うっとうしい梅雨ですが、いかがお過ごしでしょうか。
そんな中、梅雨が美しいあじさいの名所へお出かけです。
京都にはこれまた紫陽花の名所がいっぱいあるのですが、今回は岩船寺(がんせんじ)を訪ねます。
でも、岩船寺って、どこ??
岩船寺(がんせんじ)はあまり知られていない、京都のあじさいの穴場なのです。
下の地図を見てください。
京都と言っても、京都駅からずいぶん離れた山の中です。
ここは京都府と奈良県の県境、京都府木津川市の山中。
このあたりは当尾の里(とうののさと)と呼ばれています。
こんな山の中にあるからこそ穴場なのですよ。
しかし、山の中にあるとはいえ、由緒ある素敵なお寺です。
そして、この岩船寺のすぐ近くにある浄瑠璃寺(じょうるりじ)はもっと有名で国宝を多く有するお寺ですが、ここも山の中なので穴場的なお寺です。
今回は岩船寺と、浄瑠璃寺も一緒に訪ねます。
ということで、岩船寺の山門へ到着!
山寺らしく、木々に覆われていますね。
岩船寺への交通手段ですが、山の中で交通は不便ですが観光地でもあるので、そこそこバスの便はあります。
最寄り駅はJR関西本線の加茂駅となります。
加茂駅へは大阪駅などJR環状線各駅から大和路線快速などが出ています。大阪駅から1時間強。
加茂駅からは木津川市コミュニティバスで岩船寺まで。
あるいは、初夏と紅葉シーズンの土日祝限定でJR・近鉄奈良駅からバスが出ています。お茶の京都 木津川古都巡礼バスという風流な名前がついています。
今回僕はマイカーで行きました。
やっぱりこのような交通不便な場所はマイカーが便利です。
お寺の前に民間の駐車場がいくつかあるので、待たずに止められました。
まずは本堂に上がらせていただき、手を合わせます。早速あじさいが咲いています。
本堂の中央には平安時代に作られた御本尊の阿弥陀如来坐像が安置されています。
この仏像は3メートル近くあるでっかい阿弥陀様で、見応えがあります。
国の重要文化財に指定されています。
では、本堂を出てお庭を巡りましょう。
緑の中に朱色の三重塔がそびえ立ち、その前にはたくさんのあじさいが!
とても映える光景ですね。
このアングルが岩船寺あじさいの定番撮影ポイントかと思います。
あじさいの花手水も鮮やかで涼しげ。
実際、ここは山で木々に囲まれた日陰なので、下界よりやや涼しいです。
立派な三重塔ですね! 木々に囲まれこつ然とあるので、とても存在感があります。国の重要文化財です。
この三重塔の脇からさらに登ってゆく道がありました。
あじさいを見に来た人はほとんどこの先には行きませんが、行ってみましょう!
数分登ると、こんなでっかい岩が。先ほどとは違って、なんだか日差しが届いていますね。
この岩は、貝吹岩(かいふきいわ)と呼ばれているそうです。
そして振り向くと…。
視界が広がっていますねー。
京都と奈良の境である当尾(とうの)の里が一望できます。
むかしはこの一帯に僧坊(お坊さんの宿泊施設)がたくさんあって、なにか用事があると先の岩の上に立ってほら貝を吹いて、一帯の僧侶を集めたそうな。
だから貝吹岩。
いい眺めでした。再度お寺に戻りましょう。
やっぱり三重塔の朱色とあじさいの青や紫の対比は初夏らしく素敵です。
右が本堂、左のあじさいの奥にちらっと見えるのが三重塔。
岩船寺は大きくはありませんが素敵なお寺でした。
あじさいの花手水とバックの三重塔を見つつ、雨後の新鮮な空気を吸って胸の中がきれいになったようです。
そろそろ岩船寺をあとにしましょう。
さて、岩船寺の近くには浄瑠璃寺(じょうるりじ)という、これまた素敵なお寺があります。
バスや車で7~8分なので、行ってみましょう。
バス停・駐車場からお土産物屋さんなどの横を通り抜け、ちょっと歩いて浄瑠璃寺へ。
浄瑠璃寺山門。
ここも緑が素敵ですね。
浄瑠璃寺はこの地図のように池を囲むようにお堂などが並んでいます。
この浄瑠璃寺庭園は、お庭や景色の国宝と言われる国の特別名勝に指定されています。
特別名勝は全国あわせても36件しか無いそうで、その中には日本三景などが含まれますので、ここも日本を代表する風景です。すごい…。
池の向こうに本堂が見えます。
とても端正な美しい建物、と思ったら、この本堂は国宝です。
本堂には上がって拝観することができますので、入ってみます。
本堂の脇にはあじさいが咲いていて、これまたきれい。
本堂の中には、たくさんの仏像が安置されていました。撮影禁止なのが残念。
驚くのはその仏像、どれもこれも国宝なんです…。
九体阿弥陀仏という、その名の通り9体の仏像が横一列にずらっと安置されています(一部は修復のためおられず)。これらぜんぶ国宝。
その脇にそっと置かれている仏像ですら、案内を読むと重要文化財。
こんな山の中なのに国宝だらけ、そして庭園の国宝たる特別名勝もあるなんて、すごいお寺や…。
これが特別名勝の浄瑠璃寺庭園。
これまた国宝の三重塔が緑に包まれ、池に塔が反射し端正できれいな光景です。
もっとも、この写真だけでは感動するほどではないように見えます。一枚の写真では美しさが撮りきれないのが残念です。
この庭園は池の周りを一周することができ、場所場所で景色が異なってどれも美しいのです。
また、季節によっても表情を大きく変えることも美しさの一つと言われています。
例えば、下の写真の紅葉の時期。
緑、黄、赤の紅葉と、それが池に反射する色、青空、そして三重塔が一体となって素晴らしい光景を作ります。
浄瑠璃寺も先の岩船寺と同じく山の中にあります。
薄暗くて怖い山道を延々と歩いてここにたどり着いたら、一気に空が広がって鮮やかで美しい庭園が目に入ってくるのです。
この庭園を目にした昔の人は、これは極楽浄土だと感動したことでしょう。
その感動や歴史的に貴重な文化財であることを考えると、ここが特別名勝であることが納得できます。
なお、この写真は昨年(2022年)秋に訪ねた時のものです。
紅葉のピークでしたが、京都市内の紅葉の名所のように大混雑になることもなく、ゆっくりと拝観できました。
まだコロナ禍で人出が少なかったこともあるでしょうけど、浄瑠璃寺が穴場的な名所であることもわかります。
さて、浄瑠璃寺には猫がたくさんいて、癒やされます。
この日は暑かったので、日陰でのびるにゃー。
あじさいも咲いて三重塔と合わせた写真も素敵なのですが、木々に囲まれ暗い岩船寺と違って日差しが届くため、あじさいもちょっとしんどそう。
さて、だいぶ暑いのでそろそろ帰りましょう。
岩船寺はあじさいが名物、浄瑠璃寺は紅葉が名物なので、梅雨と晩秋が特に素敵かと思います。
京都や大阪から遠く山の中で不便な場所ですが、山の中とは思えないくらい文化財がてんこ盛りで、しかも緑をいっぱい感じることもできました。
当尾の里、素敵なところですね。
Camera: LUMIX G8
Lenses: LEICA 12-60mm F2.8-4, LUMIX 45-150mm F4-5.6, OLYMPUS 9-18mm F4-5.6
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