデッキがつよい→Aに対策したBが強い→Bを対策したCが強い)みたいに遷移していけば一見ずっとループしていくように見えますが、まれに「どうやっても対策できないデッキ」が出来る場合があります。そのデッキの対策をした場合、他のデッキ全部に負けちゃうみたいな。その場合、仕方なく3の禁止カードが発動されます。これは強いデッキの核となるカードを使用禁止にすることでデッキの弱体化を計るものです。これはそのカードを持っている人にとってはたまったものではありません。
カードは資産の一面を持っているので、運営の判断一つで自分のカードの価値が紙同然になってしまう可能性があるのです。
これは先ほどよりもウィムジカルウォーにダイレクトに反映されていますよね。
まずデッキは8種を1枚ずつ入れなければいけませんし、メタは一般用語かされています。また、禁止カードは「カードの能力の変更」という形で引き継がれています。弱すぎるカードを強くし、強すぎるカードを弱くする。これは同時にメタゲームの「回答」を回避する役割を持っています。定期的にかき回すことでプレイヤーにどのカードが「強くぎるのか」判断をさせないわけです。「バランスを理解させないためのバランス調整。」なんか面白いですね。あ、よく新カードやバランス調整内容が発表された時、「どういう環境になる」って予想が飛び交いますが、まあ当たったり当たらなかったりまちまちです。これは運営とユーザーの化かしあいの要素がありますからね。
今回はこの辺で。後はRTSのレベルデザインを書いてから、総括としてウィムジカルウォーのレベルデザインを書いていきます。