※目次※
電子書籍『嗜好は情報化する』の「第九章、「木こりのジレンマ」に学ぼう」です。
実は最も書いていて楽しかったのはこの章でした(でも、最も皆様のためにはならない、なりにくい章ではないかと思います)。
よろしくお願い致します。
この章は全体的なまとめのような話で、特筆すべき話題はありません。読みやすくするために物語にしてみただけですので、ご興味のない方は飛ばして頂いても問題ありません(飛ばした場合はここで終了です。お読み頂きましてありがとうございました)。
それでは、始めたいと思います。よろしくお願い致します。
昔々、あるところに木こりの男がいました。名前はジレンマです(って、名前かい!)。ジレンマはほとんど毎日、木を切るために森に行っていました。
ある日ある時、ジレンマは急ぎで大量の仕事をもらいました。大きな仕事をもらって喜んでいたジレンマでしたが、そういう時に限ってなかなか木を切り倒すことができません。
あれ、おかしいな……とジレンマは思いましたが、納期はすぐそこです。余計なことを考えている時間はありません。ジレンマはさらに気合いを入れ力を込め、必死で斧を振るいまくりました。しかし思うようにはいきません。
その時背後から、誰かに見られているような視線を感じました。ジレンマは振り返って言いました。
「俺の背後に立つな!」
「いや、座ってますやん」
確かにその男は座っていました。ジレンマはいらっとして言いました。
「誰だ、お前は!」
へらへら笑いながら、その男は答えました。
「見ての通り、ただの旅人です。いやぁ、精が出ますねぇー」
「俺は忙しいんだ。急いでこの木を切り倒さにゃならんのだ」
そう答えたジレンマは、また作業に戻ろうと前を向きました。
「そうですか。ならば、やった方が良いことがありますよ。斧の切れ味が悪くなっていませんか。一度木を切るのをやめて、刃を研いでからにしたらどうですか?」
勢いよく振り向いたジレンマは、その旅人に怒鳴りつけました。
「何を言うか! そんなヒマなぞないわー!」
しかしそこには誰もいません。先ほどは確かに旅人がいたのですが。
「あ、あれ?」
旅人がいるはずなのに。思わずジレンマの手が止まります。しかしそのことで、ジレンマは冷静になることができました。
「そ、そうだな。このままボロボロの刃の斧を使い続けたら、ますます切れ味が落ちてますます切れなくなって、そして俺様がますますキレまくって、そのうち血管もキレるわなぁ。まじで」
「というわけで、切れ味マシマシにするために、刃を研ぐとするか」
ジレンマは刃を研ぎ始めました。その間にいろいろ考えました。
「考えたら、最近は外国産の木材がぎょーさん入って来て、一本当たりの単価がどんどん落ちているしなぁ。何も木こりという仕事にこだわらんでもええような気もするなぁ。とはいえ他の仕事は何もやったことないしなぁ」
「こうなったら『木こりの森』とか言う名前のチョコレート菓子でも出すかなぁ。キャッチコピーは“あまりにも美味し過ぎて、なんとお子さんの歯もボロボロに!”……って、売れるかいなそんなもん」
「どこぞの池にこの斧を放り込んだら金の斧に換えてくれへんかなぁー。金の斧やったら刃こぼれしとってもええわ。というよりもいっそお金くれへんかなぁー。その方が話早いやろ。って、それは単なる売買やないか」
ということを考えながら刃を研いでいたジレンマは、恐ろしいことに気付きました。
「うわぁあああーーーっ!」
なんと、ジレンマは砥石の方を研いでいました。斧はさらにボロボロです。
「俺は何ということをしてしまったのか。自分が……恐ろしい……」
しばらく頭を抱えて落ち込んだジレンマでしたが、ふとある考えを思い付き、ものすごい勢いで山を下りて自宅に帰りました。
それからしばらく後、ジレンマは次のような商品を売り出しました。
『素晴らしい切れ味をあなたへ! ジレンマの砥石』
箱を開けるとものっすごい尖った砥石が入っています。思わず「砥石が(素晴らしい切れ味)かーい!」とツッコミながら笑ってしまう人多数。つまりジレンマはこの砥石をジョークグッズとして売り出したのでした。
ちなみにこの砥石の裏側には「気を付けな! 俺は危ないヤツなんだぜ!」と書かれています。いや、砥石よりもジレンマ本人が危ないヤツですけど。こんな人に大事な仕事は任せられないですからね。
この砥石はそこそこ売れて、副業程度の収入にはなりました。しかしもっと売りたいジレンマは、この話を「木こりのジレンマ」としてことわざにすることを考えつきました。こうして「木こりのジレンマ」ということわざができ……たわけではもちろんありません。
さて、ここで私がお伝え致したかったことは、何なのでしょうか?
一度ここで読むのをお休みして、考えてみてください。
答えは、目次の下の欄です。
ちなみにですが、私の書いた答えが正解というわけでもありません。
まずは「皆さんの考えた答えが、皆さんにとって最良のものであることが、望ましい」と私は考えております。
そして皆さん一人一人のみならず、汎用的に見ても私の答えを遥かに上回ることもあると思います。
その場合は是非、そのお答えを私にご教授頂けましたら幸いですm(_ _)m
ちなみに、世の中には「書いた本人もそれを読んだほとんどの人も気付かない、大儲けできるすごい情報」が潜んでいる、ということもあります。
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