京都には名所旧跡が数多くありますが、その中でも別格に素晴らしいのが宮内庁管理の皇室用財産でしょう。
具体的には、京都御所、仙洞御所、桂離宮、修学院離宮となります。
これらの場所は特別なのでかつてはほとんど公開されておらず、われわれ下々の者はたまに行われる特別公開の時しか訪ねることができなかったのですが、ここ数年で一般の人でも参観しやすくなりました。
以前の記事では京都御所を訪ねて、高御座まで拝見することができました。
今回は、修学院離宮(しゅうがくいんりきゅう)を真夏に参観させていただきます。
実は、皇室の離宮を優雅に見学させていただくつもりだったのが、ヤバいことになってしまいました。
その顛末やいかに?
修学院離宮は京都盆地の東北の端、比叡山の麓にあります。
行き方としては、京阪電車の終点出町柳駅から叡山電車が出ており、この叡山電車に乗って修学院駅で降りて徒歩20分くらいです。
あるいは京都市バスの修学院離宮道バス停から徒歩15分。
閑静な住宅街を歩いて到着です。
修学院離宮の入口、総門に到着。
でも、いきなりは入れません。基本的に予約が必要です。
ネットか往復はがきにての予約、あるいは京都御苑にある宮内庁事務所の窓口にての予約となります。
しかし!
当日、飛び込みでも参観できるのです。若干名ながら当日に現地でも受付をしています。
今回、僕は直接現地に行きました。
当日受付が11時からなので、それに間に合うように行くと、まだ空きはあるので参観可能とのこと。やったー!
(注:これは新型コロナウイルス感染のため参観希望者が少なかった時のことです。)
ただし、お昼からの参観になりましたので、お昼ご飯を食べて出直します。
といっても、この日は真夏。炎天下なのです。
お昼ご飯を食べに修学院駅まで40分かけて往復するだけでも暑くてしんどいのです。
ヤバいな、これ…。
参観は解説員の方について周る、ガイドツアー形式になります。
ツアーが始まるのを参観者休所で待ちます。
休所にはこんな説明の絵が。
いやー、ヤバい。
何がヤバいかというと、この絵のように修学院離宮はめっちゃ広いのです。
なので、ガイドツアーは1時間以上あります。
真夏の炎天下で高低差のある道を1時間は歩かないといけません。
もちろん、途中にエアコンの効いた休憩所はありません。
おりしもこの日は今年一番の猛暑で、ニュースでは危険な暑さなので外出を控えるようにと言っていました。
実はこの日、僕は近くの曼殊院も訪ねてすでに炎天下を2時間以上は歩いており、かなりバテています。
果たして、無事に帰ってこれるのだろうか??
ともかく、500mlのスポーツドリンクと水を1本ずつ買ってカバンに入れて熱中症に備えつつも、不安とともに出発…。
まずは、修学院離宮の簡単な概要を。
修学院離宮(しゅがくいんりきゅう)は京都市左京区修学院の比叡山麓にある皇室関連施設。
17世紀中頃(1653年(承応2年) - 1655年(承応4年))に後水尾上皇の指示で造営された離宮(皇居以外に設けられた天皇や上皇の別邸)である。
谷川を堰き止めた人工池を中心とした広大な庭園とその関連建物からなる。桂離宮・仙洞御所とならび、王朝文化の美意識の到達点を示すものとなっている。
宮内庁京都事務所が管理している。
なんと、ここは桂離宮などと並んで王朝文化の美意識の到達点なんですよ、奥さん!
これは期待が高まります。
では、解説の方に連れられて参観スタート!
大きく3ヶ所に別れた修学院離宮。
まずは下離宮からスタート。
この御幸門(みゆきもん)の向こうに、めくるめく世界?が待ち構えているのでしょう。
では、門をくぐらせていただきます。
といっても、下々の我々はこの門の横の戸口から入らないといけません。
下離宮ではじめに目にするのは寿月観(じゅげつかん)。
この寿月観は、修学院離宮の造営を指示した後水尾上皇の行幸時の御座所となった建物です。
寿月観の前庭。
小川が流れるよく凝った庭園だと思いますが、ゆっくり見る間もなく解説の方は次へと進んでゆかれますw。
下離宮から中離宮へ。
修学院離宮は下離宮、中離宮、上離宮の3ヶ所に分かれており、その間はこのような両側に松が植えられ白石が敷かれた小道で繋がっているのです。
これが修学院離宮の大きな特徴。
松並木の小道を、解説員の方について進みます。
松並木の間からはきれいな田園風景が見られます。
ここも修学院離宮の敷地。
なんと景観保持のために、わざわざここで地元の農家が稲作をされているとのこと。
ここで取れたお米は皇室に献上するのかと思いきや、ガイドの方の説明では今は献上の制度はないらしく、農協を通して一般に販売されるそうな。現実的w。
さて、中離宮につきました。
ここの見どころは、楽只軒と客殿。
客殿の杉戸には大きな鯉の絵が。
この魚たちは夜な夜な絵から抜け出して池の庭で泳ぐので、あとから網を書き加えたとのことです。
なかなか粋でしょ?と言いたいところですが、僕はもう炎天下でフラフラとしてきて、ガイドの方の説明が耳に入らなくなってきています。
これは、ヤバいなっしー。
楽只軒(らくしけん)内部。
5枚の棚板を霞のように互い違いに配する霞棚という、天下の三棚として名高い違い棚など色々意匠を凝らしているらしいのですが、暑くてもうそんな話を聞く余裕がなくなってきています。
それでも屋根瓦はやっぱり菊の御紋ですね。さすが離宮。
では、中離宮から松並木を戻ってきて今度は上離宮へ行きます。
修学院離宮は東山・比叡山の麓にあるので、上離宮へは登り坂なんですよ。
いかにも暑そうでしょ?
