私は知りませんでした。
大人になってネットがインフラ化するまで。
いや、だって高校の時に世界史に先生に……
「はーい、注ー目ぅー!
重農主義はケネーっていう人が試験に出るから、おぼえておくように!」
みたいなことを黒板に書かれて言われた記憶しかないですから。
ちなみに重商主義の方は「重商主義と言えばイギリスねー、スペインの重金主義(初期重商主義)はダメになったからねー」ぐらいのノリで。
で、要するに「重農主義」と「重商主義」の違いは「国家が農業を重視するか、あるいは商業(貿易)を重視するか」であると。
そんな感じで習って終わりだったような気がするんですけど、もしかしたら私がおぼえていないだけなのでしょうか。
(その時は「先生、そしたら重工主義っていうものもあるんですか?」という質問は思いつきませんでしたので、その質問はしていません。
もしかしたら、ちゃんと質問すると答えてくれた可能性はあります)
というわけで、大人になってネットができた後に検索してみました。
「重工主義ってあるんかなぁ」って……出てきませんでしたけどね。
なら、重農主義と重商主義の違いって何なんだーと思ったわけです。
ちなみにこのことについては岩手県立大学様の資料『経済学のトビラをあけてみよう! 「講座6」』がおすすめです(PDFです)。
でね、結論から申し上げますと、ネットにある情報はどれもこれも皆、非常に勉強になる素晴らしいものですけれども、最も大事なことに触れているものが出てこないと私は感じたわけです(←探し方が悪いかもですが)。
先にそのことをお話しします。
それは……以下です。
◎相手が「自然」か、あるいは「人」か
えーっと、これがそうなんですか?!
実はそうなんですよまじですよまじ。
この部分を把握しているかいないかで、これからの時代の見方が変わってきます。
(ちなみにこの「自然か人か」ってのは、日本以外の学問の分類もこれですから。
なので、ものっすごい汎用性が高いですからおぼえておくといろいろ捗ります)
もちろんこのこと以外にも、把握しておかねばならないすごいこともあります。
それは後述するとして、話を戻します。
相手が「自然」なのが「農業(→農作物を多く生産する)」で、相手が「人」なのが「商業(→お金を多くためる)」です。
これには決定的な違いがあり、相手が自然だけだとできることが限られます。
何ができないって、まずは時間の短縮というものができません。
どんな植物でも「種まきをしてからその植物の生長を待って、実だか葉だか茎だかを収穫して……以下略……」というわけで。
もちろん今の時代なら「バイオテクノロジーの技術を活かして生育を早める」とか、あるいは「お金を借りて農業機械を買って作業をして、手作業なら五年かかる収穫量を一年で得る」とか、そういう形で時間短縮することはできます。
ただしこれ全部、人の手が入っていますよね。
バイオテクノロジーの技術者に、お金を貸してくれる人、農業機械を製造した人。
ケネーの時代のようにそういう「人」が全然存在せず、ほぼひたすら自然に向き合って農作業をするとなると、大幅な時間の短縮ができません。
自分自身という「人」が、できるだけ早く成長して収穫できそうな植物を選ぶとか、家畜を使うとか、できることが全然ないというわけではありませんけども。
そしてこのような時代でもあっても相手が「人」の場合、もしその時に十分なお金や金目の物を持っていたら「欲しい農作物を持っている人と交渉し、交換してもらう」ということができます。
この場合、あーら不思議、一瞬で欲しい農作物を手に入れることができます。
(「そんなに都合良く持っとるかぁー?!」というツッコミが聞こえてきそうですけど、例なのでそこら辺はそっとしておいてください。笑)
というわけで「人」の能力ってすごいと思いませんか?
実はこの例だけでなく、他にも「人」の能力がすごいことがありますが、長くなりますので、それは別の記事で。
ご興味のある方は、こちらもどうぞよろしくお願い致します。
というわけで、これが私の感じた「これからの時代のために大事なこと」です。
もう一つ、非常に重要なことがあります。
このことは調べるとあっさり検索されますので、この記事で物足りない方は是非やってみてくださいねー。
それは……
……この後の私の回答よりも、こちらの方が素晴らしいと思います。
が、気を取り直して続けます。
リンク先の記事では、重商主義について以下の記載があります。
重商主義は「豊か」というのは「お金持ち」の事と考える。
お金持ちになる事は安く仕入れたものを高く売ることだし、この世にある有限の富をできるだけ多く獲得しようという発想、つまり帝国主義と隣り合わせにある。
ここに一言補足しますと、要するにこれは「ストック」ということですね。
フロービジネスとストックビジネスが云々……ていう、あれですよあれ。
貿易で差額を出して儲けて、それを貯めてお金持ちー、って感じ?
また同じくリンク先の記事で、重農主義については以下。
一方、重農主義で「豊か」というのは「高給取り」の事になる。
重商主義がストック重視であったのに対して重農主義はフローを重視する。この点が画期的で、あとは富の源泉が「農作物」でなく「労働」という考えになれば資本主義になる。
というわけで、こちらは「フロー」の方になります。
昨今は「これからはフロービジネスよりストックビジネスだよねー」て言われがちなもので、フローはあんまり良いイメージを持たれていない方がいるかもですが、本来は両方とも大事なものです。
以下の記事がわかりやすかったのでおすすめー。
……実は「フローだけに、おフロの例」に最も魅かれております。笑。
そして上記の引用の中でも、最もキモなのが「重農主義はフローを重視する。この点が画期的で、あとは富の源泉が「農作物」でなく「労働」という考えになれば資本主義」というところです。
すなわち、先ほどのケネーという人が何故試験に出るのか、という話にも繋がるのですけれども、ケネーの「国家の管理を排除した自由放任(レッセ・フェール)」の思想は「経済学の父」と呼ばれるアダム・スミスに強い影響を与えました。
(個人的には「何故、ケネーが試験で問われるのか」ということも、教えて欲しかったものですが……しかしこれも質問しなかったしなぁー)
で、実際の世界の歴史は農業→商業の順ですけれども、重農主義と重商主義の話になりますと、重商主義→重農主義の順になります。
より詳細に言えば、流れ的には「重金主義→貿易差額主義→産業保護主義(後の保護貿易主義へ)→重農主義(後の自由貿易主義へ)」ですが、最終的に各国は保護貿易主義と自由貿易主義の間を揺れ動くことになります。
ここら辺の話にご興味ある方は、以下の記事がおすすめです。
以上です。