「学校の勉強なんて役に立たない、何の役に立つの?」
と、子供さんに言われたことはありますか?
私はありません(子供いないんで)。
でも、その質問をされてちょっと困った弟から、この質問をされました。
弟は、以下のように答えたそうです。
「学校の勉強は約束手形みたいなもんで、世間ではまだまだ必要とされているし、親であるお父さんも必要だと思っとるから。
だから学校にかかる費用(大学など)はお父さんがお金を出してやる。
が、それ以外の道に進む場合は当然ながら、お父さんを説得せにゃならんね。
その説得をする時にも、学校で習ったことを駆使してやらにゃならんからね」
今回のは、その時私が返した返事のうちの一つです。
(残り二つは次回にまとめて書こうと思っています)
私は高校で理系か文系を選択する際、文系に進むことにしました。
が、当時は国立大学を受験する際の一次試験(大学入試センター試験)に数学があったため、文系でも国立大学を受験する場合は数学を勉強しなければなりませんでした(もちろん理系ほどは要らないですけど)。
で、ここが微妙なところですが、文系でも経済学部とか経営学部を志望している生徒は、二次試験の科目に数学があるところが多かったのです。
さらに言えば、この学部に進学する場合は数学ができないと授業についていけないらしいので、それもあって数学をそこそこがんばらなければならないわけです。
ところが私は早い段階から文学部志望だったので、明らかに数学はそんなに要らないということがわかっていました。
そんな時に基礎解析だか代数幾何だかで虚数(=i)というものが出てきました。
2乗しても負の数字になる場合に使用するもので、現実にはない理論上で必要なものですけど、それを習った時に私は思いました。
「高校の数学とは、理系に進まない私には受験以外の何の関係もない。
それどころか一次試験は基礎解析すら要らないし、虚数なんて一生要らない。
役に立たないし時間のムダ以外何ものでもない、私の貴重な時間を返して欲しい」
そんなわけでやる気をなくした数学の成績は、それはもう酷いの一言でした。
この後どうなったかと言いますと、一応地元の国立大学にも受かりはしましたが、結局は私立のとある大学に進学し、挙げ句の果てに途中で退学して就職せずアルバイトで生計を立てるようになって……中略……で、現在に至ります。
本当に何の関係もない上に何の役にも立たなかったし、もしかして数学自体時間のムダだったのではとずっと思っていました。
そして以下のように思いました。
「あの数学の授業自体が私にとっては虚数やったかも。
虚無な数学、略して虚数……って先生に申し訳なさすぎるやろ」
ところが、ある日そこでふと思ったのです。
「インターネットによる仮想空間て……虚数?」
私が高校の時にはインターネットはまだ存在していません。
その時から月日が経って世の中が進歩して、見ず知らずの人が集う掲示板やSNSのような場所ができました。
物理的な場所で言えば、このサービスをやっている会社がサーバーやシステムを設置している住所がそれに当たるでしょう。
例えば「東京都何とか区何とか何丁目……」という住所がありますが、それが実数に当たりますよね。
ですがネット上の掲示板やSNSは、現実にあるお店などの特定の場所に直接皆が集まっているという状態ではありません。
そのサーバー上にそこの会社が運営してる掲示板やSNSが全部含まれる、という状態になります。
これがいつかメタバースやマルチバースに発展する日が来たら、バーチャル上に土地や住所が存在することになり、それが(実際の住所である実数に対して)虚数である、という状態になるかと思います。
で、さらに言えば「これをお金の話で言えば暗号資産となるわけだし、いずれはそのメタバースやマルチバース上で暗号資産を稼ぐことも生活の一部として入ってくるし」という話でもあります。
実際の話、ゲームで稼ぐ「Play-to-Earn」という手段は既にありますので。
『NFTゲームが生活を支える──コロナで傷むフィリピン経済の背骨』
自分には何も関係がないとあの時の私は思いましたが、時間が経てばそうでなくなることもあるのだなと。
虚数や数学を勉強しておいて良かったと、心の底から思いました。
(もしも虚数を知らなかったら、仮想通貨や暗号資産に対して非常に大きな抵抗があり、ちゃんと学ばねばならないものだという理解ができなかったり、大幅に遅くなったりしていたと思います)