今は昔、平成の世のお話です
平成の世は、まだ人が学歴や、肩書に縛られた時代でした。
これは、ある男の話です。
男は、勉強が好きでした。肩書を重んじる家に生まれ、がむしゃらに勉強し、大学を出て、さらに大学院まで出ていたのです。
一流企業に入ったまでは良かったのですが、意地悪な神様は、この男をリストラの嵐に巻き込んだのです。
この男の人生はそれから、ガラリと変わります。
失業して、再就職した会社で、今度は人間関係に行き詰ったのです。男は、精神を病みました。
そして、自ら会社を辞めたのでした。
・・・半年後・・・
どういう経緯からか、男はまっく違った、介護の世界に足を踏み入れたのです。
介護職の人は、男にとって、優しく親切でしたので、男は安定して仕事をしていました。
ただ、あまりにも不器用で、家事も出来ない男は、大変苦労しました。人が3ヶ月で覚える事を、1年かけて、やっと覚えるんです。それでも、周りの人は根気強く教えていました。
数年が経ち、男は仕事にも慣れて来ました。
すると、隠されていた男の性格が顔を出し始めました。
周りの人間が自分より学歴が低い事に気づいたのです。
そして、優しく、親切だった人をバカにしだしたのです。
男は、自分より学歴のない人が、上に立つことが許せなくなっていました。
自分より、勉強のできない人が、自分より評価されることに我慢出来なくなったのです
・・・
あろうことか、男は、それまで脱ぎ棄てていた、学歴と言う名の洋服を、再び着だしたのです。
いくら、男が着飾っても、誰の目にも学歴の洋服は見えませんでした。
・・・・
男は学歴と言う洋服を着て満足そうに仕事をしていましたが、
誰にも洋服は見えません。
少したるんだお腹・・・・醜い裸の男にしか見えませんでした。
とうとう男は、裸の王様になってしまいました。
おしまい
これまでの平成の昔話
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