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故・梅棹氏「コンニャク情報」反論の補足

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  • 2022/10/04 11:23

前回『梅棹忠夫について、調べてみた』の記事で「コンニャク情報」について、畏れ多くもうっかり反論してしまいましたが、その補足をしておこうと思います。

まずは元の梅棹氏の主張から。

アキューム様の「梅棹忠夫『情報の文明学』(中公叢書)を読んで」より引用。

コンニャク情報

情報は一般に,意味ある(金になる)情報と,無意味な(無益な)情報に分けられ,前者のみが取り上げられる。これに対し,梅棹氏は,いわゆる無意味情報の社会的意味を考える。ちょうど,コンニャクという,いわゆる栄養分はない食品があって,食品として無意味ではないのと同様,一見無意味な情報も,別の視点からみれば意味があるのではないか。消化器系が,栄養のあるなしにかかわらず,まさに消化すべきものとしてコンニャクを求めるように,大脳は,自己が「消化」すべき情報を求める。その時,有意味・無意味という,結局のところ狭い,価値評価の枠組みにすぎぬものなどは,現実にはじきとばされているのではないか。こうして,氏はいわゆる無意味情報を,コンニャク情報と名づけて,積極的にその意味を探ろうとする。

これに対して、私の反論が以下でした。

というか前回も触れましたが、これは梅棹氏の予想に対して2022年に実際にどうなったかという話であり、反論というのはちとオオゲサなような気もします。

世間的には無意味な情報でも、その人にとっては重要な情報ってものがあります。

それとあと、無意味=無益でお金にならないと思われていた情報が、テクノロジーの進歩やその人の使い方によって、お金に換えることもできるようになっています。

つまり、今は「無意味、無益であると一概には言えない(分散化)」時代です。

以上です。

(で、ここで具体的な例を書いておこうと思ったのですが、以前にも何回も書いたことのある内容なので、またこの話かーと思う方もおられるかと。

その方には先に、申し上げておきます。

お読み頂きまして、ありがとうございます!!!)

では、本題。

先ほどの引用文冒頭より「情報は一般に、意味ある(金になる)情報のみが取り上げられる」とありますので、お金に換えられない情報は無意味(無益)となります。

ここで「ラーメンの食べ歩きが趣味」という人がいたとしましょう。

Content image
Frame illust 様より頂いた画像です

1963年頃にこの人が「この趣味を活かしてお金を稼ぎたい」と思った場合、以下の方法がありました。

 その一、ラーメン屋さんになる

 その二、グルメライターやグルメレポーターになる

以上です。

一番目は王道中の王道でかつ供給側の王道であり、最も一般的な方法です。

この方法は「この人がラーメンを作る能力」がない場合は論外となるわけで、これが「ラーメンという商品を生産する(≒商品を供給する)」ところです。

しかしそれだけでやっていけるというわけではなく、お店を経営する能力や商品を開発する能力なども必要です。

というわけで、1963年頃は「ラーメンを作るのは非常に上手だけど、お店の経営や商品の開発などが全然できないわからない」という人も、この方法でお金を稼ぐことはできませんでした。

2022年現在では、お店の経営や商品の開発などについてはインターネット(以下ネット)を使って自分で勉強することもできます。

また、お店を構えること自体安くすることもできますし、何だったら「冷凍またはチルドのラーメンを作るセット」などをネット通販で販売し、実店舗を持たないという方法を選択することもできます。

二番目は一般的な方法とは言えず、この方法を選択できる人は非常に少数です。

既にライターまたは芸能人で活躍し実績がある人か、またはその業界に何らかのコネやツテがある人に限られるからです。

つまり、この状態に該当しない大多数の人にとっては「何とかというラーメン店の何ラーメンが美味しい」という情報は、お金に換えられない無益な情報となります。

この二番目の方法は「ラーメンという商品を評価する」という能力をお金に換えますので、謂わば「客側の能力を使ってお金に換える」方法とも言えます。

というわけで、この「客側の能力を使ってお金に換える」方法はと言いますと、2022年現在ではそれまでの実績や特別なコネなどがなくとも、Youtubeやブログで発信するという手段が存在します。

ネット上で、ラーメン店の批評のコンテンツを作成し掲載するということが、誰でもできるようになっているわけです。

(誰でもできるが故に競争が激化していますから、それなりの収益を上げるのはかなり大変ですけれども、手段としては既にあるわけです)

というわけで、結論と致しましてはですね。

1963年頃、大多数の人には無意味で無益な情報だった「何とかというラーメン店の何ラーメンが美味しい」という情報が、2022年現在ではかなりの人にとって有益な情報となってきたというお話でした。

が、それだけではなく、全体的に(上記、一番と二番の両方とも)「お金を稼ぐ手段が増えて参入障壁が下がったことで、供給過剰に陥りがち」という負の問題も出てきましたので。

良かったのか悪かったのか。

で、一番得をしているのは誰なのかといいますと、やはりお客さん(需要側)なんですよね。

これは「より安い価格でより自分の好みに合った美味しいラーメンが食べられるようになった」という状態だからです。

……お金があれば。

(だからベーシックインカムにして、そのお金で客側の能力を高くしないとー)

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