
今年、令和3年(2021年)は桜の咲くのが早い!
京都ではあれよあれよという間に咲いているので、慌ただしくお花見に出かけます。
今回は在原業平(ありわらのなりひら)ゆかりの「なりひら桜」を見に、京都西山の十輪寺(じゅうりんじ)へ行きます。
十輪寺の桜は素晴らしいので、毎年のように訪ねています。
在原業平は伊勢物語の主人公といわれる人物であり、百人一首17番「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くゝるとは」の作者でもあります。
古典の授業で必ず出てくる超有名人物ですよね。
その在原業平が晩年を過ごしたといわれる場所が十輪寺なのです。
なので、十輪寺は「なりひら寺」とも呼ばれます。
十輪寺(じゅうりんじ)は京都盆地の西の端にあります。
このあたりは洛西・大原野と呼ばれる地域で、十輪寺は西山を少し上ったところにある山寺です。
もう少し山を上がると、僕がよく行って記事にもしている善峯寺があります。

見るからに街から外れた場所ですね。
公共の交通手段は、JR京都線(東海道線)向日町駅、あるいは阪急電車京都線東向日駅から善峯寺行きの阪急バスで約30分。小塩(おしお)バス停下車すぐです。
ただし、バスは1時間に1本しかありませんので注意して下さい。
僕はいつものようにマイカーで行きました。
近くに京都縦貫自動車道が通っており大原野インターチェンジがありますので、車なら比較的便利な場所です。

お寺の駐車場に車を止め(無料)、山門に到着。
門は閉まっていてドキッとしますが、横が開いているのでそこから入らせていただきます。
さて、桜は咲いているかな?

おお、満開ですね!
本堂の横、なりひら桜が艶やかに。

高廊下の向こうにはちきれんばかりの桜が咲いて、手前には椿の花を一面に浮かべたつくばい。
京の春を感じさせてくれる素敵な光景です。
では、この視界を遮る高廊下をくぐって、向こうに行ってみましょう。
高廊下をくぐると…。

見上げるなりひら桜が素晴らしく、威容を誇っていますね!
この場所は業平御殿、高廊下、茶室に囲まれた中庭で、「三方普感の庭」といいます。
「立って見る」「座って見る」「寝て見る」で、それぞれ景色が変わるのです。
実際に寝て見ても怒られないので、寝る人が跡を絶ちませんw。

地面近くまで、一枝だけしだれさせている桜も風情があります。
まだ緑が浅い苔むした庭に散った桜の花びらが点々と。
和歌の世界がここにあります。

先程とは逆方向の茶室から見たなりひら桜。
推定200歳くらいとのこと。
枝を大きく広げて咲いているので天蓋の桜とも言われます。
なので、寝て仰向けに見上げると壮観さがよく分かるのですね。
自画自賛ですが、この記事の写真たちってJR東海「そうだ京都行こう」のテレビCMで映されたなりひら桜の動画よりも美しくありません??
いや、天下のJR東海「そうだ京都行こう」を敵に回すつもりはないのですけど、弱小ALISでも頑張っていますよという想いなのです。
なりひら桜は寝転がって見上げるのもいいのですが、上から見下ろすことも出来ます。
お寺の裏山に登ることができるんです。行ってみましょう!

少し登ると、在原業平のお墓があります。
在原業平は晩年、ここ十輪寺に住んでいたと言われています。
なので、十輪寺は在原業平ゆかりのお寺なのです。

そして、在原業平のお墓の横には沈丁花(じんちょうげ)が咲いていて、あの春を告げる香りがあたり一面に広がっていました。

こちらは塩竈(しおがま)。
文字通り塩を焼く釜で、平安貴族は塩を焼いてその煙を楽しむ風習があったそうです。
在原業平はわざわざ大阪から海水を運ばせ、ここでそれを煮詰めた塩を焼いて、恋人の藤原高子(二条后)を想いながら立ち昇る煙を楽しんだとのことです。
さすが在原業平、平安時代のプレイボーイと言われるだけのことがあるね。

そして、裏山からなりひら桜を見下ろします。
奥の西山を借景にして、艶やかです。
天気も良くて春爛漫。のどかな山里の光景です。

望遠レンズでアップで撮ると、高廊下を背景に満開の桜が枝垂れていて素晴らしいです。

今年も見事ななりひら桜を拝観して、春のピークを感じることが出来ました。
桜って特に染井吉野なんかは、一斉に咲いて短い期間で散りますよね。
短いタイミングなので、満開の桜を見逃さないかと気をつけるのは結構大変です。
特に京都は桜の名所が多いので、休みの日を有効活用し短い満開のシーズンにどこの桜を見ようかと作戦を立てないといけません。しかも晴天が望ましい。
となると、休みの前になるとどこに行こうかと開花情報を集め、天気はどうかなどとヤキモキします。
まったく、桜のせいで春をのどかに過ごせない気分になりますよ。困ったもんだー。
と、この思いは在原業平が古今和歌集にて詠んでいるじゃないですか!
「世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし」在原業平
(世の中にまったく桜がなかったならば春の人の心はおだやかだろうに)。
おお、在原業平と同じ気持ちw。
僕も平安貴族の気持ちがちょっとわかったような気持ちがしました?
ということで、京の桜は真っ盛りです。

Camera: LUMIX G8
Lenses: LUMIX 12-32mm F3.5-5.6, 25mm F1.7, 45-150mm F4-5.6
一昨年、昨年の春も十輪寺のなりひら桜を訪ね、記事にしています。
毎年訪ねても少しずつ表情が違い、その魅力は失せません。
2019年拝観記事
2020年拝観記事


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