日本一大きい湖、滋賀県・琵琶湖。
その琵琶湖には島がいくつか浮かんでいます。
その中で、唯一の有人島が沖島(おきしま)。
淡水湖に浮かぶ有人の島では日本唯一、世界でも珍しいとのこと。
沖島はいろいろ特徴がある島とのことで、僕は以前からこの島を訪ねてみたいと思っていたのですが、人口約250人の小さな島で特に観光名所ではないため地元の人の邪魔になると思って行くことができませんでした。
もちろん船でないと行けない不便な場所でもあるし。
しかし!
今回、BIWAKOビエンナーレが沖島で開催されました。
これは芸術イベントで、沖島のあちこちに芸術作品が展示されるとのこと。
この時期は訪問歓迎でしょうし、バスの臨時便が出て交通の便が良くなるので、この機会を逃さないようにと沖島を訪ねてきました!
沖島(おきしま)は滋賀県・琵琶湖に浮かぶ島です。
面積1.5平方㎞、人口約250人の小さな島。
主な産業は漁業とのこと。
この島に行くには、まずはJR琵琶湖線(東海道線)の近江八幡駅(おうみはちまんえき)からバスに乗って30分ちょっとで堀切港へ。
この堀切港から船に乗って沖島港まで行きます。
近江八幡駅から堀切港までのバスは普段はわずかな本数しかないのですが、BIWAKOビエンナーレ開催中の土日祝は1時間に一本くらいあるので便利です。
JR琵琶湖線・近江八幡駅からバスに乗って堀切港に着きました。
これが沖島へ渡る船なのですね。
片道500円。
天気があまり良くなくて、ちょっと寒いです。
では、乗り込みましょう!
船内。結構人が乗っています。
BIWAKOビエンナーレを見に行く人が多いようです。
10分近くで沖島の家々が見えてきました。
朝で霧がかかっていて、ちょっと天気が良くない感じ。
10分ほどで早くも沖島港に到着。
漁港です。
さあ、ここから徒歩で沖島を巡りましょう。
船が着いた沖島漁港から歩いて散策。
集落は歩けるくらいの大きさなのです。
沖島はこのように湖沿いに家が並んでいる漁村です。
一家に一隻、船を持っているそうです。
逆に、島には自動車がまったく走っていません。
なぜなら…。
これが沖島のメインストリート。
どう見ても路地ですが、この道と湖岸沿いの道の二本が沖島の主な道路なのです。
これでは自動車は通れないですよね。
自動車が走っていないので、音も見た目もとても静かです。
自動車の代わりに沖島のメインな交通手段はこれ! 三輪自転車です。
たしかに狭い道ではとても便利そう。
サドルに缶を被せてあるのも沖島の名物。雨よけ日よけとして最適ですなー。
メインストリートを歩いていると、霧が晴れてスカッとした青空になってきました。
展望台が見えてきましたので登ってみましょう。
素晴らしい景色!
琵琶湖、そして対岸の近江八幡の山々が素晴らしいです。
展望台にはこのようなパネルが。各パネルには、
「あなたが最も大切にしたい世界のルールは何ですか?」
「ウクライナ戦争を終わらせるにはどうしたらよいと思いますか?」
などの質問が書かれています。
横にクレパスが置いてあって、質問の答えを自由に書くことができます。
これはBIWAKOビエンナーレの作品なんです(作:石川雷太氏)。
美しい琵琶湖の景色を眺めながら、いろんなことを考えさせる趣旨なのかもしれません。
沖島は猫の島としても有名です。
でも、この日はあんまり猫は見かけなかったにゃー。
さらにメインストリートを歩いて小学校に行きましょう。
湖岸の道もこのように細いため、三輪自転車がちょうどいい交通手段なのでしょう。
しばし歩いて沖島小学校に到着。
山と芝生の校庭に挟まれたレトロ風な校舎。前はもちろん琵琶湖で景色は抜群。
とても趣がありますね。
小学校のドアには小学生が書いた「ようこそ沖島へ」張り紙が。
”こんな中きてくださり、ありがとうございます!
人口はまあまま少ない島ですが大変にぎやかです。”
その心遣い、素敵です。
ちなみに生徒数は11人(2021年度)らしいです。
小学校の校庭にも先に載せた展望台と同様の赤いパネルがありました。
BIWAKOビエンナーレは上の地図のようにポイントごとに作品があって、そのポイントを巡ることによって沖島を見て回れるようになっていました。
ということは、島全体の景色そのものが作品なのですね。
校庭には花や野菜が積まれた三輪自転車が。おばあさんが乗ってきていました。
確かに荷物もたくさん載って便利です。
小学校からメインストリートを戻りましょう。
源弥亭と名付けられた民家が作品の展示会場になっていました。
入ってみましょう。
ちなみに、BIWAKOビエンナーレ沖島会場の作品はすべて見学無料です。
民家らしい中には、なにやら毛玉がいっぱい。なんでしょう?
