京都はあっという間に桜の季節が終わり、次は新緑が美しい季節になりました。
すごく季節の移り変わりが早いのですが、その変化を見にお散歩しましょう。
今回訪ねるのは祇園にある正伝永源院(しょうでんえいげんいん)。
普段は非公開のためあまり聞き慣れないお寺ですが、結構すごいお寺です。
この正伝永源院のツツジが満開と聞いて、見に行ってみました。
正伝永源院は、かの有名な祇園にあります。
国宝・風神雷神図で有名な建仁寺の北側にある、建仁寺の塔頭です。
交通手段は京阪電車の祇園四条駅、あるいは阪急電車の河原町駅から徒歩10分ほどと便利な場所です。
駅から歩いて正伝永源院に到着。
うーん、曇っていますね。
正伝永源院は普段は非公開で入れないのですが、今回ツツジが美しい時期に特別公開されています。
あと、紅葉の時期などにも公開されています。
参拝者はぼつぼつといるくらい。ゆっくりと拝観できます。
入ってみましょう!
早速、ツツジが見事ですねー!
お堂の地味な色をバックに鮮やかな朱が映えます。
お庭にはたくさんのツツジが植えられ、新緑と相まってカラフルです。
曇り空のほうが花の色が浮き上がって、目に焼き付きます。
方丈から見た庭園。左の方に少しツツジが植えられています。
曇でしっとりとした光景で、これもまた良いです。
方丈に掲げられた扁額。
「正伝院」と「永源庵」のふたつが掲げられています。
この正伝永源院はこの2つのお寺が合併した寺院なのです。
正伝院は織田信長の弟である織田有楽斎(うらくさい)が復興したお寺。
また、永源庵は代々、大名の細川家によって支えられてきたお寺です。
いずれも建仁寺の塔頭でした。
しかし明治の廃仏毀釈によってこれらのお寺は荒廃し、2つが合併することでなんとか生きながらえたという歴史があるそうです。
この歴史、あとに関係してきますので少し覚えておいてください。
格子越しに見るツツジも色が素敵ですね。
庭園には降りることもできます。
奥に見えるのは先ほど居た方丈です。
池泉鑑賞式庭園ですので池があり和みます。
方丈には襖絵が。
これは京都の鷹峯の山々を描いたとのこと。
この襖絵を描いたのは細川護熙氏です。
えっ、細川護熙氏って元総理大臣でしょ?
はい、この襖絵は第79代内閣総理大臣・細川護熙氏揮毫なのです。
先に、正伝永源院の永源庵は代々細川家によって支えられてきたと書きました。
今もその関係は残っているんですね。
細川護熙氏は総理大臣になられたわけですから、細川家から見ると平成の世に殿が天下を取ったという感じでしょうか?
ツツジの朱が新緑と入り混じり、とても鮮やかで素敵な光景です。
つい先日まで桜の季節だったのに、一変しています。
さて、庭園の端には茶室が建てられています。
この茶室は如庵(じょあん)と名付けられています。
ここは、ぱっと見るとまあまあ立派な茶室かな?くらいで参拝者もそれほど見入っていないのですが、実はこの如庵は国宝なのですよ!
しかも、国宝の茶室はたったの3席しかなく如庵はそのうちの一つですから、国宝の中でも第一級の貴重さです。
しかし残念ながらこの正伝永源院の如庵は写し、つまりレプリカなのです。
本物は愛知県犬山市にあります。
なんで?
もともと如庵は正伝院にありました。
しかし明治の廃仏毀釈によって寺院の力は大きく削がれ、先に書いたように正伝院も財政的に非常に厳しくなりました。
そこで、お寺の運営資金を捻出するために大切な如庵を売りに出したとのこと(お寺の方の解説)です。
売られた如庵は転々と持ち主を変えて東京などに移設されましたが最後に名古屋鉄道が購入し、名鉄が経営する愛知県犬山遊園の一角に移設され現在に至っています。
しかし、やっぱりもともと建っていた正伝院に再度建てたいとのことで、如庵の写しがここに建っているとのことです。
いや、本物を京都に返してくださいよ、名鉄さん…。
如庵は国宝ですが、その写しは国宝でも重要文化財でもないので内部まで撮影できます(立ち入りはできず)。
この茶室のどのあたりが素晴らしいかを説明したいところですが、茶室の特徴は難しいので僕には説明できません…。
ツツジのお庭を額縁庭園としてに撮ると、敷かれている赤い毛氈(カーペット)もあって、京都らしい美しい光景になっています。
このアングルの写真は正伝永源院オフィシャルサイトでも撮られているくらい素敵です。
正伝永源院はそれほど広くありませんが、景色に癒やされゆっくりしてしまいました。
そろそろ帰りましょうか。
おっと、帰る前にお腹が空いてきたのでちょっと軽食を取りましょう。
帰り道、軽く食べるために少し寄り道します。
今回は京阪電車祇園四条駅近くの壹錢洋食に行きましょう。
壹錢洋食へ行く途中の道(大和大路通)の電柱に、メモとお花が貼り付けてありました。
これは何でしょう? 想像がつくと思います。
ここで交通事故で亡くなっているのです。
この事故はみなさんの記憶にあるかもしれません。全国的に大ニュースになりましたから。
それは2012年4月12日に起こった、京都祇園軽ワゴン車暴走事故です。
てんかん発作を生じた運転手が車を暴走させて次々と人をはね、8名が亡くなりました。
メモにはこう書いてありました。
岸本まーちゃん
丸山公園の
さくら…
大好きなさくら…
今年も、きれい
だったね!!
涙なくして読めません。
静かにしゃがんで手を合わせました。
さて、この電柱から四条通を渡ります。
四条通をはさんで向かい側にあるのが、壹錢洋食(いっせんようしょく)。
ここで軽食を取りましょう。
店内は昭和レトロな感じ。楽しいですね。
壹錢洋食、800円。
メニューはこれだけ、あとはドリンク類です。
壹錢洋食は、小麦粉の衣の中にねぎ、卵、ちくわ、こんにゃく、牛肉などが入っていて、ソースがかかっています。
お好み焼きの元祖らしいです。
味は想像通りのお好み焼きに近いもので、濃いめの味が美味しいです。
さて、小腹も満たされたので帰りましょう。
店の前には、壹錢洋食のマスコット、壹錢喰太郎くんが。
修学旅行の女子中高生に人気らしい。
これでこの日のお散歩は終了です。
すっかり新緑になった京都。
梅が咲いてから桜、ツツジと今年は特にあっという間に季節がすぎました。
もう初夏になりますね。素敵な季節です。
Camera: OLYMPUS OM-D E-M5 Mark Ⅱ
Lens: LUMIX 12-35mm F2.8
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