かつてインターネットというものが存在しない、いわゆる大量生産大量消費時代までは、情報を得ることが今よりも遥かに難しい時代でもありました。
故に「如何にして情報を得るのか?」が最も大事なことであったわけです。
(そこで童謡でも「友だち百人できるかな?」みたいな歌詞があったわけです。
ネットがない時代、できるだけたくさんの情報を得るために人脈は貴重です)
そこから情報がたくさんあって取り放題の今の時代になったら、得ることは難しくないけど、どれを選んだら良いのかわからない、という状態になりました。
そして場合によっては、その情報を自分にとって使いやすい形にするなどの作業が必要なこともあり、その後に「どういう時と場合に、どうやって使うのか?」という話になります。
つまり「如何にして情報を得るか?」のみならず「如何にして自らにとって有益な情報を選ぶか?」「如何にして効果的に使うか?」ということも、大事になってきました。
というわけで昔も今も、情報の使い方として共通するのは以下です。
1,情報を得る
2,情報を保持する
3,適切な時や場合に、適切に使う
昔であれば情報を得るのが難しいので、1番が最も重要とされていました。
(そもそも、情報を得られないと話が始まりませんからね)
今はどうなったのかと言いますと、以下です。
1,自らに必要な情報を取捨選択し、得る
2,情報を自ら使いやすい形にし、保持する
3,適切な時や場合に、適切に使う
実は今も昔も、最も難しいのは3番ではないかと個人的には思います。
ただし、1番の情報そのものを持っていないと話になりませんので、それはそれで大事だなぁーとは思うのですけれども。
いずれにせよ3番まで全部できるかどうか、どうやって3番まで問題なくできるようにするのか、それができれば幸せな人生を歩むことができるでしょう。
さて、高価な腕時計や自動車などの地位材を「要らない(のに買う人は愚かだ)」と言う人はたくさんおられます。
中にはそういう地位材と呼ばれるものを持っている人を、リアルであからさまに嘲笑する人もいるわけですけれども。
私はその人の気持ちがわかりません(ネットは匿名だから気が大きくなりがちですから、その気持ちはちょっとだけわかります)。
その人に「どういう理由で嘲笑することができるのか」と、聞いてみたいです。
「地位材を買って持つのはお金のムダだと、○が言っている」
この「○」のところに「皆」が入るのか、あるいは「著名人の方のお名前」が入るのかはわかりませんが、そのような理由を挙げる人もいると思います。
著名人の例で真っ先に思い出したのは、勝間和代氏です(あるいは堀江氏とか)。
とにかく、あのお二方のような極めて頭の良い賢い方は、確かに地位材は要らないでしょうね。
何故なら彼らは上記の三つを、全部頭の中で完結させることができますので。
必要な情報を取捨選択し、加工しそれを保持し続けることができ、ここぞという最も効果的な時に最も効果的な使い方で使う、これ全部を頭の中でやってしまえるわけですよ。
そうでない、例えば私のようにそんなことは到底できない、ちょっと足りない頭の持ち主はどうするか?
得た情報を保持し、適切に使うために、地位材を持つのも選択肢の一つとします。
たとえばもし私が経営者であったなら、エルメスの財布を持つなどするでしょう。
……ということを電子書籍『嗜好は情報化する』に書いていました。
該当部分を抜粋します。
高級ブランドとして有名なエルメスという会社は、元々は馬具を作っていた会社です。今は鞄で有名ですが、その原点は馬の鞍を収める鞄の「オータクロア」で、後に同社を代表する「バーキン」の原型になったとも言われています。
かつてはお金持ちの交通手段と言えば馬車が当たり前でした。しかし自動車が普及し、それによって馬具の需要も減ると見た三代目のエミール=モーリス・エルメスは、馬具以外の鞄や財布などの革製品からその他服飾小物や香水などにも進出、事業を拡大していきました。そして現在に至ります。
エルメスの鞄や財布を持つ人の中には、この歴史を知った上であえてエルメスを選んでいる人もいるでしょう。特に経営者や管理者の立場であるならば、先ほどのエミール=モーリス・エルメスの逸話を胸に「転換期を鋭く察知し、素早く対応できるように」という理由で愛用しているかもしれません。
つまり「ここぞという時に、その情報を使うことができなければ、その情報は無意味で無価値になる」という話です。
お昼ご飯を食べた時にエルメスの財布を見て、時代の流れに気付いて適切な対応を取ることができたために、そうでなかった場合の多額の損失を避けられたとしたら、どうでしょう?
財布をエルメスにすることぐらいの出費など、安いものだと思いませんか。