京都盆地の西北の果て、山がそびえるどん詰まりの地が「化野(あだしの)」。
この化野は古来から葬祭の地であり、都で亡くなった人をここに運び風葬にしていました。
風葬とは遺体を雨風にさらし、鳥に食べさせるがままにすること。
そのため、多くの人の霊魂がこのあたりをさまよい、霊気がたまっています。
そう、ガチな場所なんです。
心霊スポットとかそんな生やさしいものではありません。
たとえば、その無縁仏を供養するために、上の写真の化野念仏寺では年に一度、夏に千灯供養が行われています。
小さな石仏は、化野の野山で転がっていたのを集めた無縁仏。
石は風雨で削られ、もう顔すらほとんどわかりません。
でも、霊気が立ち上っているのが写真からでも感じられると思います。
この時の様子は記事にしています。
その化野の中で、京都はおろか全国的にも超有名なスポットが「清滝トンネル」。
このトンネルには、さまざまな噂が流れています。
・トンネルを通る車のボンネットに白装束の女性の霊が落ちてくる
・轟音とか女性の悲鳴が聞こえる
・昔の格好をした老婆や子供が出る。追いかけられる
・行きと帰りでトンネルの長さが違う
でも、そんなのって噂でしょ?
幽霊の正体見たり枯れ尾花だよねー。
じつは僕もそう思っていました。
それなら確かめてみようじゃないか?
ということで、トンネルに歩いて突入しました!
いや、ガチで怖かったので、怖がりの方は先を読まないでください。
さて、清滝トンネルはそんないわくのある場所なので、すぐに突入するのはとても危険です。
まずは、清滝トンネルの手前にあって、このあたりの霊魂を弔っている愛宕念仏寺(おたぎねんぶつじ)に参拝して、お精霊(しょうらい)さんに挨拶をします。
山の斜面に立つ愛宕念仏寺の本堂。
いつもは静かなのですが、この日は花祭りミニコンサートが行われていて賑やか。
でも、なんとなくただよう霊気はなんなのだろう。
ん?
写真の左の方に苔むした何かが見えるよ?
この押しの強すぎる方々は羅漢(らかん)さんと言って、お釈迦様の弟子たちの石像です。
愛宕念仏寺には1200体あるとのことです。あたり一面羅漢さんだらけです。
あのう、早くも心霊スポット感満載なのですが。
まるで、羅漢さんがみんな揃って僕をお見送りしてくれるようなのです。
お見送りって、一体僕はどこの世界へ連れてゆかれるんだろう?
愛宕念仏寺を出てすぐが、いよいよの清滝トンネルです。
このトンネル、なんだか狭いですね。
一車線しかありません。なので片側交互通行。
このトンネルはもともと愛宕山鉄道という線路のトンネルでした。しかし愛宕山鉄道は廃線。
その廃線のいきさつも悲しく、戦時中に国から不要不急路線と決められ、線路を鉄として供出するために泣く泣く廃線になりました。
戦争が終わっても鉄道として復活することはなく、線路跡はそのまま道路として使われています。
このあたりはいわくのある場所なので、うっかりトンネル拡張工事などできないという噂もあるような。
「危険ですからトンネル内の歩行は白線の内側を通行してください」との看板。
やっぱり危険なんや…。
この狭いトンネルに人まで歩かせるんですよ。
また、「御用のない方はご遠慮ください」の看板も。
もちろん僕は御用があります( ー`дー´)キリッ
この清滝トンネルは車では通ったことあるのですが、歩くのは初めてなのです。
なんだろう、この不気味な色は。
黄泉の国につながるトンネルかな?
では、いざ突撃!
恐る恐る歩いて入ってみます。
外界の雰囲気から一転して、別世界へつながるようなトンネルの光景。
ビビりながら歩いていると、どこからともなく、ぴちょんぴちょんと音がする。
ふと下を見ると、
道路脇に白い物体が。
白装束じゃないよね。
怖くなってきたけど、前に進むしかない。
まだら模様の明かりが延々と続く。
出口は見えません。
突然、ごごごっー!という大音響、轟音が。
なんだなんだと、ちょっとパニック。
振り返ると、この狭いトンネルで大型バスが後ろから迫ってくるではありませんか。
ひ、轢かれる…。
必死でトンネルの壁にへばりつきます。
ふう、なんとかやり過ごせた。
バスは徐行しながら、壁にへばりつく僕の横を通り過ぎてゆきました。
こんな狭いとこ、大型バスが通る横に人を歩かせるなよー。
さらに、黄泉の国に向けて先の見えないトンネルを進みます。
あれっ?
なにか背後から呼ばれたような気配がして、ふと振り向くと…。
振り向いたそこに誰かが立っている?
噂に言う老婆なの、子供なの?
えーん、もうおうちに帰りたいー(泣)。
でも戻るのも怖いし、進んでも先が見えない。
そもそも、こんな状況で写真撮ってる場合じゃないやろ…。
そんなこんなで、それでも頑張って歩くと、
おおお、やっと出口が見えてきた!
なんと、光の神々しいことか。
トンネルの向こうには桜が咲いています。
なんとのどかな光景。天国にたどり着いたのかな?
トンネルを抜けると、そこは桜が満開の桃源郷でした。
これが清滝の集落。
ああ、よかった。なんとか無事にトンネルをくぐり抜けられました。
いや、待てよ。この景色は美しすぎる。
あっそうか、きっとここはこの世ではないんだね?
でも、まあいいや。トンネルを出られて、めでたしめでたし。
あっ!
トンネルを抜けてきたということは、帰らないといけないということ?
また、あのトンネルに戻るの?(泣)
振り返ると、桜の横でトンネルが口を開けていました。
左横の道はトンネル無しで峠を越えるルートなんだけど、この道もまた心霊スポットらしい。
もう逃げ場ないやん…。
おいでおいでと、黄泉の国に誘うお口がぱっくりと。
ここを入らないと帰れない。覚悟を決めて身を投じよう。
えぃっ!
暗いトンネルを、重い足取りで一歩ずつ引き返してゆく。
あれっ、進んでも進んでも先が見えないよ?
なんで?
この先、彼はトンネルを出られたのだろうか?
それを知る者はいない…。
Camera: PENTAX K-3II with SIGMA 17-70mm F2.8-4
よろしければ他のオカルト、いやトラベル記事もご覧くださいね。
CosmosのALISトラベル記事
Twitter: @cosmoscx