時は真夏の午後2時過ぎ。外出自粛がニュースで言われるほどの強烈な日差しと気温…。
もうスポーツドリンクをグビグビ飲んで足らなくなってきた。
ヤバい、しんどいー。
はぁはぁ言いながら来ました!、上離宮の御成門。
この門をくぐって上離宮へ。
おっと、下々の者は横の戸口から入るのだー。
入って進むと…、
おお、素晴らしい眺め!
ここが修学院離宮の一番の景観スポット。
隣雲亭(りんうんてい)から望む浴龍池(よくりゅうち)です。
我ながら熱中症になりかけながら、よくここまでよく登ってきました。
ここは海抜150mで、修学院離宮で一番高い場所にあります。
奥の京都盆地を取り囲む山を借景にした素晴らしい夏の眺めです。
この景色を維持するために、手前の山(横山)の見える部分は宮内庁が買い取っているとのこと。
先の田園もそうですが、宮内庁の景観にかける意気込みが半端ねぇ。
しばし、ここ隣雲亭で休憩がありましたので、なんとか息を吹き返す自分。
しかしこの後、この大きな浴龍池を炎天下に周るという試練が待っていたのです。
隣雲亭から降りてきて、浴龍池にかかる千歳橋。
中華風の面白い形をしています。19世紀前半に京都所司代から献上されたとのことで、比較的新しいものです。
浴龍池は、ここを流れる谷川をせき止めて作った人工池です。
上離宮だけでもとっても広いですね。
浴龍池の中之島にある窮邃亭(きゅうすいてい)で、ちょっと休憩。
風が気持ち良いです。
浴龍池には舟もあって、皇室の方々は舟遊びができます。
なんとも雅(みやび)な。さすが離宮。
暑くのどかな上離宮の夏の光景です。
さて、浴龍池を一周したのでいよいよ帰路につきます。
いよいよガイドツアーも終わり。
上離宮からの松並木を下る参観者の皆さんを見てください。こんな感じで、皆さん暑くてヘロヘロです。
僕も汗は噴き出る、体は熱い、ドリンクを飲んでものどは乾くし、めっちゃしんどい。
もうマスクなんかしてられない。完全にあごマスク。
やばいよやばいよ、熱中症で倒れそう。でももう少し、がんばれ自分…。
上離宮から休所へ戻る帰路、絵に描いたような真夏の修学院離宮の田園と白い雲。
この夏の想い出として目に焼き付けました。
休所まで戻ってきて、今回の修学院離宮参観は終了。
おお、ヘロヘロになりながらもなんとか戻ってこれたよ!
しかし油断するのはまだ早い。
しばし、休所のエアコンが効いた場所で休んでいましたが、次のグループが来て追い出されました。
時は午後3時前。一日で一番暑い時間帯。40度くらいあったと思います。
ここからバス停まで炎天下をさらに20分ほど歩かないといけません。
かなりヤバかったのですが、さらにスポーツドリンクを買って飲みつつ根性でバス停にたどり着き、しばし待ってバスに乗り込みました。
バスのエアコンの効いた車内でもまだ汗が出る出る。冷気の吹き出し口に直接あたっていないと暑くて焼けるようです。いやぁ、ヤバかった。倒れなくてよかった。
みなさん、真夏は無理をしないようにしましょう。
ということで、さすが皇室財産、修学院離宮は素晴らしい所でした。
京都でも一番にお勧めできる名所かと思います。
ただ、気候の良いときに訪ねてくださいませ。
参観は1時間以上の高低差のある場所を歩くツアーですし、電車やバスで行くと往復でさらに40分ほどは歩かないといけませんので。
紅葉の時期は最高だと思います。解説員の方も紅葉の時期に是非また来てくださいと言われていました。
でも予約がすぐ埋まってしまうので、なかなか紅葉に合わせて訪ねるのは難しいのですけどね。
Camera: LUMIX G8
Lens: LUMIX 12-60mm F3.5-5.6
よろしければ他の記事もご覧くださいませ。
Cosmosのトラベル記事
Twitter: @cosmoscx
みなさま、いつもコメントや投げ銭、いいねありがとうございます!