家に上がって、この毛玉に触って割ることができます。
毛玉を割ると、中には松ぼっくりが。
毛玉たちの中には沖島にあるいろんな物が入っています。
作品の作者(小西葵氏)が沖島の人に頼んで入れてもらったとのこと。
それぞれの毛玉によって入っているものが違うので、何が入っているのがワクワクする面白い作品です。
では次に、港とは反対の岸に行ってみましょう。
狭い路地、いやメインストリートを通ると、何か視界が開けてきます。
おおー、鮮やかな琵琶湖が。
そして桟橋の先には作品が。
島の反対側、西側にも家が並んでいますね。
そして湖の色がきれいで透明度も高いです。
桟橋の先にある作品はプランクトンとのこと(作:君平氏)。
その先に見える山影は、湖西の比良山地です。
では戻りましょう。
滋賀が発祥の飛び出し坊やですが、ここでは菜の花を持った飛び出し娘になっていますね。
狭い路地ですが、メインストリートなので飛び出しもあるのでしょう。えっ、自動車は走っていないって?
おつぎは、奥津嶋神社へ。
やっぱり狭いメインストリートを歩きます。
この写真の突き当りに見えるのは郵便局です。郵便局があるんだね。
では、鳥居をくぐって山を登りましょう!
山の中腹に、奥津嶋神社(おきつしまじんじゃ)。
ここは沖島の氏神様。
奥津嶋神社の御朱印もいただきました。
といっても、誰も居ないので置いてあるスタンプを自分で半紙に押すだけ。そして賽銭箱に100円入れました。
ここからさらに上に登れるので行ってみます。
奥津嶋神社から登ると、山神神社が。
山神神社から沖島の町が一望できます。
良い眺め。
このお社の横にBIWAKOビエンナーレの作品がありました(作:石川雷太氏)。
「言葉」などではなく
「作品」などではなく
「美術」などではなく
「人間」などではなく
このガラスの向こうに見える
〈空〉と
〈緑〉と
〈音〉と
〈光〉と
いいですね。
ガラス越しに透けて見える眼下の景色を素敵な言葉で表しています。
このガラスが作品なのではなく、沖島が作品なのですね。
少しフレアがかかった琵琶湖と青空がとっても素敵で、しばし見とれていました。
さて、沖島漁港へ戻ってきました。
さすが一家に一艘の船を持っているだけあって、港は船だらけです。
と、もう昼過ぎになったのでお腹が空いてきました。
飲食店などほとんどない沖島ですが、漁港にある沖島漁業会館にて食事が提供されていたので、昼食です!
天ぷら定食、1000円。
この定食のポイントはコロッケ。
これは「よそものコロッケ」と名付けられた沖島の名物。
実はこれ、琵琶湖で取れるブラックバスのコロッケなんです。ブラックバスは外来魚ですからよそもの。そのブラックバス駆除の一環としてコロッケが開発されたそうです。
味は淡白で臭みはなくサクッと食べられます。
また奥にボケて見えるのは佃煮で、とくに「えび豆」(スジエビを大豆とを甘辛く煮た佃煮)は琵琶湖の名物です。
では、船が出港する時間になったので乗り込みましょう。
行きより小さな船ですね。
行きと違って天気が良いので、船から見る景色が奇麗です。
さようなら沖島。
楽しい半日でした。
近江八幡の堀切港まで帰ってきました。
向こうに見えるのが沖島。ふたつ見える山と山の間の平地付近に人々が暮らしています。
堀切港から近江八幡駅へのバスがやってきました。
これに乗って近江八幡へ。
さて、バスに乗ってJR近江八幡駅まで帰ってもよいのですが、近江八幡は観光名所なので途中下車して寄り道しました。
近江八幡(おうみはちまん)の一番の名所、八幡堀(はちまんぼり)。
豊臣秀次の八幡山城城下町の雰囲気を今に残す場所。
時代劇の映画やテレビにもよく出てくるそうで、風情があります。
その八幡山をロープウェイで登って見た琵琶湖。
金色に輝く琵琶湖の秋の夕景が素晴らしいです。
八幡山には猫がいっぱいいました。
私になんか用かにゃ?
もう日が暮れそうなので、ロープウェイで下山します。
いい日暮れだ。
八幡堀からバスに乗って、JR近江八幡駅に帰ってきました。
日が沈んで夕焼けがきれい。
ここからJR琵琶湖線に乗って、京都まで帰ります。
琵琶湖に浮かぶ沖島は素朴ですが、それが魅力的な素晴らしい島でした。
そして、沖島の風景にマッチして主張しすぎない芸術作品たちが素敵だったBIWAKOビエンナーレ。
作品がある場所を巡ることで島の魅力を見ることができ、その町や島自体が作品となる素晴らしいイベントだったと思います。
沖島はBIWAKOビエンナーレがなかったら訪ねることがなかったと思いますので、この機会に感謝しながら帰路につきました。
Camera: LUMIX G8
Lens: LEICA 12-60mm F2.8-4 with C-PL filter
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