トマ・ピケティ先生の『21世紀の資本』は最初2013年にフランスで出版され、その後2014年に英訳版が出るや否や、あっという間に世界的なベストセラーになった、というものです。
主にウィキペディア様のお世話になり、ざっとまとめると以下です。
①200年以上の膨大な資産や所得のデータを積み上げて、分析
②長期的にみると、R(資本収益率)はG(経済成長率)よりも大きい
③格差を是正するため、世界的な資本に対する累進課税を導入すべき
ここからはもう少し詳細な話を少々。
①について。
この膨大なデータを収集かつ分析するのに、15年の歳月を費やしたそうです。
いや、すごいですねこれは。
私もがんばらなきゃなー。
②まず「R(資本収益率)」とは、文字通り「資本から得られる収益率」であり、この資本を平たく言いますと、財産です。
株や債券、あるいは所有している不動産などの財産から得られる不労収入を指します。
「G(経済成長率)」とは、経済全体が成長する度合いですが、この成長率は平均所得の伸び率とほぼほぼ等しいため、概ね労働収入の伸び率とみることができるとのことです。
つまり「R(資本収益率)」は働かないで財産から得られる収入で、「G(経済成長率)」は働いて得られる収入(と概ね同じもの)となります。
ここで①の「過去200年以上のデータを分析する」と、「R(資本収益率)」は年平均で5%程度であり、「G(経済成長率)」は1~2%の範囲内に収まっていることが明らかになりました。
となりますとこれは「R(=5%程度)>G(=1~2%)」となるわけですが。
このことは「働かないお金持ちがどんどん豊かになり、働く(しかない、お金を持っていない)人との差が激しくなっていく」ということを表しています。
もう少し細かいことを言いますと、まず「資産金額の上位10%とか1%とかといったところにいる人のほうがより裕福となり、格差は拡大しやすい」ということと、相続によって「その資産は子孫に相続され、労働者には分配されない」ことも、労働者との格差の一因である、ということも言えます。
③拡大する格差をどのように是正するのかという問いに対して、この「世界的な資本に対する累進課税を導入すべき」というのが、ピケティ先生のお答えです。
もう少し平たく言いますと「世界で(その国独自のものではなく)、お金持ちが持っている財産に対して、累進課税をかける」となります。
何故(一国ではなく)世界なのかと言いますと、これをやらない国にお金持ちが逃げることを防ぐためですね。
仰ることはわかりますが、率直に申し上げて無理……に近いぐらいに難しいと思います。
そうなりますと、なら日本だけでやるかー……というのは、先に述べた理由でやらない方が良いのではないかと。
つまり、それをやらない他国へと、お金持ちが逃げてしまう(=その分、税収が減る)のではないかと。
今の税制でも、たまーにおられるぐらいですから(例えばシンガポールに移住した中田敦彦氏とか)。
そもそもお金持ちでなくても、海外へ人材は流出しているみたいですし。
こんなん言うたら、富の再分配を主張する野党の先生方には怒られそうですけど、日本の格差対策では、欧米ほどの再分配の必要性はありません。
欧米ほどは、ですよ?
その理由は、先ほど述べた以下の話です。
相続によって「その資産は子孫に相続され、労働者には分配されない」ことも、労働者との格差の一因である、ということも言えます。
相続で労働者に分配されない、というところは、日本にはあまり当てはまりません。
何故なら、相続税が厳しいからです。
これに対してフランスでは、以下のようなことが起こっていました(ウィキペディアより引用)。
たとえば、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのベル・エポックの時代は、華やかな時代といわれているが、この時代は資産の9割が相続によるものだった。また、格差は非常に大きく、フランスでは上位1%が6割の資産を所有していた
ちと昔の話ですけども。
しかしまぁ、いずれにせよ、資産に課税するなら世界同時にやらないと意味がないのですから、現時点では事実上不可能に近いと言わざるを得ません。
そうなりますと、どうやって「R>G」を是正するのか?
それがいつもの「労働者の皆さんも積極的に投資をしましょうね」という結論に至る、というわけですね。
以下の図の右側をご参照ください。
またこの話にご興味ある方は、以下の記事もよろしくお願い致します(画像もこの記事のを使い回しました。笑)。
お話ししたかったことは以上ですが、余談でもう少々。
今回の記事を書いていて、わかりやすいなと思ったのが以下の記事です。
ためになった記事は他にもたくさんありましたが、とにかく平易な言葉遣いがうれしいですし、それでいて、クズネッツ・カーブなどちょっと掘り下げたことにも触れています……いや私は、経済学部とかじゃないから本当にありがたい……。