今は昔、平成の世のお話です
ある所に、優しくて、美しいママがおりました
ママは、決して、怒りませんでした。
嫌!怒れなかったのです。
小さい頃から、親に怒られない様に、優等生で生きてきたから、怒られることが無かったのです。
ママは怒られた経験がないまま、大人になり、結婚をして、子どもの母になったのです。
だから、ママは怒る事が、出来ませんでした。
でも、子どもは普通に子供らしい子供だったのです。
いつも、ママの言う事を聞かず、やんちゃばかりしていました。
ある時、どうしても、言う事を聞かない、子どもに、初めてママは怒りを感じました。
するとどうでしょう、綺麗だったママの顔は、怖い、怖い山姥になっていたのです。
あまりの怖さに、こどもは引きつけを起こしてしまいました。
引っくり返って、気を失った子供を見て、思わず顔をあげて、ママは驚きます
鏡に映った自分の顔が、怖ろしい山姥だったから・・・
ママは思いました。私の中に山姥がいるんだと、
本当に怒った時は、山姥が出てくるんだと知りました。
・・・
それからしばらくすると、ママの顔は、優しくて、綺麗な顔に戻っていました。
それからというもの、ママは、怒る時には、「山姥ー変身!」と言って、手で顔を隠して、手を開いて山姥になっていました。
こどもは、ママに山姥になって欲しくないから、いい子になったと言う事です。
でも、本当に、それでいいの?
ママは、山姥に変身する事でしか、こどもをしかれないんだよ!
優しいママでいる事が、そんなに大事?。
子供が、良い子でいる事がそんなに大事?
ママが、山姥の力を借りなくても、ごく自然に子供を、叱れる方がいいに決まってる!
我が子を思って、思わず叱ってしまう母親を、子供はどうおもうでしょうか?
叱られても、母親の気持ちは、子どもに伝わります。
子供は、母親が自分を全否定したとは思わないでしょう。
でも、山姥に変わらないと、怒れないママは、本当の自分で子供に向き合う事が出来ないのです。
だから、子供は、怖いのです!
優しいママが居なくなって・・・
世にも怖ろしい山姥に、全否定されるのが‼怖いのです。
そして、子どもは知っています
ママの奥にいる、山姥が、本当のママの姿だと言う事を。
おしまい