世の中は、寒くて、悲しいニュースばかり・・・
少しタイムスリップして、みませんか?
これは
半世紀の前のお話し、私がまだ高校生だった頃のお話です。
私は4人兄妹の、末っ子。
8歳違いの兄、6歳違いの兄、3歳違いの姉がおりました。
小さな漁村で育った私達、兄達の世代はまだ、男は漁師になるのが普通な時代です。
そんな中で、兄2人は、水産高に進み、船を動かす機関士の国家資格をとり、外国航路の船員となりました。
当時の船の業界の花形は、巨大タンカーでした。
兄達は、高校卒業後、専攻科に進み、船の実習を経験し、国家試験をとって、船乗りになったのでした。
兄は、学生時代、海水浴場で、保育士さんの学校の女性達に、水泳を、教えるアルバイトをしていました。
その時、兄は、その人と出会って・・・
2人は、就職しても、お付き合いしていたのです。
ある夜、兄に、弟妹が集められました。
真剣に、兄が私達に言いました。
「俺はこの家の長男に生まれた。でも、もし誰か、この家を継いでもいいと思う者がいたら、言ってくれ!
俺は、長男の立場に未練は無い。直ぐにに譲るから」と!
いつも、私たちのことを守ってくれた兄から出る言葉とは思えませんでした。
1人ずつ意思を確認されて・・・
「解った、じゃあ〜俺がこの家を継ぐことにするよ。
この家に、来てくれるお嫁さんを貰うから」と。
兄は、覚悟を決めました。
・・・
カモメは、白鳥にプロポーズしたのです。
待ち合わせは、銀座ワコーの前、ではなくて、白鳥が勤めている都内の某保育園。
カモメは、精一杯のオシャレをして、向かいました。
ただ、誰が見ても、田舎者にしか見えません。制服を着て、帽子を抱えて、カモメの正装しています。あれ!靴は・・・長靴?
背が高くて、そこそこスタイルが良いのに、残念!
でも、カモメは、胸を張って、入って行きました。
なんと対応してくれたのは、保育園の園長、白鳥さんは、信頼する、園長に、一度、カモメを会わせたかったのです。
人柄は顔に出ます・・・
それに、彼女を思う気持ちは、誰にも負けません。
カモメは堂々として居ました。
その自信は、どこからくるものなのでしようか?
その日、貿易ビルの最上階で、カモメは、白鳥にプロポーズしたのでした。
・・・
ところが、白鳥さんのお父さんに、カモメは何度挨拶に行っても、いつも、良い返事がもらえません。
どうして・・・・⁇
白鳥さんのお父さんは、長男の嫁になる娘を心配していたのでした。
因習深い田舎で、半年も夫のいない生活が、娘に耐えられるだろうかと・・・
親なら、反対するのも無理はありません!
家に入るなら、カモメの両親が挨拶に来るのが筋だろうと、思っていたのです。
一方、カモメの家では、なかなか決まらない話を聞いた、カモメの両親は、流石に気がつきました。
二人揃って、白鳥さんの家に、挨拶に出かけました。
すると、どうでしようか!直ぐに、良い返事を、いただけたのです。
その夜は、酒盛りになり、盛り上がりました。
白鳥のお父さんは、カモメの家の状況が、手にとる様に、わかったからです。
こうして、二人は、結婚する事が決まりました。
・・・
そして、あの日、カモメが、我が家に白鳥を連れて来たんです💕
清楚な雰囲気と、優しい笑顔、都会の生活をして居たセンスは、控えめにして居ても、感じられます。
まるで、白鳥のように見えました。
私は、小さな漁村のカモメの村に、一羽の白鳥が飛来した様に思いました。
カモメの家族は、一度で白鳥さんが好きになりました。
めでたし、めでたし・・・
追伸
あれから半世紀、白鳥は、もう誰もが頼りにするぐらい、カモメの村人の中に溶け込んでいます。
そして、カモメは、いつしか船乗りをやめて、機関士の経験を活かしてサラリーマンになりました。
そして、定年して・・・今では、カモメ村の自治会長です。地域活性化のために力を注いでいます。